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戦えない俺は見捨てて生き残る——戦場の違和感から全てを操る転生戦国記  作者: 黒狐
第11章 堕ちゆく者編

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第125話 戦況の変化

白蓮本国――城下。


 黒曜軍による攻城戦が始まっていた。


 城門へ向かって兵たちが押し寄せ、白蓮軍が必死にそれを食い止めている。


 その最前線で、牙城兵馬は刀を振るっていた。


「押せェ!!」


「城門を破壊しろ!!」


「このまま一気に落とすぞ!!」


 黒曜軍は、白蓮本国を落とすために攻め続けていた。


 だが――。


「ほ、報告します!」


 後方から、一人の兵が慌てた様子で駆けてくる。


「白蓮討伐に向かった鷺森殿、篠塚殿、共に……討死!!」


 牙城の動きが止まった。


「………あァ!? そんなわけあるか!!」


 牙城が怒鳴り声を上げる。


「あれでも黒曜三騎士の二人だぞ!! 鷺森殿も篠塚殿も、そんなやわじゃねェ!!」


「し、しかし……」


 伝令の兵が震えながら答える。


「亡骸がありまして……ただ、争った形跡などなく……不意打ちのような形ではないかと……」


 牙城の顔が怒りに歪む。


「くっっそがァァァ!!!!!!」


 握り締めた拳が震える。


「ぶっ殺してやるっ!!!!」


 牙城は周囲を睨みつけた。


「攻城戦は後だ!!」


 その声に、周囲の兵たちが振り向く。


「反転して白蓮軍を迎撃する!!」


「はっ!」


「白蓮本国はその後に皆殺しだ!!」


 牙城は怒りを剥き出しにしながら、兵たちへ命じる。


「鷺森殿と篠塚殿を殺した奴を探し出せ!!」


「必ず見つけてぶっ殺す!!」


「はっ!!」


 黒曜兵たちが一斉に動き始める。


 その直後だった。


「も、もう一つ報告がありまして……」


「あああ!?!? これ以上なんだってんだ!!!」


「ひいっ」


 伝令の兵が肩を震わせる。


「……で、なんだ」


「そ、それが……」


 兵は恐る恐る口を開いた。


「我ら黒曜本国が、白蓮四天王に攻撃されているとの報告が……」


「なんだとっ!?」


 牙城の目が見開かれる。


 白蓮本国を目前にしていた黒曜軍に、新たな事態が発生していた。


ーーーーー


 その頃――。


 黒曜領。


 二人の男が進んでいた。


 白蓮四天王――氷牙と赤堂烈真。


 二人の身体には、先の戦いで負った傷が残っている。


 それでも、足を止めることはなかった。


「白蓮の状況が心配だが、ここまで来たら進むしかねぇな」


 赤堂が前方を見据えながら言う。


「一刻も早く黒曜を攻略して帰国しなければな」


 氷牙も静かに答えた。


 二人が歩みを進めていく。


 やがて――。


 巨大な城が姿を現した。


 黒曜軍軍師、久我景定。


 その男が守る居城――影月城。


「問題はここなんだがな」


 赤堂が城を見上げる。


 高くそびえる城壁。


 その上には、多数の黒曜兵が並んでいる。


「主力は白蓮に行ってるが……我らだけで攻略できるか」


「…………」


 氷牙はしばらく影月城を見つめていた。


「ここを無視して黒曜本国へ行き、黒曜景綱を討つことも出来る」


 氷牙が冷静に言葉を続ける。


「だが、背後から狙われて挟撃される可能性もある」


「……確かにな」


 赤堂が腕を組む。


 目の前にある影月城を攻略するか。


 それとも無視して黒曜本国へ向かうか。


 どちらを選んでも、危険はある。


「さて、どうするか……」


 二人は、しばらく影月城を見据えていた。


ーーーーー


 そして――。


 雪の降りしきる中を、白蓮本国へ向かって進む三人の男たちがいた。


 黒狼。


 九鬼影宗。


 そして黒川宗十郎。


 しばらく無言で歩いていたが、やがて黒川が口を開いた。


「あと一人ですね~」


「…………」


 九鬼は何も答えない。


「また油断させて殺します?」


 黒川は楽しそうに笑っていた。


「…………」


 黒狼もしばらく答えなかった。


 そして、静かに口を開く。


「いや、牙城は今までのようにはいかない」


「温存していた軍を動かす」


「っ!」


 九鬼の目が見開かれる。


 これまでの黒狼を見て、また武士道とはかけ離れた戦いをするのだろうと、半ば諦めていた。


 だが――。


 黒狼は牙城の性格と戦力を見極めていた。


 九鬼の目に、わずかに光が宿る。


「いやいや、九鬼ちゃん驚きすぎでしょ~」


 黒川が笑う。


「あの二人だって、やりたくてやってたんじゃないんだからさ」


「…………」


 九鬼が黒川を見る。


「お主の言うことは信用できん」


「えぇ~?」


 黒川が困ったように笑う。


「ひどいなぁ~」


 九鬼はそれ以上何も言わなかった。


 黒狼も、二人のやり取りには構わず前を見据えている。


 白蓮本国には、まだ黒曜軍がいる。


 そして、その指揮を執るのは黒曜三騎士最後の一人――。


 牙城兵馬。


 これまでの敵とは違う。


 正面から戦えば、こちらにも大きな被害が出る。


 ならば、どうするか。


「…………」


 黒狼は考え続けていた。


「さて、どうするか……」


 雪が降り続ける。


 それぞれの場所で、戦況が大きく動き始めていた。


(続く)

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