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戦えない俺は見捨てて生き残る——戦場の違和感から全てを操る転生戦国記  作者: 黒狐
第1章:捨て駒の戦場

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第4話 踏み潰される側

(これ、誘われてる——)


確信した瞬間、背筋に冷たいものが走った。


敵は押している。

だが——勝ちに来ている動きじゃない。


(前に出すぎてる……退く気がない)


(普通なら、もう一度隊列を整えるはずだ)


それなのに——止まらない。


(引き込んでる……)


そして——背後。


騎馬隊。


槍を揃え、整列し、今にも突撃できる状態でこちらを見ている。


(前に出れば敵)

(下がれば——踏み潰される)


逃げ場は、ない。


(……時間がない)


心臓がうるさいほど鳴っている。


だが、頭は妙に冷えていた。


(このままじゃ、全員死ぬ)


その中に——俺もいる。


(ふざけるなよ……)


奥歯を噛み締める。


(死ぬために来たんじゃねぇ)


視線を走らせる。


敵の流れ。味方の位置。地形。


(……ある)


一箇所だけ。


(あそこなら——)


だが、その時。


(……来る)


直感だった。


背後。


騎馬隊の“空気”が変わった。


(もう、動く)


(間に合わない)


普通に下がれば、踏み潰される。


(なら——)


決断は、一瞬だった。


「——横だ!!」


叫ぶ。


「横に退け!! 今すぐだ!!」


「は……?」


周囲が固まる。


「いいから動け!! 死にたくなければ!!」


その時。


「……っ、行くぞ!」


さっきの男が最初に動いた。


一人が動けば、連鎖する。


二人、三人——


つられるように横へ崩れる。


俺も走る。


戦線から、わずかに外れる位置へ。


その——直後。


「——退けぇぇぇ!!」


号令。


(ギリギリだ——)



次の瞬間。


騎馬隊が、突っ込んできた。



地面が揺れる。

土煙が上がる。


一直線に、突っ込んでくる。


「うわああああああ!!」


悲鳴が上がる。


そして——


世界が、蹂躙された。


目の前の人間が、消える。


——潰された。


骨が砕ける音。肉が裂ける音。

悲鳴すら、途中で途切れる。


(……強い)


人じゃない。


——暴力そのものだ。


敵も、味方も関係ない。


踏み潰し、斬り裂き、押し上げる。


騎馬隊だけが、前へ出る。


戦線が、一気に動く。


「押せ! 押し切れぇ!!」


勝ちを確信した声。


(……もう、見えてない)


(……行きすぎだ)


「……あんた……!」


さっきの男が、息を切らしながら俺を見る。


だが、答えない。


ただ、前を見る。


(来るぞ)


その瞬間。


「——囲めぇぇぇ!!」


左右から、敵が現れた。


伏兵。


(やっぱりな……)


騎馬隊が、挟まれる。


「なっ——!?」


前に出すぎた。


後ろは、もういない。


「引け! 引——」


遅い。


横から槍。

後ろから矢。


馬が崩れる。

武士が落ちる。


さっきまで——


蹂躙していた側が。


一瞬で——


狩られる側に変わる。


(……これが、戦か)



気づけば。


俺の周りには、数人だけが残っていた。


「はぁ……はぁ……」


荒い呼吸。


だが——生きている。


「なんで……分かった……?」


答えない。


ただ、戦場を見る。


無数の死体。


(……助かった、か)


違う。


(生き残っただけだ)


——いや。


(違う)


ゆっくりと息を吐く。


(俺は——選んだ)


前に出れば死ぬ。

下がれば踏み潰される。


その中で——


(“横”を選んだ)


それだけで——


生き残った。


拳を握る。


(運じゃない)


(見て、選んだ)


胸の奥が、わずかに震える。


恐怖じゃない。


(……使える)


この力は——


(生きるために使える)


「……動けるか」


全員が、こちらを見る。


「ここにいても、また巻き込まれる」


誰も、否定しない。


歩き出す。


戦場の外へ。


死体の間を、縫うように。


(俺は——)


誰を生かして、

誰を見捨てるか。


その全てを——


選ぶ。


(……次も、生き残る)


(続く)

読んでいただきありがとうございます。

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続きも毎日更新していきます。

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