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ヒロインに悪役を押し付けられた悪役令嬢、追放エンド後にラスボスの悪役公爵さまに愛重めに囚われる  作者: 秋名はる


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22/55

舞台裏のやりとり

案内された部屋に入って行くと、中にはまだ誰もいなかった。


ヒース達が到着するまでこの部屋で待機するように、ということらしい。部屋に置かれた椅子に腰かけて待っていようとしたとき___


「マリアンヌ嬢、あなたには別室にお通しするように仰せつかっております。こちらにおいでください」


「えっ? 私だけ別室へ?」


近衛兵の一人が私を呼び止めた。

私とロクサーヌさまは顔を見合わせたが、暫しののち私だけが部屋を後にした。


* * *


ロクサーヌさまと分かれて、更に別室へと案内される。すると、中にはリリィが待ち構えていた。

彼女はいきなり私を威嚇するような態度で詰め寄った。


「リリィ……」


「マリアンヌ、一体どういうつもり!?

魔物を呼び出して、会場を襲わせたのはあなたたちなの?」


「ええっ? そんなわけ無いでしょう」

 

私は即刻否定する。


「ロクサーヌ様はむしろ魔物を撃退してくれたじゃない? みていなかったの?」


確かに、ゲームシナリオ上では会場を襲うのはロクサーヌが召喚した魔物の襲撃によるものとなっている。


しかし、彼はそんなことはしていない。むしろ、彼がいなかったら、今頃どうなっていたことか。


「だったら、あの魔物はどうして突然現れたの?」


「私が知るわけないでしょう……」


私が吐き捨てると、リリィは黙り込んでしまった。

リリィの語気が弱まったところで、今度は私がリリィに詰め寄る。


「それよりも、説明してほしいのは私なのだけれど

私をアスタリスに追放するなんて、一体どういうつもり? 約束が違うわ!」


あんなにもリリィに尽くしてあげた恩を忘れたというのか?散々こき使った挙句に、約束を破って私を追放するなんて。


「ああ、あれね。いい考えだと思ったの。

 そうすれば、あなたは私の言うことを聞くしかなくなると思って」


「はあ?」


リリィのあまりにも身勝手な言動に、私は空いた口が塞がらない。


「あなたのせいで、こっちは大変だったのだったのよ……?」


「良いじゃない、なんだかんだ上手く潜入したみたいだし」


リリィは悪びれる様子もない。


「あのねえ……

 私にはゲームシナリオ通り進めるように強要しておきながら、あっさりストーリー無視して……勝手すぎるでしょう?」


強い態度で詰め寄って見せれば、リリィは口をつぐんだ。


「__仕方がないでしょう、こうなったら私も手段を選んでいられないのよ」


リリィは唇を噛む。

まあ確かに、この後第二幕で予想される展開を思えば、必死になるのもわかるかもしれない。


しかし、それならば最初からストーリーを無視してしまえばよく、私が巻き込まれる必要はなかったのでは? と思ってしまう。


「それで、今日のこの式典についてだけど。本来なら招待されない筈の私達を呼びつけたりして、どういうつもりなの?」


「もちろん、第二幕のストーリー通りになるのを避けるためよ。

 それから、アスタリスへ行ってしまったあなたの動向を確かめる目的もあった。向こうへ行ってからというもの、あなたは一度も連絡もよこさないし」



どうして私が、自分を裏切ったリリィにたいして、律儀に報告などすると思ったのだろうか。


色々思うところはあるけれど、私は冷静に返した。



「なんでもいいけど、こうなった以上。私はもうあなたに協力なんてしないから」


そう言って、冷たく突き返して見せれば、リリィは急に焦ったように言った。



「待ってよ。だって、あなただって、このままゲーム通りにロクサーヌと私達が戦闘に陥る事態は避けるべきだと思わないの?」


「それは、私には関係のないことだわ」



強気にそうは言ったものの、確かに私自身もリリィにロクサーヌさまがゲームみたいな展開に陥ってしまうのは避けたい。この式典に参加することを決めたのも、二人の接触を阻止する狙いがあった。



「これ以上、無益な争いは避けるべきよ。

 もし間違っても、ロクサーヌをけしかけて私を襲わせたりなんかしたら、許さないから」


「____別に、そんなそんなつもりはないけど」



どうやら、リリィは私がロクサーヌ様を焚き付けて、リリィをバッドエンドにさせようとしていると思ったらしい。


「別に、なにも私はあなたに復讐しようとしてやって来たわけではないわよ。それにたしかに、出来るなら無益な争いは避けたいた思うわ」



ややあってから、私は同意した。

ゲームシナリオに関する事にかかわらず、この世界で生きる以上、誰かが傷つくような展開は可能な限り避けるべきだ。



「そうでしょう? ……私だって、少しはやりすぎたと思っているのよ。だから、こうしてあなたを呼び出して無事を確かめているの」


リリィは急に態度を変えて、私のほうにすり寄ってきた。


「心配しなくとも、私がヒースさまに頼んであなたを追放処分にするのを取り消してもらうようにしてあるから。そしたら、あなただって自由になれるわ」


「____はあ、仕方がないわね」


なんだかんだ言われて、私はまたもリリィに言いくるめられてしまった

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