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英雄なのか?  作者: よろず
エルディオン連邦編 アストレア魔導公国

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実習授業2


遺跡へ足を踏み入れると、ひんやりとした空気が肌を撫でた。


長い年月を経た石壁には苔が生え、所々で崩れ落ちた天井から細い光が差し込んでいる。


教授から受け取った簡易地図を確認すると、第一班へ割り当てられた探索区域は遺跡の東側だった。


「では、行きましょう」


班の先頭へ立ったのは、ナヤミ・フォン・カリンだった。


帝国侯爵家の嫡男。


武勇ではなく文官として帝国を支えてきた名門、カリン侯爵家の跡取りである。


その後ろへ帝国出身の男子学生二人が続く。


二人とも自然とナヤミを立てるように歩いていた。


「この辺りは危険度も低いと聞いている。」


「魔物が出ても問題ありませんね。」


「早めに素材を集めて戻りましょう。」


三人は迷いなく歩みを速めていく。


ナヤミにも理由があった。


後ろにはイリシアとロロがいる。


イリシア・フォン・エーベルハルト。


帝国中へ名を轟かせる天才魔導師。


そして、その隣を歩くロロ・フォン・ハーマ。


武官貴族として名高いハーマ侯爵家の令嬢であり、十八歳にして優秀な魔術師として知られている。


イリシアほど規格外ではない。


それでも帝国内では十分すぎるほど将来を期待される逸材だった。


二人は幼い頃から親交があり、姉妹のように仲が良いことでも知られている。


そんな二人の前で、情けない姿だけは見せたくなかった。


それはナヤミだけではない。


後ろへ続く二人の男子学生も同じだった。


帝国でも名高い二人の令嬢。


憧れもある。


家同士の付き合いという事情もある。


だからこそ、少しでも頼れるところを見せたい。


その思いからか、三人とも自然と足取りが速くなっていた。


一方、その少し後ろでは。


「ロロさん、お久しぶりです。」


「久しぶりね、イリシア。」


二人は昔話へ花を咲かせながら、穏やかな足取りで遺跡を進んでいた。


「留学のお話を聞いた時は驚いたわ。」


「私も最初は緊張しました。でも、とても楽しいですよ。」


「あなたなら、すぐに馴染むと思っていたもの。」


ロロが優しく微笑む。


その表情には旧友と再会した喜びが素直に表れていた。


二人の少し後ろを、レインが一定の距離を保ちながら静かに歩く。


周囲へ絶えず視線を巡らせ、足音や気配の変化も見逃さない。


護衛としての役目に徹していた。


前を歩くナヤミたちは、時折振り返っては後方を確認する。


イリシアたちへ危険が及んでいないかを気にしているようにも見える。


だが実際には、自分たちが先導している姿を二人へ見せたいという思いの方が強かった。


そんな彼らの様子を見ながら、レインは何も口を挟まない。


実習である以上、学生たちが自ら判断し、行動することが何より重要だと理解していたからだった。

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