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英雄なのか?  作者: よろず
アルディア騎士学校
27/34

合同訓練

生徒会での話し合いから数日後。

放課後になると一年生全員へ一枚の通達が出された。

翌日より合同訓練開始。

対象は一年生全員。

期間は実務演習までの三ヶ月。


その内容を見た瞬間、多くの生徒達が驚いた。

理由は訓練内容ではない。

責任者の名前だった。

訓練責任者。

一年Aクラス首席カイル・フォン・アークレイ。

補佐。

一年Aクラス二位ミハイル・フォン・ベルク。

つまり教師ではない。

一年生が一年生を指揮するのである。


翌日の放課後。

中央訓練場には百六十人の生徒達が集まっていた。

AクラスからDクラスまで。

Sクラスの生徒以外一年生全員である。

その視線の先には八人の姿があった。

各クラスの一位と二位。

生徒会へ呼ばれた者達だった。

「静かに」

カイルの声は決して大きくなかった。

それでも自然と周囲が静まる。

侯爵家嫡男として育ったからなのか、それとも本人の資質なのか。人を従わせる空気があった。カリスマというのか。

「実務演習まで三ヶ月、その間合同訓練を行う」

簡潔な説明だった。

「毎週編成を変更する、クラスも順位も関係ない」

「数十人の小隊を作る」

訓練場がざわつく。

AクラスからDクラス。

貴族と平民。

得意、不得意関係ない、全て混ぜる。

これまでほとんど接点のなかった者同士が同じ部隊になるのだ。

「目的は一つ」

カイルが続ける。

「仲間を知ることだ」

その言葉には皆納得した。

入学して半年。ここに居る全員その事は痛いほど分からせられている。

人を見ろ。

そのための訓練なのだろう。

「今週の編成を発表する」

そこから一人ずつ名前が呼ばれていく。

レインの部隊にはAクラス、Cクラス、Dクラスの生徒が混ざっていた。

顔を知っている者もいるが知らない者の方が多い、おそらく皆同じだろう。

「今週の課題は前衛と後衛の連携」

カイルが言う。

「前衛は敵を抑える、後衛は支援する」

「ただし固定ではない」

その言葉に何人かが首を傾げる。

「全員が両方を経験する」

今度は納得の声が上がった。

確かにその方が相手の立場を理解できる。前衛が何を求めているか後衛が何を求めてるか。実際に経験した方が早い。

訓練が始まると、その意図はすぐに理解できた。

前衛しかやったことのない生徒は後方支援の難しさを知る。

後衛専門だった生徒は前線の圧力を知る。

後方からの魔法支援につにも味方の位置を見なければならない。巻き込まれそうになる。

突撃するにも後方との距離を考えなければならない。

いつもとは全く違う。

その様子を見ながらレインは周囲を観察していた。

誰が周囲を見ているか。

誰が仲間へ声を掛けられるか。

気付けば自分だけではない。

アイザックも。

ルークも。

ガルドも。

各クラスの上位陣が同じことをしていた。

戦力ではなく人材を見ている。

それこそが、この合同訓練の本当の目的なのだろう。

そしてその積み重ねが、三ヶ月後の盗賊討伐へ繋がっていくことになる


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