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稲守任三郎とダンジョン戦記  作者: 正方形の木箱
第二章 笹山楓と高須芽愛里

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67話 稲守任三郎と新人教導任務④

「ブモォ!」


そして、数10mと近づいた瞬間、オークは跳躍して、両腕を振り上げ攻撃をしかける。


(やばい!けど飛んだって事は!)


跳躍したという事は、着地するまでは何もできない。

閃光弾をその場に投げ、オークの下をくぐるように前に飛び込み、前転しながら受け身を取る。


空中で強烈な閃光に見舞われたオークは、着地に失敗してしまう。


「ブヒャア!?」


受け身を取れず、地面に激突し軽微だがダメージを喰らうオークに対し、

散々訓練した成果によって、難なく受け身を取り、起き上がると同時に銃を連射。


ダダダダダ!


マガジン全てを撃ち込み、距離をとって急いでマガジンを交換する。


(早く早く!)


腕を素早く動かしマガジンを交換、次射の準備をしながら、オークを見る。

まぐれかはわからないが、倒れたまま動かないオークは、着弾した頭部から光の粒子が漏れ始め次第霧散、消えてしまった。


「や、やった!」


気が抜けて、地面に座り込んでしまう高須。


『へー、運がいいね君』


どこからともなく声が聞こえてきた。


「へ?」


『…君は…そうか…。へ〜…』


「えっと…誰?」


『ま、いっか、薄いからね。でだ、オークの討伐おめでとう!報酬部屋があるから好きな方をって、そうだ今はポーションしかないんだった。ま、これからも頑張ってよメアリーちゃん』


(なんでメアリーなんだろう?)


帰ったら調べようと頭の片隅へ追いやりつつ、ポーションを宝箱から取り出して岩山エリアへと戻る。

身体強化魔法が中途半端だったせいか、魔力は消費しており足取りが重い。

岩山エリアに入った途端、笹山が駆け寄ってきて身体を支えられる。


「芽愛里!」


「楓、やったよ私」


「うん、おかえり!」


篠山は休憩用テントへと高須を預け、疲労と安心したからなのか直ぐに眠ってしまった高須を起こさないように静かにテントを出た。


~笹山楓side~


次は笹山の番となるが、オークの再出現には時間がある。笹山は銃や武具のメンテナンスをしつつ、稲守と加賀に協力を願った。


「あの、今の時点で攻撃魔法ってどれくらいあるんですか?」


「魔法かー、一応あるにはあるが、魔法には向き不向きがあるんだ」


「ゲームとかにある使える使えないって感じですか?」


「それに近いかもね。適正って言うのかな。俺は火魔法が苦手でね、他の魔法と一緒に混ぜれば使えるんだけど、どうしても単体だと威力が無いんだ」


「私は近接用の魔法が苦手ね。稲守さんが良く使う近接魔法はさっぱり使えないみたい」


「それはどうやったら…」


「使うしかないね。使って確かめないといけない。慣れない内は身体強化だけが良いとは思うけど、そこは自分の選択だからね」


とりあえず端末のアプリを開いて魔法一覧を見るが、オーク討伐時点では使える魔法の種類は少ない。


「そういえばなんで魔法ってこの詠唱?が必要なんでしたっけ」


「というより、魔法は詠唱が無いと発動しないようになっているんだ。何故かはわからないけどね。もちろんある程度は短縮できるよ前にオーク戦で使ったようにね」


それからは稲守と加賀に協力してもらい、笹山が得意な魔法を探してみる事にした。

オークへの挑戦も控えているので、あまり時間はない。


光弾、風刃、魔弾と詠唱を使ってみるが、威力が低い。

続いて、土の槍、氷爆と使ってみると、正常に発動した。


「なるほど、君は土と氷が得意で、火と風は混ぜれば使える感じだね」


「土と氷…そういえばもう一つ、魔法の数ってここに乗ってるのだけなんですか?」


現在登録されている魔法は、殆どが稲守が使った魔法だ。

他にもいくつか多田が集めた資料を元に作られた魔法はあるのだが、詠唱文がとても長く、魔力消費量が多すぎて満足に使える人間がいないため、公開すらされていないもの、そして稲守が使う、自傷する危険性のある魔法も除外されているのだ。


「載っているのは安全で、使いやすい魔法がほとんどなんだ。俺がよく使う魔法や、魔力消費量が多くて使えない魔法も結構多いんだよ。後は魔法の研究自体が余り進んでいないんだ。詠唱文が長くなるし、威力との兼ね合いとなると、風刃や、魔弾、光弾系が手ごろだからね」


「じゃあうちが魔法を考えてオリジナルを作って良いって事ですか?」


「それはもちろん」


それからはオークに挑戦するまでの時間を魔法に費やす事にした。


(詠唱が魔法の説明書みたいなもの?って言ってたよね)


例えば土の槍は、周囲の土を集めて凝縮し、それを尖らせ飛ばすという詠唱文になっている。


(んー、プログラミングみたいな感じだと絶対長いよね)


今使っている銃を見て、ふと、弾を魔力で作って装填すればもっと撃てるし、隙も減るのではと考える。どうしてもリロードに時間はかかるし、隙が生まれる。短機関銃の空のマガジンを持ち出し、銃弾を観察をしてみる。


(たしかうしろに火薬があって、前の硬いのを飛ばすんだったよね)


「弾芯、薬莢を土魔法で再現生成、形状は5.56mm弾をコピー」


掌に5.56mm弾と見た目そっくりな銃弾が生成された。

次はこれに火薬を混ぜて見る。完全な銃弾として役目をはたせるかどうかだが。


「弾芯、薬莢を土魔法で再現生成、火薬を火魔法と土魔法で合成生成、形状、構造は5.56mm弾をコピー、実行名、5.56mm魔力銃弾生成」


(できた!けどこれじゃいちいち装填しないといけない・・銃を変える必要があるかも)


加賀と稲守に相談した所、申請によって、銃の変更はできるのだそうだ。

しかし、今日この場で使えるのは、整備用テントにある、44マグナム、他の銃は取り寄せやらチェックやらで間に合わないらしく、ホルスターと合わせて44マグナムを2丁借り受けた笹山は、構造の把握と銃の反動に慣れるため、そして魔法による給弾もテストに時間を費やす。


(よし、後はどうやって魔法によって給弾するか)


「弾芯、薬莢を土魔法と鉱物で再現生成、火薬を火魔法と土魔法で再現生成、形状、構造は44マグナム弾をコピー、生成、実行名、44魔弾」


笹山の手のひらに魔法によって作られた魔力弾が出現する。


後はこれをシリンダー内に自動で装填するだけだ。


「44魔弾、シリンダー内生成装填」


空になったシリンダー内に、魔力で出来た銃弾が生成される。

魔法名を変えても使えた事、そして思った通りに使えた事が嬉しくなり、更に次のステップへと進む。

装填数は6発、生成装填だけでは1発のみ。44マグナムは最大6発の弾が装填できるので、6発分を同時に装填できるかを試す。


「44魔弾、シリンダー内全弾生成装填」


何故かは不明だが、両手にもったリボルバーに同時に6発の魔力弾が生成された。

試しに撃つと、先ほどまで試していた実弾と同等の威力が、破壊された銃撃された岩が物語っている。


続いてはリロードの一言で再現できるかを試す。


「リロード」


何も起きず、問題が無い事を確認し、もう一度試す。


「44魔弾、リロード」


銃のシリンダーが光り、弾が装填される。その後使っていた自動小銃にも試すが、弾は自動で装填はされなかった。構造の問題なのだろうか。


「やった!」


準備万端となった笹山は、時間まで体を休めるため、シャワーを浴び、動画を見ながらオークの動きを頭に叩き込んでいく。


そして時はくる。


「では行ってきます」


稲守と加賀に挨拶し、オークがいるエリアに向かう。



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