アリスの緊縛訓練
【アルバート家の朝】
アルバート家に新しい朝が来た。
「ふわあぁぁ…昨日は目まぐるしい一日だったな…」
日の出から1時間といったところか…ヒイロのベッドの布団の中で、昨夜から侵入して来たサーシャが寝ていた。
「気持ち良さそうに寝ているな。寝顔は普通の女の子なんだが…サーシャも過去に色々あったんだな…」
猫の様に身体を丸め、年相応の無邪気な寝顔からは到底、昨日のような積極的な姿を思い浮かべるには無理があった
それ程、彼女の昨夜の姿と今の姿には、完全に別人のような差を感じているヒイロ。
「全く年頃の女の子は難しいぜ…どれどれ♪」
ヒイロは人差し指で、サーシャの顔をツンと押してみた。
「ん、んうぅ…」
サーシャは突かれた場所を、その小さな手の甲で擦る
まるで子猫が自分の手で顔を拭く様に、ヒイロに突かれた場所を拭いては身体をくねらせ、時には小声を漏らしていた
「あはは。可愛らしいじゃないか♪」
こう見ると可愛い少女でしかないのだが…
(奴隷市場か…サーシャは俺の予想以上に、色々な経験をしてきたのかも知れないな)
そうこうしてると、サーシャはゆっくり瞼を開いて周りを見渡す。ヒイロの顔を確認すると、幼くもあり、妖しさを覗かせるかのような笑みを浮かべた
「お兄さま、おはようございますですの。昨夜は…その…色々と…すみませんでしたの!それと、ありがとうございますですの♪」
そう言うと腕をヒイロの腕に絡めて、ピタリと身を寄せてきた
(やはり、サーシャが1番サイズが大きいようだ。12歳とはいえ押し付けられれば確かな弾力が感じられる)
サーシャは顔を俺の胸に押し当て、小さく息を吸う
「やっぱり、お兄さまの匂い…安心しますの……さて、そろそろ朝ご飯にしましょうか?」
サーシャは布団から起き出すと、ヒイロの手を掴んだ。
「そうだね。まずは顔を洗いに行こうか?」
サーシャは、そのままヒイロの手を引っ張り、洗面所まで一緒に歩いて行った
(年頃の女の子は、場合によっては懐いてもらうまでに、かなりの時間を必要とする場合が多いらしいがサーシャには、かなり好意的に思ってもらえてるようだ。良かった♪)
2人で洗面所に立ち、顔を洗って歯を磨いた。ひと動作ごとにサーシャは、ヒイロの顔をチラ見してきた
「良く眠れたか?」
「はい、ですの♪」
それに対して優しい笑顔を返したサーシャ。そこからは昨日の妖しさは感じられない
「んっふふふふ~ん♪」
サーシャはキッチンに立ち調理を始めた。ヒイロも多少の手伝いをしようと、野菜を洗い簡単なカットをしていた
「ガチャ…あ、兄さんとサーシャ、起きてたんだね…ふあぁ…おはよう」
カルーアが起きて来た。
「洗面所に全員分のタオルが置いてあるから顔を洗ってきな」
「あ、ありがとう…」
そう言うとカルーアは少し大きめの寝巻き姿で、顔を赤く染めたままヨチヨチと洗面所に歩いて行った
(昨日は兄さんと一緒にお風呂を///)
「カルーアは少し朝が弱いのかな?」
カルーアは昨夜ヒイロと一緒に風呂に入り、背中を流してあげたことを思い出して赤面していたが、ヒイロはその事を理解していないようだ
「そうかも知れませんね。でも1番のお寝坊さんはアリスお姉さんみたいですの(笑)」
「ガチャ」
そう言って、サーシャが向けた視線の先にはアリスが居た。
「おはようアリス♪」
枕を脇に抱え、寝巻きがズレて肩を出したアリスは凄く眠そうにしている
「お兄ちゃん…サーシャ…おあよぉ…」
アリスはかなり朝が弱いようだ。アリスにもカルーアの時と同様に、洗面所の説明をしたヒイロ
「出来ましたの。皆さん席に着いて欲しいですの♪」
程なく朝食は完成した
キッチンの部屋の中央にあるテーブルにヒイロとサーシャが横に、向かい合わせのヒイロの正面にアリス、サーシャの正面にカルーアが座って「いただきます」をした
「んふぅ!美味しいよぉサーシャ♪」
夕飯はヤンチャ坊主のようにガツガツ食べていたが、朝はゆっくり食べている。どうやらアリスは、朝はかなり弱いようだ
「ねぇ、兄さん。近場で出来る仕事とかは無いのかい?わたしも家族の為に何か役に立ちたいんだ」
朝食を食べながらカルーアが提案してきた。それを聞き「アリスもアリスもぉ!」と言ってきた
「それなら、ご飯の後に少し訓練するか?」
工房の裏手は広い庭があり、簡単な訓練場になっている。そこで2人の動きを見る事にした
「アリス。工房の中に貸し出し用のソードがいくつか置いてある。使いやすそうな物を取っておいで」
「うん、わかったぁ♪」
アリスは笑顔で家の中に戻って行った
まずはカルーア
「貸し出し用の弓をカルーアの身長に合わせて調整してある。それを使ってみな」
庭の中の1番大きな木の枝に、木製の円の的をぶら下げた。そこに矢を撃ち練習出来るようにした
「ありがとう…兄さん、いつの間にこんな準備を?」
実は用意した訳ではなく以前、木製のおぼんを作ろうとしたのだが、分厚く作ってしまった為におぼんには使えず、お蔵入りしていたのを出してきただけだった
「んんん…バシュ…バスん!」
「おお!流石エルフ上手いな。ど真ん中じゃないか!」
「えへへ。まぁね♪」
エルフ族は弓の扱いが上手い、というのが世間の常識だが、カルーアの弓の腕前も大したものだった
次にアリスのソードの腕前を見ることにしたが…
「え?2本持ってきたのか?」
「うん!義父さんから「アリスは2本使う方がいいな」って言われてたんだぁ♪」
右手に刃渡り70cm程のソードを持ち、左手には刃渡り50cm程のソードを持っている
「二刀流は初めて見るな…」
右手のは叩き割るのも出来そうな厚みがある。そして左手のは、やや細身のソードだった
「さぁ、始めよう。お兄ちゃん♪」
「寸止めで勝負するぞ。お互い怪我の無いようにな」
怪我をする可能性もあるが、アリスの実力を見る為に敢えて、ヒイロは鋼のソードを持ち構え、手合わせを開始した
「エィ、ヤアァ!」
(なるほど、破壊力の高い右手の武器を振り回し左手の軽い方で、その隙を突かれない様に牽制をする戦い方か…それなりに訓練を積んではいるみたいだが、それでも時折隙があるな)
アリスは獣人族特有の高いスタミナと俊敏性を活かすために、二刀流で戦っているようだ
「しかし、コンビネーションに隙が多いな!」
(右手の攻撃をソードでいなし彼女の右側に回り込めば、彼女の左のソードはコチラに届かない!)
「ガキィィん!ピタッ」
ヒイロはアリスの攻撃をいなすと、すかさず鋼のソードをアリスの首筋に添えた
「うっ!…まっ…参りましたぁ…」
「特に大振りし過ぎって程ではないみたいだけど、バランス感覚が良くないな。連続攻撃をし出すと、身体の中心がぐらついているぞ。しっかり固定出来ると安定するだろうな」
「そ、そうなんだぁ…じゃあ、その為の訓練をして欲しいよぉ!」
アリスはバランスを取る訓練を申し出て来た。カルーアの方を見ると、弓射ちを真剣にしていた
アリスを連れて庭の奥にやって来た
ココには2つの太めの木に、厚さ3センチの2本のロープを平行に縛り付けて、ロープを橋状にしてある
「バランス感覚を鍛える為のロープの吊り橋だ。この上でソードを振ってごらん…体勢が安定する様になるぞ」
ロープは地面から高さ1.5m程の位置にある。片方の木にハシゴがあり、ソコからロープの上に乗れる。
「……こんな感じだ」
「お兄ちゃん、凄ぉい♪」
まずはヒイロがロープの上でソードを振る姿を見せた
「さぁ、アリスもやってごらん」
「うん!見ててね」
案の定、ロープの上でソードを振るとアリスはバランスを崩してフラフラする
「お兄ちゃん、コレは難しいよぉ…」
しかし、この上で安定して振れる様になれば、隙の無い戦いが出来るようになる
「慣れればそんな難しい事じゃないぞ。焦らずゆっくり慣れていけば良いぞ」
ヒイロは少し離れてアリスを見守った。何とか落ちないように、踏ん張りつつソードを振るアリス
「でも、こんな攻撃じゃ何も倒せないよぉ…えーい!」
しかし、無理して大きく振った時、アリスはバランスを崩した。が、ロープを強く踏み込んで堪えた。
「まだチカラを込めるのは早いぞ。もっと慣れてからにするんだ!」
その時!ヒイロの横でロープの編み目が緩み出した。
「あわわ…きゃうぅ!」
ロープの1本の張りが弱くなりアリスはバランスを崩しロープにうつ伏せにしがみついた
その振動でロープは結び目が一気にちぎれた!このままではアリスは地面に激突する。
「危ないっ!」
ヒイロは慌てて切れたロープを掴んだ。アリスの体重がロープにのしかかった。ヒイロは彼女が落ちないように、チカラを込めてロープを支えた
「あぁん!ロープが…股にくい込んでるぅ。い、痛いよぉ…」
(なんて事だ!俺の持つロープがアリスのヤバい場所にくい込んじまってる!)
ヒイロは思わずロープを持つ手を緩めた。アリスの身体が大きく傾く
「落ちる、ヤバい!」
ヒイロは再びチカラを入れて引っ張った
「あっ、あぁ…」
その動作でロープはアリスの股の間に食い込んだ。
(ヤバい、アリスが墜落する!?いやいやそれよりも、こんな場面をカルーアやサーシャに見られたら…どんな誤解をされるか分かったものじゃない)
「お兄ちゃぁん。助けてよぉ…」
アリスと10mくらい距離を取っていたヒイロは少しずつロープを手繰り寄せ、アリスの方に近づいて行った…
「もう少しだ。頑張れ!」
引っ張っては近づく。を繰り返し慎重にアリスに近付く
(ヤバい、ヤバい、ヤバい!こんな所を見られたら、色んな意味で取り返しのつかない事に…)
何とかアリスを落とさないように接近し彼女を抱き留めた
「はぁはぁ…凄い経験しちゃったぁ…」
地面に手を付きグッタリしたアリスは、荒い呼吸を繰り返していた
「お、お兄ちゃん…アタシ…この訓練はコリゴリだよぉ…」
アリスは蕩けた目でヒイロを見つめてグッタリした
「アリス、大丈夫か?」
アリスはヒイロに身体を預けて気を失った…
続く




