第50話 狩り 1
俺達は国境に向かった。国境にはもう列が出来ており、俺達は2時間ぐらい待たされた。その間に朝飯の固いパンを食べ、一昨日にメルとミラミが古着屋でしこたま買った古着が荷物として増えたので少し整理した。この世界では服の需要は高いが、皆が新品の服を買える程裕福ではない、そのため古着の需要は高く田舎に持って行けば其なりに高く買い取ってくれるのだ。リベリオは其を見越して古着を買ったのだ手ぶらでは帰らない流石商売人である。
国境では税金やら荷物検査で時間をとられたが何とか無事にネーレに入った、俺達はその後2日でアグリアに着いた。リベリオはその足で工房にかけ込み、新しいデザインの相談を親方にしたのだ。
次の日からミラミとメルは工房に手伝いに行き、俺とサカは暫く暇に成ったので2人で狩りに行く事に成った。西の山の方に向かって1日歩いて行き山の近くの小川で夜営する事にした。春が近付いたと言うのに、夜になると寒さは変わらない。焚き火に薪を入れ暖を取りながらお茶を啜っていると。
「ルダはどうしてるだろうな」
サカが星空を見上げて言ってきた。
「ああ、ルダも森で狩りをしてるさ俺達見たいに」
「そうだな」
「俺達は先に冒険者に成ってルダを迎えに行こう」
「ああ、迎えに行こう」
俺達は交代で見張りをしながら朝を迎えた。今日1日いっぱい狩りに使う予定だ。
「まだ、冬眠から目覚めて無いのか魔獣の気配が感じられないな」
「ああ、もう少し先に進もうか」
俺達は森の奥へと入って行くと、親子連れのディアを見付けたのだが、俺達は狩るのを止めた。それは森で暮らす者のルールである、余程の事が無い限り親子連れの魔獣は狩らないのは無駄に乱獲すると森の生態系を崩しかねないためである。
その日は他に何もなく夕方に成った、俺は諦め掛けていた時、森の中から現れたのはカメレオンラビットだった。
「おい、ドン見たか!」
「ああ、間違いないあれは、超レアなカメレオンラビットだ!」
「捕まえるぞ!」
俺はカメレオンラビットを見失わないよう、慎重に目で追っていた。カメレオンラビットはその名の通り景色に擬態化し姿を消すのだ。
「ああ、駄目だ、見失った!サカそっちはどうだ」
「俺も見失った」
辺りは暗く成り、俺達はカメレオンラビットを完全に見失ってしまった。
「くそー、この辺にいるのは解ってるのに」
諦めきれないが、それも仕方ないのが狩りである。俺はランタンに火を入れ暗く成った森を照らす。
「今日は此処で夜営だな」
「ああ」
薪に火を入れ、塩スープを作り体を暖める。
「なあドン、俺は商売よりやっぱり冒険者が向いてると思う」
「なんだよ、急に」
「アブンダンティアに行って解ったんだが、お前とミラミは商売に向いていると思った、メルも何だかんだで町の生活を、楽しんでいるのに俺は駄目だ!今日狩りをしていてとても楽しいんだ、俺は冒険者に成りたい」
「サカ、俺は冒険者になるぞ、そのために地図も買ったしな」
「どう言う意味だ」
「俺はアブンダンティアで情報を集めて、ジャ・フローに行こうと思ってる、ジャ・フローにはダンジョンもあるし北の森には沢山魔獣がいるらしい、どうだサカ行きたいだろ」
「ああ、行こう絶対にだ」
サカの目は真剣だった、そして希望に満ちていた。そんな時一瞬気配があった。
「サカ」
「ああ」
間違いない、カメレオンラビットだ。暗闇のなか微かな気配を探りながら、俺達は戦闘態勢に入った。次の瞬間。
ドッカー!鈍い音がした。
サカは盾を持ったママ後ろに倒れた。
「なんてパワーだ!」
「大丈夫か!」
「ああ、気付けろ奴はヤル気だ!」
カメレオンラビットの動きは早い。俺は気配を消す技、忍び足を使った。奴は疑似化しながら動いている。目で追うのでなく気配を感じろ俺は自分に言い聞かす。
シュー、シュー
ダガーを振り、奴を威嚇してみせる。此方にこい。焚き火の炎に照らされるサカは盾を構え様子を伺っている。
スゥー
影が動くのが見えた方へサカにバンドサインを送り、俺は近付く。
ギーー!
俺は音の聞こえた方に、ダガーを振り翳した。
ブーン
ダダダダダッードン~!
俺の体に重い物がぶち当たった、俺は宙を舞い手に持っていたダガーを落とした。
「ドン、大丈夫か!」




