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稲守任三郎とダンジョン戦記  作者: 正方形の木箱
第二章 笹山楓と高須芽愛里

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68話 稲守任三郎と新人教導任務⑤

加賀と稲守に送られた笹山は、オークエリアへの道を進むが、1人で歩く通路内は暗く、狭い道は、何もないとわかっていても警戒をしてしまう。


(うわぁ、来るときは人数いたから明るかったんだ)


ゆっくりと歩いているせいか、岩山エリアまで来た時よりも移動時間が長く感じたが不思議と恐怖や恐れは無く、好奇心が笹山の心を躍動させる。


少し進むと篝火が見えた。オークエリアの入口だ。


中を覗くと、岩山エリアより広く、奥には越生で見た時と姿形がそっくりなオークがこちらをじっと見ていた。


(いる、でも越生で見たのと同じ?)


オークはこちらをじっと見つめるだけで、映像で見た個体とも、一度稲守が戦った時のような警戒する仕草もせず、ただただ立って居るだけだ。


(うち的には強いのがいいんだけど…贅沢は言えないか)


リボルバーを取り出し、シリンダー内に魔力で出来た弾があるのを確認、戦いに備える。


一歩、エリアに脚を踏み入れた瞬間、オークは声を上げ、魔力を放出しながら全速力で走り出す。


「ブモオオオオオオアアアアアア!!!!」


ドドドドドと大きな音と土煙を上げながら走るオーク。


(これじゃ脚が狙えない!やっぱ越生のとは違う!)


オークは学んでいた。

魔法にしても銃という鉄製の筒にしても、人間は脚を狙う、そして動き周れば脚を止めて必死に筒を動かす。姿勢を低くし、脚に力を込めて土煙を上げながら走ればあの鉄の弾は飛んでこない。魔法にしても放出する魔力によって威力が弱まる。

つまり、動くのを、魔力の放出をやめたら死ぬが、止めなければ死なない事を理解したのだ。


(だったら!)


両手に持ってるリボルバーの右手側で胴体に向けて連射する。


笹山の使っているリボルバーはシングルでもダブルアクションでもないオートマチックリボルバーと呼ばれるもので、射撃時の反動を利用し、ハンマーのコッキングとシリンダーの回転が同時に行われるタイプだ。

つまりは、いちいちハンマーを操作しなくても良く、しかも銃弾は魔力によって生成、装填されるため、リロードをする必要も隙の心配もない。

さらにはトリガーよりも前面にシリンダーが配置されている特殊なタイプのため、反動制御はしやすく、連射は容易だ。


装填されている44魔弾の威力は44マグナム弾と同程度、これまで使っていた銃に使われていた5.56mm弾の約3倍、大型の獣すら狩れる。


連射される魔力弾をオークはなんとか避けようとジグザグに走る。

しかし途切れない連続射撃によって焦ったオークは、銃弾を避けるのと方向転換をする為に減速、埒が明かないので、突撃しようとしたその瞬間、胴体に複数の痛みを感じた。

笹山のリボルバーによる銃撃だ。

オークは痛みをこらえつつ動き出そうとするが、鈍った所に脚、腕と銃弾を受け、動きが止まる。


(ここ!)


止まった隙を見逃さない笹山は、そのまま弾を装填しつつ連続射撃。

なすすべもなくオークは光の粒子となり、霧散した。

消えたオークに安堵した笹山はリボルバーを腰のホルスターにしまい、身体強化魔法を解除、深呼吸する。


(これは、魔力使い過ぎたのかも)


身体強化魔法と魔力による銃弾生成によって、笹山の体内魔力がギリギリな状態だった。

体力も魔法による反動で限界に来ており、立って居るのがやっとだ。


「はぁ、はぁ、はぁ」


落ち着いて呼吸を整える笹山。


『へぇ、おもしろい魔法を使うね』


(は!?)


また敵かと思った笹山は疲れる身体にむち打ち、なんとかリボルバーの一本を両手で構え、警戒する。


『無理をしない方がいい、魔力が限界だよ君。ま、とりあえず、オークの討伐おめでとう!この先はもっと辛いがどうか先へ進んでくれ』


(…よくわからないけど、ありがと)


報酬部屋まで時間をかけてたどり着き、宝箱からポーションを取り出し一本を飲み干す。


「ぷはぁ!」


疲労感は改善するが魔力は回復しないからかだるさは残ったままだ。


「とりあえず戻ろ」


ゆっくり、来た時より時間をかけて岩山エリアへと戻る。


「オーク、討伐しました!」


エリアに入ってすぐ、声を上げて報告してそのまま膝をつく笹山。


走り寄ってきた加賀に肩を借り救護テントへと運ばれる。

そのままベッドに寝かされ、起きたのは7時間後だった。


一方高須と笹山の体力が回復するまで、加賀と稲守は今後の相談を行っていた。

オークや、この先にいるワーウルフ、リビングアーマーについてだ


「加賀さん、やはりここのオークはおかしいですよ」


「それは私も感じてました。他のダンジョンでも遭遇しましたけど別格ですね」


オークは千葉の別のダンジョンでも確認されているが、養老ダンジョンの個体のように銃や魔法に対しての対抗行動はしないため、銃撃によって容易に倒せる。


「オークの上位版、オークレベル2という感じで改めるべきだと思うんです」


「つまり上位個体と定義すべきって事ですか?」


「えぇ、館山ダンジョン、養老ダンジョンの個体よりも、一段は上、というより、10階層で戦う相手と同じような感じなんですよね」


「そうですね、他のダンジョンだと5階層でやっと通常のオークですから」


加賀も他のダンジョンを調査しては感じた事だ。

現状、同じモンスターで強さが異なるのは、オーク、ワーウルフ、スケルトン、リビングアーマーの4種類が確認されている。

館山ダンジョンや、様変わりした養老ダンジョンでも遭遇はするが、スケルトンは10階層、ワーウルフは15階層で戦うため、4階層という浅い階層で戦えるのはここだけなのだ。


そして問題はオークの先にいる、ナイトゴーレムと、ワーウルフの存在だ。


「正直、銃だとナイトゴーレムはきつすぎますから、魔法による攻撃はどうしても必要ですね」


「そうだ、それで思い出しました、稲守さんにご相談がありまして」


「相談?」


「何か、サハギン討伐時点で使える攻撃魔法は無いのでしょうか」


「サハギンでですか…新人教育とかで魔法使いたいとか言われた感じですか?」


「はい。私は今二期性の教官をしてまして、魔法が使えないとなるとやる気が無くなる生徒が多く、修練課程が終わらないのです」


「まー、魔法は使いたいですからねぇ…」


現状、検証の結果、サハギンの討伐時点で使えるのは水を出す魔法、ライター程度の火を20秒程出せる魔法ぐらいだ。


「水を出せるだけでも凄いのに魔法を使った挙句、思ったのと違うと駄々をこねる人までいるそうで…」


千葉ではないが、ゲームみたいに使えると、創作作品みたいに無双できると思った人は多いようで、県によっては入学前の訓練プログラムの説明をした時に、辞退を表明した人もいるくらいだ。


「難しい問題ですね。正直、魔法だけで戦うのだって、ワーウルフ、15階層相当まで行かないと魔力的に厳しいですから。ただこれは口で言ってもわからないのでなんとも。個人的には、夢を見て命を捨てるより、現実を見て命を大事にする方が良いかと」


「私もそう思います。銃だけで倒せるならそれに越したことはないのですが、訓練も厳しい、辛いと逃げてしまう人がやはり多いようで」


「仕方ないと割り切るしかないと思いますよ。笹山さんと高須さんを見てると俺が言うのもなんですが、珍しい部類にはなると思いますし」


「割り切るですか…、少し考えてみます。ってそうだそろそろ私は戻らないと」


「そうなんですか、今度会う時はいつになるかわかりませんが、何かありましたらすぐに連絡しますね」


「はい、ではまた」


加賀は1人岩山エリアを出て、ダンジョンから出るのであった。

話に夢中でテントから見る二人の視線には気づかずにいた。


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