第22話 火種
店を出た所で、俺達はディックにお礼を言った。そんな時である、ドカーン!と大きな爆発音が聞こえ、心なしか地面が揺れた感じがした。俺達は驚き音が聞こえた方に向かった。沢山の野次馬が集まり辺りは人で埋め尽くされていた。
町役場の一部が半壊し屋根が燃えている!屋根の上に人影が見える。
「皆、聴いてくれ!今の王が来て以来俺達の生活は変わった、今まで人間も亜人も上手くやって来た、何故だ!今こそ我々は立ち上がり!行動する時だ!民衆の力を王に見せてやろう!…」
男の声は良く響いた。
暫くすると衛兵たちが現れ屋根に登り男を取り押さえようとしていた。辺りの野次馬達は応援したり野次を飛ばしたり、また衛兵と揉める者まで出てきた。
「君達は先に宿に帰っていなさい」
「ディックはどうするんだ」
「ああ、僕はロッテを送り届けてから帰るよ」
俺達はロッテに感謝し挨拶を交わし宿へ戻った。宿では大人達が出たり入ったりしていた。
俺達は部屋に戻って寝る支度を始めていると、サカは真剣な面持ちで。
「なあ、俺も王のやり方には反対だ、お前らはどう思う」
「どうと言われてもな」
「何だよ、何か行動しないと、変わらない、そう思わないか」
「そう言うのは、わからん」
「ルダはどう思う」
「…解らないな」
「全く…」
サカは背を向けた。
さっきの演説に刺激されたんだろうか、確かに十代半ばの少年にとっては今の現状は歯がゆく感じるのだろう、もし俺も十代半ばならそう思ったのかも知れない、だが俺は元いた世界で体制に逆らっても上手く行かないことを知っている。
そんなことを考えているとディックが帰って来た。
「やあ皆、表は衛兵が走り回ってる、明日は早めに出発した方が良さそうだ」
ディックにそう言われ俺達は寝た。
翌朝、朝食を済ますと馬車の置いてある商会に行き荷を積み、出発した門前は衛兵達が入念に荷を調べ門を出るのに時間が掛かった。門を出た後は、行きと同じで俺達は斥候と言う名の穴埋め動員だ、途中夜営を挟み夕方迄には村に戻った。
行きに埋めた穴は雨が降ったみたいで、また穴が掘り返されており泥まみれになりながら、俺達は村にたどり着いた。




