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戦えない俺は見捨てて生き残る——戦場の違和感から全てを操る転生戦国記  作者: 黒狐
第8章 戦乱の狼煙

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第50話 怪物と盾

鬼庭盛綱は拠点入口の前に立っていた。


周囲には蒼鷹兵。


その後方には塚原茂光。


鬼庭は刀を肩へ担ぎながら笑う。


「さて」


「そろそろ終わらせるか」


塚原が眉をひそめた。


「鬼庭殿」


「まさか自ら入られるおつもりですか」


鬼庭は鼻で笑う。


「だから勝てぬのだ塚原殿」


「賊相手に何を恐れる」


「俺が山狐の首を取る」


塚原は小さくため息をついた。


「……好きになされ」


だが放置も出来ない。


結局、塚原も同行することとなった。



拠点内部。


物見が叫ぶ。


「来た!!」


「今度は鬼庭本人だ!!」


その報告に弥助が笑う。


「ようやく大将のお出ましか」


鉄も刀を担ぐ。


「叩き潰してぇな」


だが山は違った。


静かに首を振る。


「いや」


「鬼庭が動いたってことは」


「塚原も動く」


山の視線は鬼庭ではない。


塚原へ向いていた。


「ここからが本番だ」


その一言に玄も頷く。


鬼庭は強い。


だが塚原は厄介だ。


二人とも理解していた。



鬼庭は迷わず進んだ。


伏兵が飛び出す。


玄隊。


左右から斬りかかる。


だが。


「遅い」


鬼庭の刀が閃く。


「ぐぁっ!!」


玄隊の一人が吹き飛んだ。


続けて二人目。


三人目。


鬼庭は止まらない。


まるで獣だった。



別方向。


鉄隊も襲い掛かる。


「死ねやァ!!」


鉄が振るう大剣。


だが鬼庭は受け流す。


ガキィンッ!!


激しい火花。


鉄が顔をしかめる。


「ちっ……」


重い。


そして速い。


真壁軍副将。


その肩書きは伊達ではなかった。



戦場は乱れる。


蒼鷹兵が倒れる。


山隊も倒れる。


被害が出始めていた。


鬼庭が笑う。


「どうしたァ!!」


「そんなものか山狐!!」


刀を振り回しながら進む。


その後方。


塚原は戦わない。


ただ見ていた。


通路。


偽装。


伏兵位置。


建物配置。


全てを観察している。


山はその様子を見ていた。


(やっぱりか……)


鬼庭ではない。


厄介なのは塚原だ。



場面は白蓮側へ移る。


白蓮兵が牙城兵馬へ斬りかかった。


だが。


「遅ぇ」


牙城の一撃。


白蓮兵が吹き飛ぶ。


その瞬間。


後方から相良義隆が飛び出した。


「はぁっ!!」


ガキィンッ!!


渾身の一撃。


だが牙城は防いだ。


火花が散る。


二人は同時に距離を取った。



黒曜三騎士。


牙城兵馬。


白蓮四天王。


相良義隆。


ついに両雄が相対する。



「ふんっ!!」


相良が踏み込む。


「はっはァ!!」


牙城も迎え撃つ。


キンッ!!


ガキィンッ!!


金属音が響く。


一合。


二合。


三合。


十合近い斬り合い。


互いに一歩も引かない。



牙城が笑う。


「はっはっはァ!!」


「白蓮の盾ってよォ!!」


「思ったよりやるじゃねェか!!」


相良は歯を食いしばる。


「舐めるなぁ!!」


再び激突。


ガキィンッ!!


キンッ!!


火花が散る。



だが。


徐々に相良が押され始める。


純粋な武力。


膂力。


体格。


全てにおいて牙城が上だった。


「くっ……!」


相良が後退する。


牙城は笑う。


「どうしたァ!!」


「もっと本気出してこいよォ!!」



そして。


ガキィンッ!!


大きな音が響いた。


相良の体勢が崩れる。


足がよろめく。


一瞬の隙。



牙城は見逃さなかった。


「もらったァ!!」


巨大な刃が振り下ろされる。



「相良殿ォォォ!!!」


側近の絶叫が戦場へ響いた。


(続く)

読んでいただきありがとうございます。

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