雪解けと芽吹き
遅くなってしまいました。おそらく次は明後日に投稿できると思います。
「本来ならば隠しておいた豆や茶葉を用意するべきなのだろうが、申し訳ない。ラグノーブルからの撤退の折に司令部に放棄してきてしまった。余裕があるなら拾ってくれて構わない。勿論贈呈するとも。ささやかな私からのプレゼントだと思ってくれれば幸いだ」
控えめに言えば恰幅のある、男らしいヘルモルク中将は私たちが駅に到着するなり従兵を困らせながらも、好々爺らしい笑みを浮かべて私たちをもてなした。カリン少佐は面識があるのか、相変わらずだな、とでも言いたげな表情で彼の話に耳を傾けている。
「場所は閣下の私室ですか?」
「ちょっとカリン少佐、気持ちはわかりますが、今はご挨拶を。ほら、従兵の方も困っていますよ」
「…すまん、つい」
私は順序を色々と吹っ飛ばしてしまった少佐を嗜めつつ、視線が合ったヘルモルク中将に対しちょこんとお辞儀をする。彼は私のそれを見て目を見開くと、少しの間を置いて鷹揚に頷いた。
「そうか、アレクト嬢は貴族であられたか。それでは、クランハルトという名の中佐をご存知かな?彼は婚期を逃してなあ。よければ、貰ってやってくれ。良かったら私が紹介してやろう」
「ありがたいお話光栄です。ですが、閣下。恐らくですがクランハルトには思い人がおられるかと。貴族はしきたりと慣習に雁字搦めになった末に生まれた存在です。ですが、たとえ叶わぬ恋心だとしても、彼らにその気があるというならば、我々は余計なちょっかいをかけるべきでは無いと思いませんか?」
私はできるだけ柔らかく、迂遠に、そのお誘いを断る。きっと、そういうのが好きな人なのだろうけど、たとえそれが冗談だとしても当事者からすれば迷惑この上ない。私はできるだけ何にも縛られることなく自由にしていたいし、クランハルトとエルだって、できることなら放っておいていて欲しいはずだ。…エルとクランハルトが本当に恋仲なのかは、私にはわかりませんけど。
「…そうだな。少し、お節介が過ぎたか。よし、歩きながら話そう。私から頼んだ身だが、できるだけはやく出撃してもらいたい。ラトヴィールにヘストリカ、彼女らが何を考えているかはわからないが、クランハルトを殺しにかかってきた以上、どう考えてもこちらに悪意があるとしか考えられないからな」
「航空機による偵察の時点では、彼女らは何処に?」
「ラグノーブル郊外、小規模な集積地があった場所だ。鉄道は撤退時に破壊しておいたので奴らの初動を挫くことには成功していると思うが、それでもやはり、魔導兵の機動力と破壊力は脅威だ。二人が第四七師団を強襲すれば、魔導戦を行うことのできないかの師団にはたちまち雪が積もるだろう」
脅威となる存在の場所も割れ、守るべき対象の現在位置も判明している。単純明快で、そしていつも通り難易度は高い。おまけに、前回と同じ同士討ち。彼女たちは会話は通じるのだろうか。ペイルーは最後まで正気を失っているようだった。夢の中のような空間ではペイルーは私と仲良くお喋りをすることができていたけれど、またアレをしなければならないのだろうか。だとしたら、今回は二人だ。そして、あの時のように『道化』もいない。ということは、本当に殺すしか手段が残されていないと言うことで…やだなあ、まさか年下を殺す日が来ることになるなんて思いもしなかった。
「上着はそれで大丈夫か?クランハルトの談では特段厚いものを用意しなければならないと聞いたが…」
「我々は飛行中も体温を温める余裕があるのでご心配なく。クランハルトは…魔力量に恵まれませんでしたから」
「え、少佐?私、そんな魔力の使い方があると聞いていないのですが」
談笑を楽しむ二人の間に割って入り、ちょいちょいとカリン少佐の脇腹を突く。少佐は私の手を雑に払いのけると、一つ溜息をついた。
「別に、軍はいくら規律に厳しいとはいえ、魔力の使用を制限しているわけではない。勿論魔力の使いすぎによって出撃できないということになれば懲戒は免れないが、私たちはそれを気にしなくてもいいぐらいは魔力に恵まれているだろう?工夫をしろ。せっかく私たちには他と比べて僅かに手札が多めに用意されているのだからそれを使わない手はない」
「ですが、少佐は私は魔導人形だから普段から魔力を使うのは控えろと…」
「そう言ったのは身体強化によって健全な肉体が損なわれてしまわないように言っただけだ」
「でも、捉えようによれば体を温めるのは身体強化にあたりませんか?」
「五月蝿い」
「むうー」
私は頬を膨らませて抗議の意を示すが、これで話は終わりだと言わんばかりに少佐は話を切り上げた。…悔しいけれど、今度からはそうしよう。
「それでは、装備はそれで大丈夫たと?」
「ええ、構いません。…ああ、一つだけ聞きたいことがありました。そちらに、いえ、ラグノーブルに未使用の魔動力機はありませんか?」
ヘルモルクは立派なカイゼル髭を撫でながらうーむと唸る。それでも彼は見当がつかなかったようで、力無く首を横に振ろうとした時、彼の後ろを歩いていた従兵が控えめに手を上げておずおずと口を開いた。
「第四七師団が所有していた魔導戦力は実質クランハルト一名でしたので、それこそ、撤退時に放棄しています。豆と茶葉と同じく、司令部には多少の備品としてあったとは思いますが…」
「それが分かれば十分です。場所は、倉庫に?」
「はい。私の記憶では確か第三倉庫の奥の方に。何分、普段から埃を被っていましたので、稼働率には不安が残りますが…」
従兵が恐る恐るといった感じで言葉を紡ぐのを、カリン少佐は静かに聞いていた。…少佐、少しぐらい相槌を打ってあげて!怖がられていますよ!
『…アレクト、悪いが、アレをやるぞ』
『アレですか?…ああ、ペイルーの時の!』
私がポンと手を打ち、少佐はそれに真剣な表情で頷いた。カリン少佐が『道化』の魔力封鎖を模倣できるのかは疑わしいが、きっと少佐ができると言ったのだ。私はそれを信じるべきだろう。
「バルトニークにならば整備された魔動力機があると思うが、それでは駄目なのか?」
そして、話の要点が掴めていないヘルモルク中将は純粋な好奇心か、髭を撫でながらその旨を聞いてきた。少佐は一瞬言葉に悩んだが、その違和感が確かなものとなる前に口を開いた。
「魔動力機は高濃度の魔力を浴びてしまうと使い物にならなくなってしまいます。ですので、戦闘後に使い物にならなくなっている場合が多々あります。そのための予備策です」
「確かに、魔導兵はよく帰りは徒歩で帰っていたな。今まで不思議に思っていたが、なるほど。そういうことだったか」
合点がいったことに愉快そうに笑うヘルモルク。そうこうしているうちに、あの時と同じ飛行場に到着した。いつもと違う長距離航路を飛行するので、今回は持ち運びに便利な三式乙型ではなく、カリン少佐が日頃から使っている試製二型を装着する。大きくて、重い。その分パワフルで、魔力の消費量も多い。そんな魔動力機だ。
冷える体を魔力を使って温めながら魔動力機に少しずつ魔力を流していく。感覚としては、三式乙型はコップ一杯分の魔力で動いたが、試製二型はバケツに並々注いだ魔力をひっくり返してもびくともしない。
「…もっと魔力を流せ。それでは、速度が出ない」
「ちょっと待ってくださいね。魔力の制御が難しくて…」
今までで魔力を大量に使うような出来事は身体強化だけだった。身体強化は体内に充満している魔力をぐるぐると回してあげるだけなので、制御は楽だった。しかし、魔動力機に魔力を流す感覚は水瓶から直接コップに水を注ぐようなもので非常に制御が難しい。少しでも制御を間違えると、空気中に魔力を放出してしまう。
「あ、動きましたよ!」
「…もう少し魔力の扱いには慣れておけ。この先、長距離飛行は増えていくからな」
地面を蹴り、魔動力機から生じる揚力によってだんだんと高度を上げていく少佐を目で追い、そして最後まで私を見送るつもりでいるヘルモルク中将と視線を合わせる。
「それでは、私はこれにて」
「…こうも若い者に命を張ってもらわなければいけないのは、やはり心が痛むな。だが、やはり見送りは激励があった方が良かろう。アレクト嬢よ、期待しているぞ。貴賤に分け隔てなく接することができる貴女は、きっと大成するだろう。だから、何があっても死ぬのだけは避けなさい」
「お世辞だとしても光栄です。閣下」
私はお世辞のお返しとして貴族スタイルの満面の笑みをお返しし、魔動力機に魔力を流して空へと飛び立つ。同時に魔力で体を温めてあげ、心臓を中心として身体中に温もりが広がるのを実感する。
「来たな。ラグノーブルはここからシュビール川に沿って進めば到着する。速度は…まあ、私の後をついてこい」
私が上昇してくるのをホバリングしながら眺めていた少佐は私が到着するや否や巡航速度まで速度を上げた。私も魔動力機に魔力を注いで加速する。身体を温めるためにも魔力を使っているせいか、今までと比べ物にならない速度で体内の魔力が減っていっている。わかりやすく言えば、大鍋一杯に注いだ水を温めて沸騰させているような気分だ。
「それで、今回もあの時と同じように二人のことを教えてくれるんですよね?」
魔力の供給の仕方にも慣れ、カリン少佐の右後ろを飛行しつつ魔力に声を乗せて話す。こうすることで、魔導適正者には小さな声でも聞き取ってもらえることができる。飛行中ともなれば意思疎通にはこれが不可欠なのだ。
「ああ、勿論だ。敵を知り、己を知れば百戦危うからず。だろ?」
フッ、と少佐は笑い、私はなんだか恥ずかしくて頬をかく。…別に、少佐も馬鹿にするつもりはないんだろうけど、やっぱり気恥ずかしいな。
「ラトヴィールとヘストリカは、互いが互いの弱点を補って戦う。近接戦闘のセンスは抜群だが、猪突猛進で、考えたらずなのがラトヴィール。視野が広く、物事を客観視することができるが、そのせいで足元が見えないのがヘストリカだ。彼女は魔法使いのように魔力を使う。普段は後方からラトヴィールの援護に徹している。前衛と後衛…まあ、バランスのいい二人だった」
カリン少佐は目を細めつつ、しみじみと言った。けれど、その過去を懐かしむ様子からは悲哀と、そして哀愁が感じられ、やはり、少佐にも同胞殺しという業は中々耐え難いのだろう。少佐はしばらく感傷に浸った後、「だが」と付け加えて言う。
「それはこちらが一人だった場合の話だ。幸いにも、二人はお前にとってもいい経験になるだろう。何せ、私がそうするように言ったのだからな」
「それは、弟子の中で殺し合い、最後に生き残った者しか認めないと言うことですか?」
「いや、そんなことを今の帝国にしている暇はないだろう。簡単な話だ。私がヘストリカの相手をする。そして援護の無くなったラトヴィールとお前は一騎打ちをしろ。奴は私のそれを模倣して飛ぶ斬撃を繰り出してくるだろうが、まあ、それぐらい今のお前にならばどうにでもなるだろう?」
「え、私飛ぶ斬撃なんて繰り出せないですよ?」
少佐にさも当然のことのように言われ、私は首を横に振る。何を勘違いしているのか分からないが、とにかく少佐は私のことを過大評価しすぎている節がある。『王子』には手加減されて何とかカリン少佐が間に合い、ペイルーとの戦闘では結局私は死にかけた。そしてその時に魔力乱流などという後遺症まで負っている。今でも何故か少しだけ心臓の鼓動が苦しい。魔力を使うペースが早すぎるからだろうか。これでもまだ、総量の五パーセントぐらいしか使っていないのだが。
「…だから、アレクト。魔力はイメージだと言っているだろう。誰かにそうしろと言われてやるものではない。最初の内は言われた通りでもいいかもしれないが、その後は名無しは別だ。自分が最も使いやすい形態の魔力の使い方を見つけろ。それが、お前の最も『戦う』というイメージを具現化しているということだからな」
「もう、少佐は私のことをいったい何だと思っているんですか?私、まだ魔導兵になってから二週間もたっていないんですけど…」
二週間で三度の出撃。これだけを見ればまだ、というかむしろ今の新大陸の事情を勘案すれば少ないくらいだろう。中位、低位の魔導兵が偵察や邀撃に駆られ疲労困憊であるのに、私は少佐についていっているおかげで随分と文明人のような生活を送っている。しかし、その内容を見れば、きっと誰だって私を羨むことを止めてくれるはずだ。初戦から『王子』と交戦し、その次は流れるようにハーデル・ロンバルト攻略の先駆けを担当。その次は北部戦線にて撤退中の師団の背後を狙う裏切り者の始末。…もう少し、楽な任務を、それこそ偵察任務なんかを希望するのは、贅沢なんですかね。
「私もかつてはそんな感じだった。だが、まあ、あれだ。しばらくすれば慣れる。何も心配することはない」
「それは、多分心配しなくていいわけではないと思いますけど…」
変化を受け入れるということは、つまるところ、今の自己を軽視することに他ならない。だからこそ、人はそれを葛藤として受け止め、その過程を元に変化していく。だけど、今はそんなことに対して贅沢に時間を使っている暇はない。皆、今を生きるだけで精一杯なのだ。そのためには、きっとそんななんの生産性もないそれは、容易く捨てることができるのだろう。
だけど、やっぱり私は後方で優雅に過ごしてきた貴族としてそれをそう簡単に受け入れていいものなのかと、つい抵抗感を感じてしまう。貴族とは、すなわち保守。帝国の既得権益を啜って生きている人間だからこその思考なのかも知れないけど、そして、それは老耄の考え方かも知れないけど、私としてはどうしてもそれを大切にしたいと思ってしまう。。
「…だが、やはり一度経験したとはいえかつての仲間に剣を向けるのは慣れないな。いや、慣れたいとも思わないが」
「それは、適応するしない以前の問題ではないですか?それをもし受け入れることができるようになった時は、きっと私たちが人として終わる時ですよ。だから、少佐のそれは正しいんです。『人間性』を捨てるような真似は決してしてはいけませんからね?」
私が少ししつこく言うと、カリン少佐は優しい笑みを浮かべた。最近は少佐も柔らかい表情が増えた気がする。たった二週間だけど、それでも私が少佐を過去へ縛り付けていた柵を取り除くことができたのなら、私としても幸いだ。
「…そろそろラグーブルだな。全く、まだ十月なのにも関わらず、北極圏の寒さは相変わらず身に堪えるな」
体内の魔力をぐつぐつと沸騰させつつ、じんわりと暖まっていくのを実感していると、少佐は針葉樹林と雪原がただただ広がっている大地を眺めながら呟いた。天気は晴れで、地面の雪がとても眩しい。目がチカチカする。
「まだ、街道も街らしきものも見えませんが?」
「それはそうだろう。基本的にラグのーブルは雪のせいで常に白色が視界に入るような場所だからな。地下街が発展している奇妙な作りのせいで、あまり都市らしさは感じないかも知れないが、まあ、もう少しすればわかるようになる」
「まあ、そうですね。それじゃあ、私はそれまでゆっくりと少佐の後を飛ぶことにします」
私は少し速度を落として、カリン少佐の後ろ側に回る。少佐の気流を受け取ることができるようになったため、少しだけ魔力の消費量が穏やかになった気がする。
「…ん?なんか、眩しい?」
どうしてだろう。何だか、視界の下に広がる雪景色が、妙にキラキラしているような気がしてならない。いくら雪の白色が太陽の光を反射するとはいえ、こんなに、目が開けられなくなるほど反射するのだろうか。
目をよく凝らして、地面を見つめる。キラキラとしているものはだんだんと大きくなり、そして輝きを増していく。それが飛翔物だということを理解するのにそこまでの時間はかからなかった。
「なんか、飛んできて?がはっ…!」
「アレクト!?おい、アレクトッ!」
次の瞬間、太ももの付け根の部分に強い痛みが走り、同時に魔動力機が破壊されたのか魔力が体から溢れ出す。私は宙へと放り出され、唐突な痛みのせいで体は言うことを聞かず、視界の縁が暗くなっていく。
「…あ、魔力が制御できない」
欠損部分に魔力を流そうにも、ついさっきまで魔動力機に魔力を流していたせいで制御が効かない。心臓は早鐘を打ち、体は地面へ向かって真っ逆さまに落ちていく。…やっぱり、体が傷つく感覚は、何度経験しても慣れないな。
◆
「くそっ、いくらなんでもここまでするか!?」
魔力の気配を極限まで薄めた魔力弾。こんな技術を持っているのは私の知るところではヘストリカしか存在しない。ネームドの奴らは小手先の技術なぞ使わなくとも私達を圧倒するし、魔力を魔力で包むような器用なことをすることができる人間はそれこそ、ヘストリカ以外いないだろう。彼女は寡黙で賢かった。模擬戦闘でも毎回新しい技を開発し、私に強制的に適応することを強いてきていた。
「アレクト、おい、返事をしろ!」
真っ逆さまに地面に落下していくアレクトに手を伸ばすが、すでに意識がないのか返事をしても何も返ってこない。魔動力機は破壊され、腰の方には出血があるようだ。
「くっ…魔力が濃い」
魔動力機という魔力を物理法則へ変換する媒体を失ったせいか、アレクトの魔力が空気中へ溢れている。これでは魔動力機がアレクトの魔力に干渉されて使い物にならなくなってしまう。しばらくすれば異変に気がついた生体機能が魔力の放出を止めてくれるが、それを悠長に待っている時間はない。
「…ならば、仕方がないか」
私は迷わず魔動力機を切り離し、落下していくアレクトを抱き寄せた。そして多少の抵抗はあるだろうが、傷口に私の魔力を流して無理矢理怪我を治す。
「追撃はなし、か。つまり奴らの狙いは」
…私達を呼び寄せること。できることならば一度ラグノーブルで『道化』が使った魔力封鎖を一度試してみたかったが、こうも策を弄されては仕方がない。
空中で体を制御し、抱き抱えたアレクトに衝撃が伝わらないよう慎重に地面に着地する。すると、前方によく偽装された魔力の流れを確認することができた。…この魔力は、やはり、そうなんだな。
「久しぶり、カリン隊長♪」
「…ん、久しぶり。そして、タリータ様のために死んで」
あくまでも正気を保ちながら、深い狂気に呑み込まれているラトヴィールとヘストリカはその魔力を隠すことを止め、姿を露わにした。ペイルーの時とは違い、容姿はあの頃から変わってしまい、髪は白く、そして服装は『魔女』のように黒く、そして焦げている。
「それはこちらの台詞だ。大人しく、かつて貴様らが尊敬し、そして超えようとした私の手によって死ね」
もう、あの頃の二人は帰ってこない。そして、もう、目の前にいる懐かしい気配のする二人は、もうあの時の無邪気な彼女らではない。私は魔力を用いて太刀を顕現させる。
「…せめて、私が、私の手で殺してやる」




