第52話 アイデア
俺とサカは狩りを終えアグリアに戻って来た夜の事だ。メルとミラミからは連日雑用の愚痴を聞かされ、新しいデザインが難航して決まらない事などを聞いた。
次の日から俺とサカも工房に行き手伝う事に成った。ラフデザイン画が沢山描かれ、親方は首をひねり、終始ご機嫌斜めであった。
「くそー、いいアイデアが浮かばねぇ!大体俺は加工が得意なんだ、デザインは苦手なんだよ」
親方は愚痴を溢しながら、机に向かっていた。
俺は没に成ったラフ画を見ていた。確かにどれもこれも在り来たりなデザインで、目を引く様な斬新さに掛けているように思えた。
リベリオも又苦悩していた、流行りの髪飾りを見つめたママ、一言も喋らずに思案していた。
工房の中はピリ付いていたのだ。弟子マーカスは女性従業員と話していた。彼女は髪が長く頭をお団子にしてカンザシをしていた。俺はそのカンザシを女性従業員に見せて欲しいと言うと。
「こんなのは何処にでも在りますよ」
「そうかー!」
リベリオは叫び!俺達の方にやって来た。
「ハッハッハッ、そうだ、そうだよ、ドンよく気付いた、何も俺達が新しいデザインを考えなくてもいいんだ、全く何で気付かなかったんだ」
リベリオは何か思い付いたのかテンションが高く、情熱的に喋りはじめた。そして周りの皆にカンザシを集める様に指示を出した。
俺は髪飾りを想像した時に頭に浮かんだのは、インバーの町でルルの為に買った桜の花のヘアピンを思い浮かべて紙に描いていた。俺は絵が余り得意ではないのだ。メルとミラミが俺の絵を見て茶化すのだと思っていたが2人は何も言わずにその場を去った、親方が俺の絵を見た瞬間だった。親方は一人言をぶつぶつ言いながら作業場で作業を始めた。
暫く経った時に親方は俺の方に近付いてきた。
「おい、ドン、オメーの絵見せてみろ」
「この絵は、前に露店で見た商品だ」
「そうかい、いや、ちょっと参考までだ」
その後、俺は工房で石の大きさを振り分ける雑務などをこなし。次の日には、リベリオの事務所兼自宅で古着の仕分けをこなしていた。
ミラミとメルが一枚づつ服をチェックして振り分け、俺とサカは服を畳んで袋に入れる。ある程度貯まったところで俺とミラミは市場の古着屋に売りに行くのだ。
「何で振り分ける必要があるんだ」
「此れからは春だからね、それに服の傷み具合を見るためよ」
成る程、ミラミはひとつでも高く売ろうと言うわけのようだ。古着屋に行くと春物など此れからの季節に丁度良い物を綺麗に整理して見せて行くと中々いい値段で買い取って貰えた。ミラミは商人としての資質があるようだ。
俺達が雑務をこなし2日が過ぎた、遂に試作品が3つ出来上がったのだ。
工房に訪れると、親方とリベリオの目が充血してバッキバッキに成っていた。
「どうでい、俺の作品は中々にいいだろう。これで文句言う奴は此方から願い下げだぜ」
「ああ、アントニオ俺に任せとけ」
2人は余り寝ていないのかテンションが異常に高かった。その日は休みにして、俺達は市場に食料を買いに行き明日朝からアブンダンティアへ行く準備をはじめた。




