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ヒロインに悪役を押し付けられた悪役令嬢、追放エンド後にラスボスの悪役公爵さまに愛重めに囚われる  作者: 秋名はる


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リリィの思惑2

マリアンヌと別れて、ヒース様の待つ部屋へと戻って来たリリィ。部屋に戻ると、リリィは一人ほくそ笑んだ。


(やっぱり、マリアンヌの子ったらお人よしね__)


彼女が、リリィたちへの復讐をしようとしてここへ来たのではないことがわかり、リリィは内心ほっとしていた。


(正直、ゲーム通りに魔物が襲って来た時は、どうしようかと思ったけれど____。)


リリィは先ほど、式典の最中に魔物が襲って来た時のことを思い出していた。リリィたちの前に魔物が出現した時、リリィは内心焦った。



(あんな化け物を相手にするなんて、どう考えても無理だ)


でも、このままゲームがシナリオ通り進むのであれば、以降ああした魔物たちとの交戦は避けられない。


絶望しかけたリリィであったが、ロクサーヌたちはむしろリリィたちの窮地を救ってくれた。


(____やはり、マリアンヌは使えるわ)


リリィは腕を組んで、さらに考えを巡らせる。


正確には、マリアンヌというよりも、彼女と共にやって来たロクサーヌが使える。

魔法学校で、魔術を志していたリリィならわかる。

あんな風に、魔物を一瞬で討伐できる逸材なんて、そうはいない。


王室付きの近衛兵たちだって、あんなにも大勢で攻めかかっても太刀打ち出来なかったのに……。

そう考えると、出来ることならこのままロクサーヌとは敵対しない状態で継続することが望ましいと思えた。


* * *


ヒースのいる部屋に戻ってくると、リリィは早速ヒースに声をかけた。


「ヒース様、少しよろしいでしょうか?」


「リリィ、どうかしたのか?」


「マリアンヌさんと、先ほど直接お話しました。

 彼女は、これまでのことをとても反省しているように思いましたわ」


リリィは慎ましく答える。

ヒースには、マリアンヌと自分が直接話して、彼女の近況と反省具合を確かめるという名目で、彼女を個人的に呼び出していた。


「そうか、それを聞いて私も安心したよ」


「直接話して決意が固まりましたの。私もヒース様がおっしゃるように、マリアンヌの追放を解いて差し上げようと思います」


「それは良い。マリアンヌも君が恩赦を施すことで、心を入れ替えることだろう」


マリアンヌに恩赦を施すことは、元はヒースの提案だった。ヒースは追放されたマリアンヌのことをずっと気にかけていたようだった。


「はい。それから、これは私からの提案なのですが……」


そう言って、リリィは再びヒースに向き直る。


「マリアンヌさんとロクサーヌ様の婚約の件ですが、私は二人の婚約を祝福したいと思いますわ」


マリアンヌにはある思惑があった。

自分がこのまま、ヒースと溺愛生活を送るためには、この後登場するロクサーヌとの戦いはできれば避けたい。


そのためには、マリアンヌの追放が取り消された後も、彼女には引き続きロクサーヌの元にいて、彼の足止めをしてもらわなければならないと考えていた。


「しかし、彼は……」


ヒースはリリィの提案を聞いて、一瞬眉を顰めた。

ヒースはロクサーヌと敵対して長い。そんな彼とマリアンヌが婚約する事について、よく思っていないようだった。


しかし、いつもの愛嬌を振りまいてリリィはヒースに畳み掛ける。



「ヒース様、これは私たち二人にとっても好機なのです。マリアンヌさんにとっても、さっさとヒース様を諦めて、心を入れ替えてくださるきっかけとなるかもしれませんよ」



本音を言えば、リリィは単にマリアンヌを解放したくなくてそのように提案しただけである。


ゲームでのロクサーヌのイメージはすでに頭に入っている。彼は人を信用しないし、残虐非道で厄介だ。


(マリアンヌには気の毒だけれど、使えるものはなんでも使ってやるわ_)


リリィは内心ほくそ笑んだ。

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