サーシャと夜の密会
【アルバート家の浴室】
照れながらもカルーアが、俺の背中を洗い流してくれていると
「あの、ヒイロ。話があるのだけど良いかい?」
立ってヒイロの頭をワシャワシャ洗ってくれているカルーアが、恥ずかしそうに話しかけてきた
「なんだ、改まって?」
「あの…あれだよ…いきなり押し掛けた私達を迎え入れてくれて…ありがとうね。感謝してるんだよ…で、でもね。こんな事はコレっきりだよ!」
「ザパァ!うわっぷ」
勢い良くヒイロの頭部の洗剤を湯で流してくれたカルーアは、そそくさと風呂から出て行った。
「ちゃんとお湯は抜いておくんだよ///」
アリスとサーシャと入った時からずっと居たので、のぼせそうだったのか?恥ずかしさに耐えかねてなのか?そそくさと出て行ったカルーア
「なんだかな…ともあれ、カルーアから受けた悪戯に一矢報いたな♪」
予想外の形だったが、カルーアとコミュニケーションが取れたことを喜ぶヒイロ
「ガチャ、パタン。ドサッ…ふぅ」
風呂を出て自室に戻ると、シャツとパンツの姿でベッドに転がったヒイロ
(幼い少女3人との同居生活か…このまま上手くいくのだろうか?)
そんな不安はあったが…
「でも、出だしとしては中々順調だと思うな。このまま本当の兄妹の様な生活を築いて行ければ良いのだが…」
そんな事を考えながら部屋の隅に目をやると、父親の為に新しく作り上げた剣があった
(本当に死んじまったのか親父?俺は未だに信じられないよ…遺体の確認はしたが、まだ実感が沸かないな…三姉妹たちもそうなんだろうか?)
そんな事を考えながらボーッとしていたら「コンコン」とノックがあった
「どうぞ」
そう答えると扉は静かに開き、中へ入って来たのはパジャマ姿のサーシャだった
「お邪魔しますの…」
サーシャは静かに扉を閉めると、静かにヒイロの元まで近寄って来た
「どうしたんだい?」
突然の夜の来訪にドキドキしつつも、柔らかく問い掛けたヒイロ
「お兄さま、夜分遅くにすみませんですの。あの…眠れなくて…話し相手になって…欲しいですの…」
12歳の少女を前にパンツ姿はどうかと思い、腰までシーツを掛けて…
「そこに腰掛けると良いよ」
ベッドの縁に腰掛けて良いよ。と、言う意味でヒイロは言ったのだが…驚いたことにサーシャは…
「有難うございます、お兄さま…それでは失礼しますね♪」
あろう事かサーシャは腰掛けるのではなく、布団の中に入り込んで来た
「あ、あの、そういう意味では…」
「ピトッ」
サーシャは同じ布団に入って来ただけでなく、その小さく柔らかい身体をヒイロの身体に寄り添わせてきた
「やっぱり安心しますの♪」
「ど、どういう意味かな?」
ヒイロは焦りのあまり声が裏返っていた。ついさっきまでカルーアと一緒に入浴していたし…今、サーシャが同じ布団に入っている
(くっ、甘くて良い匂いが…)
昼間カルーアに言った様に、女性の免疫が無い彼にとって今の状況は、かなり刺激が強すぎるようだ
「あの…お兄さまはお義父さま達のパーティが、本当に全滅したと思ってますか?」
「たった今、俺も同じ事を考えてたよ…Aランク2人とBランク2人の4人パーティが、街の近くで全滅するなんて考えられないからな…………でも、ギルドで確認した遺体は…やはり父親たちだったと思う…」
「やっぱり、そうですのね…」
返事を聞いたサーシャは、両手でヒイロのシャツの袖を掴んだ
「やっぱりお兄さまも、そうですか…もしかしたら、生きていないかな?って気持ちが捨てきれなくて…」
やはり10代前半の彼女たちに義理とは言え、親の突然の死はヒイロ以上に受け入れ難いものの様だ
「そうだね。でも事実なんだよな…」
ヒイロは右腕を回し、サーシャの頭を軽く撫でてあげた…サーシャの目は涙ぐんでいた
「そうですよね…」
その姿勢で、二人の時間が静かに流れた
「お兄さまも、お義父さまと近い匂いがします。少し安心しますの…」
亡き義父を思い出したのか、サーシャは小刻みに震えていた
「お兄さま、サーシャは甘えん坊なんです。少し甘えさせて貰って良いですか?」
(お互い急に親を亡くした身だ。寂しい夜は寄り添って、慰め合うのも良いだろうな)
「あぁ、遠慮なく甘えて良いよ」
ヒイロは妹達の良き兄であろうと思い、サーシャのお願いを受け入れたのだが…
「有難うございます。失礼しますね」
その後のサーシャの行動は理解不能だった。
「お、おいサーシャ?」
ヒイロの右腕にしがみついていたサーシャは、身体を滑らせ彼の胸の上に顔をうずめた
つまり、上下で重なり合う形になった。ピタリと密着すると、サーシャの胸は年の割に膨らんでいた。彼女は嬉しそうな笑みを浮かべている
「お義父さまと寝ている様で、凄く安心しますの。お義父さまと少し違うけれど…男の人の匂いは安心出来ますの♪」
(これはどういう事なんだ?……サーシャは父親と寝る時は、こうしていたのだろうか?まさか…義父と身体を?)
良からぬ想像が浮かんだヒイロ
(いやいや、ソレは無いだろう。良い歳をした冒険者が12歳の…義理とは言え娘に手を出すなど…)
ヒイロがサーシャと、彼女の亡き義父との夜の営みを妄想しかけた時…
「もっと甘えても良いですか?」
そう聞くサーシャの顔は、ヒイロの首元くらいの至近距離だった。サーシャの表情は、12歳の少女が見せるものとは明らかに違っていた
「失礼しますの♪」
そう言うとサーシャは、事もあろうにヒイロのシャツの中に顔を入れた。
「サーシャ?」
ヒイロは少しパニックになっていた!
(本当にサーシャの義父は、サーシャを女として相手していたのか?)
そんな動揺をしていた時だった…サーシャの右手はヒイロの足を撫で始めた。更にサーシャはヒイロの胸板に頬を擦りつけ始めた
「え?あの、サーシャ…」
何が起きているのか?完全に脳がついて行っていないヒイロ。1番年下のサーシャが積極的に、性的な奉仕をしようとしているのか!?
「どうですか、お兄さま。気持ち良いですか?」
風呂場で嗅いだカルーアの森の良い匂い。そして今、密着してるサーシャの甘い匂い
(くっ、このままじゃ…)
ヒイロの脳は焼き切れる寸前だ!
(これ以上ナニかされたら、理性が吹き飛びそうだ)
ヒイロはサーシャをシャツの中から引き出した
「どうしたのですの?」
引き剥がされた事に驚くサーシャ
「あのな!サーシャ…そんな事はしなくて良いんだ、な?」
そう言われサーシャはキョトンとした表情で首を傾げていた
「気持ち良くありませんでしたか?」
「そうじゃない!兄妹は、そんな事しなくて良いんだよ」
「どうしてですの?奴隷市場に居た時に、女性は男性にこうして気に入られようと努力してましたのに?」
どうやらサーシャは、日常生活の常識を奴隷市場で飼われて居た時に構築してしまった為に、少しズレているようだった
「良いんだ。俺たちは、そんなことをしなくても良い家族なんだよ」
..........................
「家族とはそういうものなのですね」
「サーシャも頑張ってきたんだな。こうやって話し合って、良い家族を作っていこうな♪」
ヒイロは長い時間を掛けて、優しくサーシャに説明した。長い時間を掛けた甲斐あって、サーシャは理解してくれたようだ
「すみませんでした。突然家に押し掛けたサーシャ達を受け入れてくださったお返しを、何かしないと申し訳なくて…」
どうやらサーシャは見た目よりも、考え方がずっと大人びすぎている。
「俺たちは家族になったんだ。焦らずゆっくり仲を深めていこうな」
彼女もまた、色々と抱えているのかも知れない
「理解しましたの。でも今夜は一緒に…」
今夜は隣で眠りたい。と言うサーシャの願いを聞き、ヒイロは同じ布団で眠ることになった
……………………………
「すやすや…」
しばらくサーシャを見守っていたヒイロ。彼女は疲れからか?先に眠りについた
「さっきは共同生活の出だしは順調だ。なんて思ってしまったが、そんな簡単なことではないようだな…」
ヒイロ、アリス、カルーア、サーシャの4人の同居生活はまだまだ始まったばかりだった…
続く




