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ヒロインに悪役を押し付けられた悪役令嬢、追放エンド後にラスボスの悪役公爵さまに愛重めに囚われる  作者: 秋名はる


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ロクサーヌさまの仮面2


「_ところで、君がマリアンヌと婚約したらしいという報告は本当だったようだな」


ヒース様は、わたしとロクサーヌさまを交互に見つめる。刺すような視線を受けて、私は少しだけ背筋を張り詰めた。


「事実だ。だが、わざわざ君に報告するまでもないだろう」


「いいや、そう言うわけにはいかない。

 マリアンヌは、ここにいるリリィを陥れようとした罪で追放処分を受けているというのに_」


「それが私に何の関係が? 言っておくが、お前の周辺事情など、私には微塵も興味はない」


「彼女の処罰は私が直々に言い渡したのだ。罪人を匿うような真似をすることは、見過ごせないな」


「そちらこそ、マリアンヌにもっと敬意を払っていればこんなことにはならなかったのではないか?」


二人は一気に険悪な雰囲気を漂わせて睨み合っている。

私は、そばで恐々と二人の様子を見守ることしかできないでいた。



「__まあいい。今回、式典に君たちを招待したのは、何も二人の関係を咎めるためではない」


ややあってから、先に身を引いたのはヒースの方であった。


「マリアンヌ、君の侵した罪は、決して許されることではない。しかし今回の処分については、私自身少しやり過ぎた部分もあると思っている」


ヒースは渋々みとめた。



「そこで、ここにいるリリィと話し合って決めたのだ。晴れて婚約をした私たちの門出を祝して、マリアンヌに恩赦を施そうと」



そういうと、ヒース様は隣にいたリリィの方に視線を向ける。しかし、リリィはどこか上の空でいた。


「……? ああ、ええと、はい。

 ヒース様とも相談して、マリアンヌさんの罪をお許しすることを決めましたの」



リリィは気を取り直して、私の方に向き直る。


「ただし、今後一切、私たちに迷惑をかけないことを約束していただきます。再び同様の罪を犯すようなことがあれば、今度こそ容赦はできかねます」


リリィはキッパリと言った。


(まったく、一体どの口が言うのか)


私は思わず反論してしまいそうなのを堪える。


そもそも、私は、リリィに強要されて仕方なくヒースへの迷惑行為を行ったに過ぎない。


私にしてみれば、ほとんど無実の罪で追放された上に、今度は情けをかけるいって罪を許すという。


そんなリリィの身勝手な態度に、私は呆れ返ってしまった。


とはいえ、確かにこのまま追放されたままでは私も身動きが取りづらい。ここは大人しく言うことを聞いておくしかないと思えた。



「確かに、あの時は自分を見失っておりました。

学園での数々の愚行については謝罪しますわ」


私は、大人しく罪を認める発言をしてみせた。



「リリィさんと、ヒース様の恩赦に感謝いたします。今後は、心を入れ替えて慎ましく暮らすことを約束いたしますわ」


そう言って、私はリリィが差し出した手を渋々受け取る。


「マリアンヌ、リリィと和解してくれて嬉しいよ」


ヒース様は私たちのやり取りを見て、素直に喜んでくれた。



「_それからもう一つ、私たちは君たち二人の婚約を祝福しようと思う」


「_よろしいのですか?」


先ほどまでは、反対しているようなそぶりを見せていたので、私は思わず聞き返す。


「リリィと二人で決めたのだ。

 お礼は彼女に言ってくれ」


ヒース様は渋々と言った様子で頷いた。

隣にいたリリィに目を向ければ、彼女はなぜだか不貞腐れたような顔をしていた。


「ヒース様、リリィ…ありがとうございます」


私はそう言って、顔を綻ばせた。

隣にいたロクサーヌ様の方を見上げれば、彼は勝ち誇ったような笑みを浮かべていた。



「リリィ、君には感謝しなければならないな。

 そもそも、君達がマリアンヌを追放などしなければ、私は彼女と出会う事は無かっただろう?」


ロクサーヌ様は、リリィを挑発して悪辣に笑った。

まるで、全てを仕組んだのがリリィであると、最初から知っているかのように__。


リリィもまた、彼の微笑を受けて露骨に唇を噛んだ。

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