エルディオン連邦へ
ヴァルゼインとの打ち合わせを終えたレインたちは、その日のうちに旅支度を整えた。
護衛対象は東方諸国の商人サンロ。
荷馬車には競売で落札した古びた書物と魔法陣、交易品、そしてヴァルゼインから託された品が積み込まれる。
目的地はエルディオン連邦を構成する国家の一つ、アストレア魔導公国。
カルドニア王国を抜け、さらに二つの国を越えた先にある魔導国家である。順調に進んでも二か月近くを要する長旅だった。
翌朝。
レインたちはライゼン自由都市連合を後にした。
旅路は決して平穏ではない。
街道では野盗が荷馬車を狙って現れたが、一度交戦しただけで実力差を悟り、散り散りに逃げ去っていく。
山岳地帯では魔物の群れが街道を塞ぐこともあった。
それでも一行の足が止まることはなかった。
レインが先頭で道を切り開き、エレアが魔法で周囲を警戒する。ピリカも軽やかに荷馬車を飛び降りて魔物を追い払い、サンロは感心したようにその背中を見つめながら旅を続けた。
国を越えるたびに街並みは変わり、人々の服装や言葉も少しずつ違っていく。
西大陸の広さを実感しながら旅を続けた一行は、出発からおよそ二か月後、ついにエルディオン連邦の国境へ辿り着いた。
巨大な石造りの城壁と、その中央に築かれた壮麗な関所。
各国から訪れた商人や旅人、冒険者たちが長い列を作り、連邦への入国審査を待っている。
レインは目の前に広がる光景を静かに見上げた。
「ここからが、エルディオン連邦ですね。」
その言葉に、エレアもゆっくりと頷く。
「ええ。」
「ここから先は連邦領です。」




