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悪役を押し付けられた悪役令嬢、追放エンド後にラスボスキャラの悪役公爵さまに溺愛されてしまう  作者: 秋名はる


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20/21

魔物の襲撃

婚約宣言イベントは滞りなく進んでいく。

その横で、私は一人緊張感を高めていた。


 ゲームシナリオでは、ここで突然、悪役のロクサーヌが、配下の魔物を伴って現れる。そして、彼は式典に招待されていないことに腹を立て、魔物たちに命じて会場を台無しにしてしまうのだ。


二人は決裂し、ヒースとロクサーヌはお互いに宣戦布告する。ゲーム第二幕の幕開けだった。


 今回、そんな定型シナリオと異なるのは、ロクサーヌさまが既に招待客としてこの会場にいるということ。


この状態では、魔物は会場に押しかけてこないし、ロクサーヌさまがヒースに宣戦布告などしないはずに思えた。


 でも、最初に悪役令嬢の役回りを回避しようとしたときがそうだったように、この世界ではゲームシナリオ通りにイベントが起こるよう仕向けられる節がある。順調そうに見えても油断してはいけない。



私は警戒しながら式典の成り行きを見守った。

その時——。


「ギャオッ!」


「ギャー!」


 突然、窓の外の方から、けたたましい魔物の咆哮が聞こえてくる。

式典に見入っていた参列者達は、突然の聞き慣れない物音に顔を見合わせた。


「あ、あれは__一体何だ!?」


参列者の一人が窓の外を指さして叫ぶ。

次の瞬間、窓の外から二羽の鳥型の魔物が飛び出してきたかと思うと、凄まじい勢いで会場へと突進してきた。


「キャアッ!」

「うわーっ!」


竜巻のような強風が吹きつけ、窓硝子はたちまち吹き飛ばされてしまう。魔物が追突した衝撃で天井や壁の一部が崩れて頭上に落ちてきた。


「魔物の襲撃だ_」

「助けてくれ!」


会場内は突如として大混乱に陥った。


逃げ惑う人の波は出入り口の方に押し寄せて、それを塞いでしまった。

私達もとっさに逃げようとしたものの、人の波に突き飛ばされてよろめいてしまう。


「マリアンヌ、大丈夫か?」


ロクサーヌさまは、咄嗟に後ろから私の肩を抱きかかえると、私を支え起こしてくれた。


「ありがとうございます」


「一体どういうことだ、このような場に魔物が出現するなんて‥」


ロクサーヌさまは、私を庇いながらあたりの様子を伺っている。


彼の側に身を寄せながら、私は一人、最悪の事態が発生したことに頭を抱えていた。


(やっぱり、シナリオ通りになってしまった_)


鳥型の魔物が襲撃するさまは、まさに私がゲームのムービーシーンで見たものと酷似していた。


でも、私のそばにいるロクサーヌ様が、あの魔物を呼び寄せたとは考えにくい。

だって、こうしている今も、彼はこの魔物の出現について全く知らないような驚きぶりだ。



会場内は阿鼻叫喚の様相。

鳥型の魔物は窓から会場内に押し入ろうと、しきりに翼をバタバタと広げている。

壁や窓ガラスは壊され、逃げ遅れた人々が怪我を負って、あちらこちらに倒れ込んでいるのが見えた。


式典の会場を警護していた衛兵たちは、すかさず魔物へ立ち向かっていったが、規格外の大型の魔物の出現に手を焼いて、全く太刀打ちできていない。



「_全く、なんて迷惑なやつだ」


そんな中、ロクサーヌ様はそう呟くと、不意に私を庇ってかがみ込んでいたところから起き上がった。



「小物ごときが、私の前で面倒事を起こしたことを後悔させてやる」


ロクサーヌさまは、魔物を睨みつけるように小さく舌打ちをした。


そして、魔物のいる方へ手をかざして何やら呪文を唱える。すると、にわかにロクサーヌさまの周りに青白い閃光が走り、彼の前に大きな魔法陣が出現した。


そこから雷のような紫色の光線が光る。

光線は前方の鳥型の魔物に真っ直ぐに飛んでいくと、魔物に命中した。


「ギャー!」


魔物は、ロクサーヌさまの放った稲妻に打ち付けられ、悲鳴を上げて窓の外に落下していった。


一瞬の出来事に、私を含めてその場にいた誰もが呆気にとられている。


「_怪我はないか?」


ややあってから、ロクサーヌ様はこちらに向き直ると、そばで縮こまっていた私を助け起こしてくれた。


「ロクサーヌ様、まさかあの魔物を倒したのですか?」


「当然だろう、あんな小物に手を焼くような素人だとおもっていたのか」


ロクサーヌは涼しげな顔でそういった。


(ロクサーヌ様が魔物を対峙してしまうなんて……これは、一体どういうことなの?)


私は、いまだに状況が掴めないでいた。

これは、ゲームシナリオにはない全く新しい展開だった。本来であれば会場を破壊する立場であるはずのロクサーヌ様が、逆に魔物を対峙して、参列者の命を救ってしまった。こんなこと、誰が予想できただろう。


「助けて頂いてありがとうございます。」


とはいえ、あの混乱の中で命の危機をすくってくれたロクサーヌ様に、まずは心から御礼を言った。


彼をこれほどまでに頼もしいと思ったのは初めてだった。彼は、ゲーム内ではラスボスとして君臨するほどの強大な悪の魔道士だった。なので、彼にしてみれば造作のないことなのかもしれない。


魔物が倒されたことで、あたりは落ちつきを取り戻し始めた。すると、次第に周りにいた他の参列者たちがロクサーヌ様のもとへ集まりだした。


「もしや、貴方様がこの魔物を倒してくださったのですか?」


「近衛兵たちでさえ手を焼いていたのに、あのような巨大な魔物を一撃で倒してしまわれるとは_」


「おかげでみんなの命が救われました。なんとお礼を言ったらよいか」


気がつけば、彼は参列者達に取り囲まれてもてはやされていた。


__そんなやり取りを、会場の中央にいたリリィが密かに伺っていた。

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