初めまして、義理の三姉妹
【太陽系24番惑星エリスア】
この星では地球とは違って科学力は乏しく、剣と魔法で成り立っている
その星のある場所に商業都市【ヘルメスの街】がある。そこで武器防具の鍛冶屋を営んでいる19歳の男「ヒイロ・アルバート」
彼の父親は冒険者をやっていて、鍛冶屋として日の浅いヒイロは、彼の武器防具を治すのが一番の仕事だ
ヒイロを養う男は40歳を過ぎだ頃だが…彼自身も戦災孤児の為、正確な年齢は分からないらしい
義父は【ヘルメスの街】で1-2を争う冒険者なので、忙しい日々を送っていた
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今回は大きなクエストを受けたらしい。人族と敵対している魔族の部隊がこの街の付近で目撃されたと言うのだ。彼の任務はその確認と撃退にあった
「帰ったらお前の20歳の誕生日を盛大に祝ってやるぞ!」
義父はヒイロにそう言い、付き合いの長い3人の冒険仲間達と共に出発した
義父の武器防具はかなり使い込んでいて、ところどころ傷んでいたので帰ったら新しいのを贈ろうと思いヒイロは工房にこもり、新しいソードを作りながら義父の帰りを待っていた
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しかし、義父がアルバートの家に帰って来ることは2度となかった
クエストの途中、上級魔族の1団と戦闘になり父親のパーティは全滅してしまったらしい
ヒイロの義父はAランクの冒険者だった。その仲間もAランク、またはBランクだった
その義父のパーティが全滅するなど完全に予想外の出来事だった
「嘘だろ…義父が…」
冒険者ギルドからの遣いから言い渡された衝撃の事実に、その場に崩れたヒイロ
ギルドの遣いの者から、もうひとつ伝えられた話があった「冒険者ギルドで義父のパーティの遺品を受け取ること」だった
正直、ヒイロは遺品を貰いに行く気持ちにはなれなかったが、義父たちの形見は受け取らなければ…と、足取りも重くギルドに向かった
【冒険者ギルド】
「ヒイロ・アルバートさんですね?貴方の父親達の遺品を預かっております。それらを全て貴方に受領して頂きます…さ、こちらへ」
冒険者ギルドのスタッフにギルドの奥の部屋へと案内されたヒイロ
(それにしても義父たちの遺品って何だ?武器や防具かな?)
案内された倉庫の中には、冒険者の武器防具やアイテムは一切なく、代わりに部屋の中央に3人の少女が座っていた
「あの…もしかして彼女たちが?」
「はい、貴方の父親の冒険者仲間3人が所有していた少女達です」
「なん…だと!?」
(10代前半のこの娘たちが遺品だと!?それを俺に世話しろと?)
この世界は、昔から世界のあちこちで大小の戦争があった。それが激しさを増した50年前くらいから魔族が現れ、戦争中の人類の脅威となった
荒れた世界には孤児が溢れ、多少でも余裕のある者が孤児を引き取って育てている。今はそんな世の中だった。ヒイロも義父に引き取られ育てられたのだ
父親のパーティだった3人も、一人一人孤児を引き取って育てていたようだ。つまり、目の前の3人の少女とヒイロは父親のパーティの全滅により、4人とも孤児に逆戻りしてしまったのだ
そしてギルドのスタッフは、この街で鍛冶屋として唯一自立しているヒイロに3人を引き取れと言う訳だ
3人の少女から、1つずつ手紙を差し出された
その3通全てに「育て親の自分が死ぬ様な事があれば、リーダーの家に行け!」と、書かれてあった
つまり…ヒイロはいきなり、3人の少女の保護者になってしまった訳だ
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しかし、10代前半の少女たちが独立して生活するのは難しい世の中だ。他にどうしようもなかった
「俺はヒイロ・アルバート19、いや20歳だ。この街で鍛冶屋をやっている。行く所が無いんだろ?良かったら一緒に住まないか?」
ヒイロは3人を工房兼住み家へ連れて帰った
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確かに義父は言っていた
「20歳の誕生日を盛大に祝う」と。
(とんだ贈り物だな。彼女も居ない俺に、こんな女の子たちをどうしろと言うんだ?)
仕方なくヒイロは、3人を家の中に迎え入れた
【アルバート家】
「悪いけど自己紹介してくれないか?今日からこの家で4人で生活するんだから、名前も知らないと困るだろ?」
「アタシは獣人族で狼科のアリス14歳。2太刀の剣士見習い。父さんから鍛えられてるから、今でもそれなりに戦えるのよぉ!戦闘になったら頼ってね、エッヘン♪」
いかにも元気イッパイで天真爛漫そうな彼女は、身体を動かすのが得意なようだ
「私はカルーア…エルフ13歳だよ。風の精霊の魔法が得意で、多少は弓も使える…後方支援で役に立つ様に頑張るよ……いきなり3人で押しかけてゴメンね…宜しく頼むよ」
(これは珍しい!世界でも希少種族のエルフの女の子だ…なんだかハッキリ喋らない子だな。緊張してるのかな?)
「初めまして私はサーシャ12歳。回復系の魔法なら少し使えますの。それと、お料理が好きですの、宜しくですの…」
紅い髪の子がアリス
蒼い髪の子がカルーア
茶色い髪の子がサーシャ
と名乗った
(元気なアリスと、恥ずかしがり屋のカルーア、家庭的な感じのサーシャか…)
兎にも角にも奇妙な4人の同居生活が、突然始まってしまった
ヒイロの工房兼住み家は、玄関から入って西側に、工房と風呂、洗面所とヒイロの部屋。
東側に行くと、リビングと客間、キッチンの東棟。2つの棟を10メートルくらいの通路が繋いでいる造りだった。
ただ、東棟はキッチン以外は2部屋しかない。1つはヒイロの部屋だ。3人には残りの1部屋で住んでもらうしかなかった
8畳ほどの部屋に3人で住む。いずれ彼女達が大きくなったら手狭になりそうだ
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「紅茶を煎れたよ。どうぞ」
ヒイロは3人と自分の分、合計4人分の紅茶を用意した。テーブルに座っている3人は、明らかに緊張しているのが理解できた
「なぁ、聞いて欲しいんだ。まだ駆け出しの俺の鍛冶屋の稼ぎだけでは、4人の生活費にはならないんだ…義父が残してくれたお金もそんなには無いし…どうしようか?」
ヒイロだけが稼いでいるだけでは、いずれ生活費が破綻することを説明した
「なら、アタシとカルーアで近くに狩りに行く。そしたらお肉は買わなくても済むでしょ。どうかなぁ?」
「…そうだね、わたしがアリスのサポートをする。肉だけじゃなく、牙や毛皮はギルドで買い取ってくれると思うし…」
「それじゃあ、サーシャが2人が持ち帰った肉をお料理するし、2人が怪我したら回復してあげますの♪」
「なるほど、お互いの長所を活かして助け合うことで、何とか自分達4人だけでも、暮らして行けるかも知れないな」
3人の少女たちも、その方向で納得していた
「なら俺はアリスとカルーアの武器防具を作らせてもらうよ、鍛冶屋として一応10年の経験があるから、それなりの物を揃えてみせるよ」
「ヒイロってば頼りになるのね、褒めてあげるぅ。頭出してぇ♪」
「いや、恥ずかしいから遠慮するよ…」
「…いくらなんでも、ナデナデされて喜ぶ歳じゃないと思うな…」
「あの、みなさん。提案なんですけど、ヒイロお兄さま、アリスお姉さま、カルーアお姉さまって呼ばせてもらって良いですの?」
つまり、サーシャの提案は4人は兄妹の様に共同生活して行こう!という話だ
全員、サーシャの提案を受け入れた。今日からヒイロたちは4人ひとつ屋根の下で、生活を共にする事になった
(これって…今は亡き父親パーティたちからの贈り物(3人の少女たち)のおかげで、俺は1人寂しく生きなくて良くなったのか?
4人とも初対面で同居する事になったけど、これからは悲しみも喜びも4人で分かち合って、生きていけたら素晴らしいな)
ヒイロは3人の少女たちとの共同生活を、前向きに捉えることにした
種族も育った環境もバラバラな4人は、果たして上手くやっていけるのだろうか?
続く




