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悪役を押し付けられた悪役令嬢、追放エンド後にラスボスキャラの悪役公爵さまに溺愛されてしまう  作者: 秋名はる


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2/17

悪役回避ムーブ

「マリアンヌお嬢様、今日は魔法学園の入学式です!」


朝、執事が私にそんなことを言ってきた。


(入学式…!)


記憶によれば、ゲーム内で主人公が最初に悪徳令嬢マリアンヌと出会う場面が、魔法学園の入学式での一幕だった。


心優しいリリィは、入学式当日に王太子であるヒースと劇的な出会いを果たして、そのハートを射止める。しかし同じくヒースを狙って入学式に登場したマリアンヌは嫉妬して、リリィを目の敵にし始める――。


魔法学園内での“イジメ編”の導入部だ。リリィは健気に、マリアンヌや他の生徒の妨害工作に屈せず、ヒースとの仲を深めていく。


さて、ここで疑問なのだが…果たして私は役割どおりに悪徳令嬢を演じなければならないのか、ということ。もし、ストーリーをフル無視して私が主人公リリィに興味を持たない”悪徳回避ムーブ”をしたらどうなるのだろう…?


それもアリなのか? もし可能ならそうしたい!

だって、自分の身が危険にさらされるストーリーなんて、わざわざ好き好んで選びたくないし。


そこで私は、試しに入学式でマリアンヌがゲーム内で行った挑発的な態度や、リリィへの接触を避けようと決めた。可能ならリリィと初対面することすら避けてみようと思う。だって相手が認知してこなければ、私はそもそも悪徳令嬢になりえないわけなので


* * *


そんなわけで、私は入学式へとやってきた。

校門の豪華な門構えをくぐると、そこにはヨーロッパのお城みたいな豪華な巨城が現れた。それはゲーム内で私が画面越しに目にした学園の外観と全く同じものだった。

校舎の玄関へと続くレンガの道の両端には、鮮やかな色とりどりのバラが植えられていて、大変華やかだった。


「マリアンヌ様、ごきげんよう!」

「相変わらずお麗しい……!」

「クラスメイトとなれて光栄ですわ。どうぞお見知り置きを…!」


学園の門をくぐるとすぐに、私は他の女子生徒たちに熱烈な歓迎を受けてしまった。

確かに、ゲーム内でマリアンヌは学園を掌握するボス的存在。上流公爵家として若い頃からもてはやされる存在でもあったので、他の女子生徒からの印象は絶対的なのだろう。


みんなからの歓迎を戸惑いながら受け流していると、後ろから聞き覚えのあるセリフが聞こえてきた。


「わあ…。これが魔法学園ね…!

 なんだかワクワクしちゃうわ!」


振り返るとそこには、ゲームで馴染みのある愛らしい少女がこっちへ向かって歩いてくるところだった。明るいブラウンのセミロングに、サファイアみたいな瞳が映える可愛らしい少女――あれが主人公の“リリィ”だ。


「お嬢さん、何か落とされましたよ。」


後ろからリリィを呼び止める声が上がった。奥にいたのは、主人公の恋人となるヒースクリフ王子こと、”ヒース様”だった。ヒースはリリィが落とした髪飾りのリボンを差し出す。


「あっ、ありがとうございます!」


ゲームのシナリオどおり、それは非常に微笑ましい一幕だった。

ストーリーでは、ここでマリアンヌである私が登場し、リリィを牽制して挑発的な言葉を投げ、場を台無しにする。しかし、すでに展開が頭に入っていた私はそれを無視して教室へ向かおうとした。


「あれ? あれって、次期国王であるヒース王太子様ではありませんか?」

「目の前にいる、あの子は一体誰なのでしょう…。」

「社交界でもお見かけしたことはありませんね。」


私が何もしないでいようと決めた矢先、取り巻きの女子生徒達が声を上げる。まるで私を焚き付けているようだ。


(やっぱりストーリーを無視することはできないのかな……!?)


右往左往して聞こえないふりを決め込んでいると、なんとリリィの方から私へと接近してきた。


「こんにちは! 私、今日からこの学園に入学することになったリリィといいます。

 実は、私は庶民の出で……。みなさんとは初めましての方が多いかもしれませんが、お見知り置きを!」


悪徳令嬢ムーブをしない私を見かねたかのように、なんとリリィの方から台本にない接触を試みてきたのだ。ガン無視しようとしていた思惑が外れて、私はやや冷や汗をかく。


「そ、そう。よろしくね!」


私は微妙な返事をして、それをやり過ごす。

本来であれば、ここで私はヒース殿下にすり寄ってリリィを牽制しなければいけないのだが、私はあえてそれをしなかった。ヒースはそれを知ってか知らずか、奥の方で様子を見ている。


「_じゃあ、私は忙しいので。」


展開フル無視ルートを取ると決めたからには、私の決意は固かった。

私は、他の女子生徒たちが怪訝そうに見守る中、一人その場を立ち去り、教室の方へと歩いていった――。


教室に入ってしまえば、流石に私を深追いしてくることもなくて、私は無事に入学式での一幕をやり過ごす事ができた。

今回のわたしの対応が、その後のストーリーにどういう影響を及ぼしてくるのかは、正直私にもわからない。


規定のストーリーから外れてしまったことで、この後の展開が全く予想できないものになってしまったという懸念はあるのだけれど、まあ、このままリリィとヒースがなんの苦難もなく結ばれてくれればいいんじゃないかな?


もしそうなれば、後は私は気ままな令嬢ライフを満喫するだけ。私は楽観視していた。



しかし、悲劇は突然訪れる_。


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