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ヒロインに悪役を押し付けられた悪役令嬢、追放エンド後にラスボスの悪役公爵さまに愛重めに囚われる  作者: 秋名はる


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ロクサーヌさまの仮面

元の部屋へと戻ってくると、ロクサーヌさまが部屋の中央に据えられたソファに腰掛けて待機していた。


彼は窓辺の縁に腰掛けて、白銀の髪を風にそよがせて黄昏ている。たったそれだけの事なのに、彼が行うと絵になる光景に見えてしまう。


ロクサーヌ様と合流してしばらく待っていると、ヒース王子とリリィが部屋に姿を表した。


「待たせてしまいすまなかった」


ヒース様は慌ただしく部屋に入って来た。

その隣にいるリリィは、先程私を脅すような態度を取っていたのとは打って変わって、今はヒースさまに寄り添い、慎ましい顔をして微笑んでいる。


「全く、待ちくたびれたぞ」


ようやく登場したヒースたちに対し、ロクサーヌ様は、露骨に不快感を露わにした。


「私を王都まで呼びつけた挙句、魔物の相手をさせるとは。王宮の警備はどうなっている?」


「それについては弁明のしようがない。

 襲撃は全くの予想外の出来事だったのだ。普段はおとなしいはずの魔物が街に現れるなんて……一体どうなっているのか」


ヒースも今回のことは想定外だったらしく、深刻そうな顔をしていた。


「とにかく、お前がいなければ更に多くの被害がでていたことだろう。主催の一人として、直接お礼が言いたかったのだ」


「全く、王室も落魄れたものだな」


ロクサーヌ様はそう言って不満そうにしていたが、それ以上は言わなかった。



ここで、ヒース様が思い出したように話題を切り替える。



「そうだ、紹介が遅れてしまった。

 私の婚約者のリリィだ。君とは初対面だったろう?」


そう言って、ヒースは隣にいたリリィを紹介した。

私とリリィとヒースは、学園の同級生なのでお互いに顔見知りだが、ロクサーヌ様にとっては、今日がリリィとは初対面のはずであった。


「お初にお目にかかります。

 リリィと申します」


リリィはそう言って、ロクサーヌ様に対して恭しくカーテシーを施す。そう言って顔を上げたリリィは、不意に目を見開いて不思議な表情をしていた。


「以後お見知り置きを……って、あれ?」


リリィは首を傾げた。


「ヒース様、本当にこの方がロクサーヌさまなのですか?」


「ああ、そうだとも。彼は私の従兄弟にあたる。

 アスタリスク地方の領主を務めている」


「そ、そうなのですね……。

 でも、なんだか彼は、私の想像する方とは、違うような……?」


リリィとロクサーヌ様は初対面のはずなのに、リリィは不自然な反応をした。


それもそのはず、リリィはゲーム履修済みで、ゲーム内でのロクサーヌ様の姿形を知っている。

しかし、そんな彼がまさか仮面をつけていない状態で現れるとは思っておらず、拍子抜けしているようだった。


「ああ、そういえば。ロクサーヌは、普段は仮面をかぶって滅多に素顔をみせないのだったな」


リリィの反応を見て、ヒースが思い出す。


「今日は珍しいな……ようやくあの怪しげな仮面を外す気になったのか?」


「ああ、あれはもう私には必要なくなったんだ」


彼は、なぜだか少し意味深気味に呟く。


「それは良かった。

 前々から思っていたのだ、お前は素顔のままでいる方が印象が良いと__」


ヒース様が呑気に言っている横で

ロクサーヌ様は、不意に紫水晶アメシストの瞳を細めてリリィの方を一瞥する。


仮面を外した彼の夢みたいに美しい微笑を目の当たりにして、リリィは露骨に目を見開いて、息を呑むのが見えた。


リリィも私も、ロクサーヌ様のことはゲーム内で描かれていた仮面姿しか知らない。


リリィの反応も頷けた。

かく言う私も、初対面は同じようなものだったし。



呑気に二人のやりとりを眺めていると、不意にヒース様がこちらに向き直って本題に入る



「_ところで、君がマリアンヌと婚約したらしいという報告は本当だったようだな」


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