第21話 至福の日
「おーい、ドン」
俺が振り向くとルダが呼んでいた。
どうやら休憩にお茶に行くらしい。訪れた店は、川沿いのカフェだった。見晴らしの良い席に座ると、ロッテがおすすめが在るらしいので注文を任せた。
出てきたのは紅茶とベリーパイのセットだった。ベリーパイは甘過ぎず又少し蜂蜜が効いた感じが紅茶によく合いとても美味しいのだ。この世界に来て甘い物に餓えていた俺はあっと言うまに食べ終えた。
「いやー本当に美味しい」
「ドン君はなかなか解っているはね」
「違いの解る男な者で」
「違いが解るんじゃなくて、ただの食いしん坊だろ」
サカはツッコミながら笑ってる。
皆で笑いあった。
「ロッテはインバーに住んでるの」
「私は仕事で此処に来てるの」
「仕事って」
「…うん、ミダース商会って知ってる」
俺達は顔を見合せた、どうやらロッテはアブンダンティアにあるミダース商会に依頼を受けた会社の社員だと言う。俺達はチンプンカンプンになった。
後で知ったのだがアブンダンティアは商人ギルドが買い取った国で、商人ギルドの本部でもあり、正式名書はアブンダンティア共和国と言うらしい。
ロッテはポシェトから名刺を取り出した。
「これが私の会社」
その名刺にはA&Aカンパニーと書かれていた。
「うは、良い紙だな」
俺が紙に注目すると。
「ドン君は目が高いな、そうその紙と印刷しているこれも商品なの。なかなか高価なのよ」
「貰ってもいいかな」
ロッテは少し考えてからいいよと言ってくれた。名刺を貰った恐らくこの世界では貴重な物である。俺はパスケースに大事に閉まった。その後はディックとの関係に話しは進み、どうやらディックとロッテは何度か冒険者としてパーティーを組んだ仲らしい。そんなことを話していると日が傾き始めた。今日はロッテが付いて来てくれた事を感謝した俺は店の代金を払おうとしたが。
「ディックからお小遣いを貰っているから気にしないで」
「お礼に何かさせて欲しい、なあ」
「ドンの言う通り」
「ああ、賛成だ」
ロッテほ困った顔をしながらも、その表情は笑っていた。
「あ、そうだこの後ディックと合流予定なの、荷物を置きに宿まで行きましょう」
俺達は彼女にはぐらかされ宿に荷物を置きに行き、合流場所の店に着くとディックはエールを飲んでいた。
「今日は君達の復帰と新人冒険者誕生の結わいを重ねて行う、好きなもの注文してくれ。」
「ディックの奢りってことか」
「ああ、勿論!君達には儲けさせて貰ったからね」
と言うことで、俺達は遠慮なく注文した。
「それでは君達の未来に、乾杯!」
皆でエールを飲み、大きな魚の蒸し焼きをあてにして食べていると、メインのボア肉のステーキが運ばれてきた。分厚いボア肉のステーキは柔らかく肉汁が口の中に広がって幸せな気持ちになった。皆で楽しい夕食をとった。
この世界に来て、今日は至福の日となった。




