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戦えない俺は見捨てて生き残る——戦場の違和感から全てを操る転生戦国記  作者: 黒狐
第8章 戦乱の狼煙

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第60話 焔将突破

ダダダダダダッッッ!!!


「速度を緩めるなァァァ!!!」


赤堂烈真が吠える。


「進めェェェ!!!」


白蓮兵たちが叫ぶ。


馬が駆ける。

土が跳ねる。


赤堂は大剣を振り回した。

それは敵を討つための剣ではない。

道を切り開くための剣だった。


ガンッ!!


黒曜兵が吹き飛ぶ。


キィィン!!


槍を弾く。


ガシャァン!!


盾ごと叩き飛ばす。

致命傷ではない。

だが近付けない。


赤堂軍は止まらない。


ただ前へ。

ただ生きるために。


前へ進み続ける。


後ろでは部下たちも同じだった。


刀を振るう。

槍を振るう。


敵を倒すためではない。

道を開くためだ。


ダダダダダダッッッ!!!


速度は落ちない。

落とさない。

止まれば終わる。


全員がそれを理解していた。


「はっはっはァ!!」


牙城兵馬が笑う。


「面白れェェ!!」


薙刀を構える。


「流石白蓮四天王だなァ!!」


篠塚景虎が眉を寄せる。


「笑っている場合ではないぞ」


鷺森宗玄も前へ出る。


「このまま行かせるわけにはいきません」


牙城が鼻を鳴らす。


「怪我してるからって気を遣うなよ」

「こんなの怪我のうちに入らねェ」


景虎も静かに頷いた。


「同じく」


宗玄は苦笑する。


「左様ですか」


そして扇を振った。


「なら止めますよ」


黒曜軍が動く。


左右から。

後方から。


隙間を埋めるように。

赤堂軍を絡め取るために。


包囲網が完成していく。


だが。


「邪魔だァァァ!!!」


赤堂が突っ込む。

大剣が唸る。

黒曜兵が吹き飛ぶ。


「どけェェェ!!!」


再び前へ。


牙城も飛び込む。

景虎も斬り込む。

宗玄も指示を飛ばす。


キィィィン!!


ガシャァァン!!


グサッ!!


バキィィッ!!


戦場が荒れる。


赤堂軍の兵が落馬する。

刺される。

倒れる。

被害は増える。


それでも。

止まらない。


赤堂は叫んだ。


「生きろォォォ!!!」


振り返らない。

前だけを見る。


「白蓮のために!!!」


さらに叫ぶ。


「命を繋ぐのだァァァ!!!」


その言葉に。

兵たちも応える。


「おおおおおおっ!!!」


黒曜軍へ突っ込む。


前へ。


前へ。


ただ前へ。


牙城が舌打ちした。


「チッ!!」

「止まらねェ!!」


景虎も驚く。


「まるで撤退戦とは思えん」


宗玄は苦笑した。


「我らに見向きもしませんね」


赤堂軍の目的は勝利ではない。


突破。


ただそれだけだった。


だから止まらない。


だから迷わない。


ダダダダダダッッッ!!!


そして。


ついに。


黒曜三騎士の包囲網を突き破った。


牙城が馬を止める。


「追うか?」


景虎も見る。

宗玄は首を横に振った。


「もうここまでですよ」


牙城が不満そうに言う。


「俺らの怪我なんざ気にする必要ねェぞ」


「違いますよ」


宗玄が前を指差す。

牙城と景虎が視線を向ける。


その先。


赤堂軍の進路上。


一つの軍勢が待っていた。


白銀の旗。


白銀の鎧。


先頭に立つ女武者。


雷姫だった。


赤堂が目を見開く。

雷姫もまた赤堂を見る。

互いに言葉は無い。

だが理解していた。

生き延びた。


そして。


相良義隆だけが帰ってこないことも。


風が吹く。


戦場の匂いを運ぶ。


赤堂は静かに目を閉じた。


「……相良」


短く呟く。


そして再び目を開く。

雷姫が静かに告げた。


「戻るぞ」


赤堂は頷く。


「ああ」


白蓮軍は撤退を開始する。


一方。


黒曜三騎士は遠くからそれを見ていた。

景虎が静かに言う。


「逃がしたな」


牙城は笑う。


「十分だろォ」


宗玄も頷いた。


「相良義隆を討ち取った」

「それだけで戦果としては十分過ぎます」


そして三人は馬首を返す。

黒曜軍の勝利。


だが戦いは終わらない。

白蓮と黒曜。


その激突は。

まだ始まったばかりだった。


(続く)

読んでいただきありがとうございます。

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