第35話 逃亡1
俺達は山の麓で日が登るのを待っていた。あまりにも寒いので、身体を寄せあいお互いの体温で暖めていた。
「サカもっとくっいてくれ」
「気持ち悪い」
「ミラミもっとくっいて」
「ふざけるな」
「メル背中を暖めて」
「お前、後で覚えてろ」
「カーラ前から抱きしめて」
「わかった」
「おー!」
そう俺達は何時の間にか逃亡者になってしまっていた。村を追い出され頼れるのは、カーラだけ、そのカーラはポンコツだし俺達はどうなるのか解らない。
朝日が差し出すと俺達は山を登り始めた。山の中腹まで登り、振り向いた先にはインバーの町が見えた。あのカフェは燃えて無いだろうか。ふとそんな事を考えてしまった。
革命隊やカカがどうなったのかカーラに訪ねたが、カーラは興味が無いらしく、わからんと言うだけだった。
暫く山を登ると渓谷に出た、ここを進んで行った先がネーレだと言う。
渓谷には雪が積もり、雪は新雪なので足を取られ歩くのが大変であった。おまけに冷たい風が吹き荒れ、体力がうばわれる。
何処まで行けばいいのか、この辺の地形が解らないと予測も立てられない。知らない場所を歩き続けるのがこんなに辛いとは知らなかった。
午後に成ったところで休憩に入る、穴を掘り雪で風避けの壁を造り、蒔きに火をつけ、塩スープを造り、スープを飲むと身体中が暖かくなった。鳥肉を焼いて固いパンを食べ。俺達はやっと一息ついた。そんな時サカは姿勢をただし。
「みんな、すまなかった、俺のわがままのせいで、こんな事になるとは、本当に申し訳ない」
サカは俺達に頭を下げた。俺は何と言ったら良いのか解らなかった。ただサカの背に手を当てるぐらいしか出来なかった。
「サカあまり喋るな、体力が奪われる」
え!空気の読めないカーラの言葉に俺は恐怖した。
午後からも歩き続け夕方に成った頃には渓谷を抜け山を降り始めた、見晴らしの良いところに出。周りを見渡すと遠くに海が見えた。
「国境はこえたのかな」
「たぶん」
「アグリアはどの辺に在るんだ」
カーラが指差す方向には山しか無かった。




