第26話 王命
インバーの町を一人で歩きながら、ロッテに教えて貰った川沿いのカフェに向かいカウンター腰で紅茶とベリーパイのセットを注文した、美味しそうに食べていると店員の女性が微笑みながら話し掛けて来た。
「お客さん本当に美味しいそうに食べてますね」
「恥ずかしいな、変な顔になってるかな」
「ハッハッハッ、そんなことないですよ。美味しいですもんね、私も大好物ですから」
村での生活と違ってこのインバーの町では文化的な感じが味わえる。
翌朝、俺とテインの足取りは行きと違っておもかったのは言うまでもない。
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オレアス王国では、新年の挨拶で王が新たな開拓プランを発表した。アルセの森開拓計画である。その目的は石炭鉱山に繋がる道造りとその周辺の開墾である。
この王の新しい政策はアルセの森の村々からも人選を出さなくては行けないのである。特にタタカ村の様な小さな村にとっては大問題だ男の働き手を無償で出さなくては成らないからである。
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数週間後、我々エルベルト隊は緊急救助の知らせを受け森の北西に向かった。着いて見ると土砂崩れが発生したのが解った、辺りは泥のなかに木や石が埋まってぐちゃぐちゃ状態で、元はどう成っていたのかも解らない。ヒドイありさまだ。
隊長は全体を見渡し指示をだす。
「シャーキーとカトレインは怪我人の対応、テインは情報収集、ドン、パウエルは私に着いて来てくれ」
先に着いていた他の村の救助隊と合流し俺とパウエルは土に埋まった者の救出に入った。土砂崩れに巻き込まれた者達は炭鉱に繋がる道造りの地盤調査に来ていた者達だった、この辺りは地盤が緩く水分を沢山含んだ土地であった。
土砂崩れから助かった者の微かな記憶を便りに、埋まってそうな箇所を決めて作業を起こって行く、素早く慎重に掘り進めなくては成らない。暫く掘り進めると身体がよじれた死体が出てきた。俺の気持ちをは沈んだ。
「ふーぅ」
「お疲れ!」
俺は暫しの休憩に入った、焚き火の側で暖をとっていると暖かいボア汁を配って回っていたので、お相伴に預かった。
うん、温まる、冷えていた身体が蘇った。
「おう、アンちゃん何処の村でぇ」
「タタカ村です」
「おう、タタカ村か、俺はボバン村のラカてもんで、宜しくな!」
「ああ、ボバン村ですか、じゃ…」
「ドン!」
声の方へ顔を向けると。
「おお、ルダ!」
久しぶりに会った親友に抱き着いた。ルダは暫く見ない間に逞しく成った様に見えた、俺達はお互いの近況を静かに話しながら休憩をした。
それから2日間作業は中々進まず、捜索は難航していた。そんな折、地盤調査の再開を急がせる者が王都からやって来たのだ、捜索は調査が済んだ後の工事と平行して行う事に成った。
これは王命である、以上。
兎に角、王命と決まったら誰も意を申せないのである。その日に俺達、エルベルト隊は帰路に着いた。




