表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒロインに悪役を押し付けられた悪役令嬢、追放エンド後にラスボスの悪役公爵さまに愛重めに囚われる  作者: 秋名はる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/55

夜会の宴

婚約報告の式典のあと、私たちは王宮の夜会に参加することになった。


式典の日の夜は、かねてより参列者を招いての夜会が催される。昼間の魔物の襲来により、現場は混乱に陥ってしまったものの、夜会自体は会場を変えて予定通り行われることとなった。


今宵、私はこの日のためにアスタリスの町で購入していた、夜会用の新しいドレスを身につけていた。


それは街のブティックで仕立ててもらった、淡いすみれ色のドレスだった。裾には可愛らしいレースと刺繍があしらわれている。


ドレスを身にまとってエントランスに現れた私を見て、ロクサーヌさまは少しだけ目を細めた


「マリアンヌ、とても良く似合っているよ」


「ありがとうございます」


たとえそれがお世辞だとはわかっていても、彼に熱っぽい視線を向けられた私はちょっと照れてしまった。


「では、行こうか」


ロクサーヌさまは、私に手を差し出して会場へとエスコートする。私たちは、お互いに手を取って夜会の会場へと入った。



会場は、王宮の中心部にある豪華で広いホールだった。

天井には大きなシャンデリアが吊るされていて、燭台の光に照らされてきらきらと輝いている。床は一面に大理石が敷き詰められている。


会場にはすでに、煌びやかに着飾った貴族たちが集っていた。私たちが現れるなり、すかさず多くの貴族たちの注目の的となってしまった。


「まあ。今夜のマリアンヌさまは、なんだかとっても麗しいわ」


「いつもは、凛々しい印象でいらっしゃいましたけど、今日はとても華やかな装いで素敵です」


会場の視線はまず、私に向けられる。

午前中の冷たい歓迎とは打って変わって、周囲の貴族たちの反応は好意的なものが多かった。

しかしながら、当の私は前回の恐怖が頭から離れず、緊張して冷静を装うのに必死だった。



それよりも、会場中の視線を総なめにしていたのはロクサーヌ様の方だった。



「ねえ、マリアンヌ様の隣にいる方って_

 もしかしてロクサーヌさまなのかしら?」


「まさか、彼はいつもは素顔をお見せにならないはずよ——」


「でも、他に考えられます?

 あの方は、先程の式典で、魔物を一網打尽に倒してしまわれたのよ」


「あのように甚大な魔力をお持ちの方が他にあるかしら_」


「仮面の下の素顔があのように美しいなんて、想像も出来ませんでしたわ」


会場中が、ロクサーヌ様に見惚れてため息をもらす。

その横で、当の本人はいつものように涼しい顔をして動じない。


「聞いたか、皆君の美しさに見とれているようだ」


 ロクサーヌさまは、私に気を遣ってかそんな風に私をからかった。


(そんなわけないでしょう!)


私は、思わず突っ込みそうになるのを堪える。


「そんなことありませんわ。

 今日の主役はロクサーヌ様の方です」


「そうとも限らない。今日は、君がいつもと違う雰囲気のドレスを身にまとっているのが珍しいのだろう」


言われてみれば確かに、マリアンヌは、ゲーム内ではいつもビビットカラーなど、気の強そうな装いを好んでいた。


今着用しているすみれ色の、清楚そうな令嬢の姿とは雰囲気が随分代わったことは確かかもしれない。




* * *



 そのまま私たちは、ちょうど会場に顔を出していた国王陛下やその他の上級貴族たちに、婚約の報告を行った。


二人が婚約したと言う事実は、瞬く間に会場内にいた他の貴族たちにも広まってしまった。


「ロクサーヌさまが、マリアンヌ様と婚約!?」


「でも確かに、お二人はよくお似合いですわ……」


「ああ、彼がもう少し早く顔をお出しになっていましたら……絶対に彼を逃したりはしなかったでしょうに」


 貴族たちの反応は様々だったが、中には彼の顔をひと目見て密かに狙っていた令嬢たちもいたようだった。



* * *



周辺の有力貴族たちや、関係者への報告がひと通り終わると、私たちは会場の隅で一息つく。



「ところで——」


と、私はかねてから疑問に思っていたことをロクサーヌさまに問いかけた。


「ロクサーヌさまは、どうして今まで仮面で素顔を隠していらっしゃったのですか?」


 ずっと気になっていたのだ。こんなにも整ったお顔であれば、隠さなくともよいと思っていた。ゲーム内でも、彼は最後まで素顔を見せないままストーリーが終了してしまう。


 正直、あの凶悪なロクサーヌさまの素顔がこれほどのものだったとは予想していなかった。もしゲーム内でも仮面をつけていなかったら、ヒースや他の攻略キャラと並ぶか、それ以上に人気キャラになっていただろうに——。


「ああ、これか」


 言われて、ロクサーヌさまはこちらに向き直ると、こう続けた。


「言っていなかったか? 私は仮面姿の方が楽なんだ。仮面を外したまま人目に出ると、周りからの視線が集まってしまって煩わしい」


「ほら」と、そう言ってロクサーヌさまは会場に集まった貴族令嬢たちを一瞥した。こうしている間にも、彼の方をちらちらと覗き見る視線が絶えないことに、私も気づいていた。


「不気味で恐ろしがられている方が、気が楽だろう」


「そうだったのですね。でも、どうして仮面を外そうと思われたのですか?」


 リリィたちに婚約を承認されたとき、ロクサーヌさまは自ら仮面を取った。それ以来、彼はあの仮面をつけることをやめたようだった。


「君と婚約が決まったからだよ、マリアンヌ。

 私にはもう伴侶がいる。他の者がどんな気を起こそうが、諦めるだろうから」


いいながら、ロクサーヌさまはなぜかなにかを企んでいるかのように怪しく笑った。


(……そういうことだったの!?)


 聞いていて、私は驚いてしまった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ