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英雄なのか?  作者: よろず
ノルガルト侯国内戦
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ノルガルト大戦2


盾と盾が激しくぶつかり合い、開戦直後の前線が大きく揺れた。


何十本もの槍が一斉に突き出され、剣と剣が激しく噛み合う。頭上では無数の火球が尾を引いて飛び交い、風刃が唸りを上げ、岩弾が地面を砕いた。爆炎が立ち昇るたびに土煙が舞い上がり、兵士たちの姿を飲み込んでは再び吐き出す。


開戦から間もないというのに、大平原はすでに地獄と化していた。


身体強化を施した兵士たちは大盾を押し付け合い、わずか一歩を奪うためだけに全身の力を振り絞る。槍が突き出され、盾へ弾かれ、剣が振り下ろされる。そのすべてが一瞬のうちに繰り返され、前線では絶え間なく金属音が鳴り響いていた。


一人が倒れる。


その隙間を埋めるように後列の兵士が前へ踏み出す。


さらに別の場所では敵兵が斬り伏せられ、その横を仲間が駆け抜けていく。


誰も立ち止まらない。


止まった瞬間、その命は戦場へ飲み込まれることを全員が理解していた。


頭上では魔導兵同士の撃ち合いも激しさを増していく。


火球が炸裂し、風刃が空気を切り裂き、岩弾が盾ごと兵士を吹き飛ばそうと襲い掛かる。防御魔法がそれを受け止め、すぐさま反撃の魔法が空を埋め尽くした。


朝焼けの空では、幾百もの魔法が激突して爆炎を咲かせる。


その衝撃波が戦場を駆け抜けるたび、兵士たちは身体強化へさらに魔力を流し込み、歯を食いしばって踏みとどまった。


右翼では国王派が力強く押し返していた。


熟練した騎士たちが戦列を崩さぬまま前進し、反乱軍兵を次々と後退させていく。押し込まれた敵兵が倒れると、その後ろから新たな兵が飛び込み、失われた戦列を埋めていった。


だが中央では、反乱軍も一歩も譲らない。


怒号とともに押し寄せる兵士たちが国王派の盾へ激突し、剣戟が嵐のように交錯する。槍が胸を貫き、剣が鎧を裂き、倒れた兵士の上を次の兵士が踏み越えて前へ出る。


戦列は押され、押し返し、再びぶつかる。


その均衡は、一歩たりとも崩れなかった。


左翼では騎兵同士が真正面から激突していた。


身体強化を施した軍馬が轟音とともに駆け抜け、長槍が唸りを上げる。落馬した兵士へ容赦なく槍が突き立てられ、その横を後続の騎兵が土煙を巻き上げながら駆け抜けていった。


戦場の至る所で怒号が響く。


「前へ出ろ!」


「戦列を崩すな!」


「押し返せ!」


将たちの怒鳴り声が飛び交い、それに応えるように兵士たちは再び武器を振るう。


足元には折れた槍、砕けた盾、そして動かなくなった兵士たちが次々と増えていく。


それでも戦いは止まらない。


一人が倒れても、その穴は瞬く間に埋められる。


一つの部隊が押し返されても、後方から新たな兵が前線へ送り込まれる。


数万の兵が激突する戦場では、一人ひとりの勇敢さだけで戦局は変わらない。


戦列を維持し、押し込み、押し返し続けた軍だけが勝利へ近づく。


どちらも譲らない。


どちらも退かない。


怒号、剣戟、魔法の轟音が果てしなく大平原へ響き渡る中、ノルガルト侯国の命運を懸けた決戦は、激しさを増しながら幕を開けた。

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