第24話 エルベルト隊
早いものでこの世界に来て7ヶ月が過ぎた、雪が降り積もる中、俺は年越し休憩返上で任務に付いている。今は見張り中だ、村の奴等は今頃旨い料理と酒を飲み食いしながら楽しくやっているのだろう。腹が立つ!
それも此れも、ダークベアーが現れたからなのだ。南西の森は危険魔獣が多いダークベアーも危険魔獣認定された種で本来なら今の時期は冬眠しているはずなのだが、腹を空かせて起きたのだろう、この時期のさまようダークベアーは攻撃性が高く危険になる。
「おい、ドン」
「何か見付かったか」
「こいつを見て、見ろ」
木には爪で引っ掻いた跡があり、それは新しいものだと解る辺りを調べるが、昨日から降り積った雪の影響で他の痕跡は解らない。
テイン(リスの亜人)は我がエルベルト隊の斥候で、今は俺の指導役である。最初は取っ付きにくい感じだったが、今は良い先輩だ。
「この辺りでやり合ったはずだ」
「何故解る?」
「観察力と想像力ってやつだな」
「はぁ観察力は解るが、想像力て言われてもな」
「ハッハッハッ、何、てめえならどうするかってとこよ」
俺ならばか、辺りを見渡した。
「…」
「まあ隊長を呼んで来てくれ」
テインにはダークベアーの向かった方向が解るらしい俺は隊員達の所に向った。
「隊長痕跡を発見しました」
「そうか、案内たのむよ」
「ハッ」
エルベルト(山羊の亜人)隊長は、温厚で礼儀正しく物腰も柔らかいまさにジェントルマンである。
俺はテインの元へ隊を案内した、テインは隊長に身振り手振り話ている。隊長は話を聞いた後隊を二手に分けた。どうやらこの先の森に覆われた岩場が在るらしい、地形と今居る場所を把握している隊長達はその岩場に狙いを付けたのだ。
俺はパウエル(鹿の亜人)と一緒に迂回して岩場に向かった。
パウエルは無口な弓使いで隊の後衛である、彼はいつも一人で居ることが多い。
岩場に近付いて行くと真向かいにテインの姿が確認できた俺は手を挙げ俺達の位置を知らせた。テインはハンドサインで回り込めと指示を出してきた。
「僕が後ろを取るから、ドンはテインの出方に合わせてくれ」
パウエルはそう言って岩場の後ろ側へ向かって行った。
俺達はそれぞれの位置に付いたのを見た隊長はシャーキーを囮に、岩場の方に向かわせる。
シャーキー(鬼の亜人)は盾と槍を使いこなす、この隊の副長でくちうるさい鬼軍曹と言った感じである。
シャーキーが岩場に近付くと黒い影が現れた、狙い通りダークベアーが姿を見せた、シャーキーは盾でダークベアーを引き付ける。
シュー、シュー、シュー
矢が放たれダークベアーの背中に刺さった瞬間ダークベアーは身体をくねらせた。
「ドン!足を狙え」
テインの声がした、俺は一泊遅れたが何とかダークベアーの足に一撃を入れた。俺の真向かいではテインも足に一撃を入れ暴れるダークベアーをシャーキーは盾で押さえている。そこに飛び出して来た、カトレインがダークベアーの腹を殴り、のけ反った所に右アッパー!泡を吹いて倒れる。
我が隊の紅一点ことカトレイン(オークの亜人)は武術家で一児母、打撃の強さからパワーウェポンとの呼び名がある。
トドメにダークベアーの心臓にシャーキーが槍をぶっ刺した。
「うん、見事だ!」
満足顔で姿を現したエルベルト隊長は隊の皆を誉め称えてくれた。
俺を含めたこの6名が、タタカ村の精鋭戦士、エルベルト隊である。




