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えっ⁉︎俺が地黄八幡⁉︎  作者: XxxpvqxxX
元服前
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6/9

6話

昔から、論文とか描くの苦手で文章がどうしても稚拙になってしまう。

大永元年 1521年 高天神城


「其れでは説明させて頂きます。」

出雲守が声を上げた。


「先ず、今回の出兵なのですが、大義名分は無くなりました。今井信元と大井信逹を武田信虎から救援するという形での出兵の予定でした。ですが、昨年、大井氏は武田との今諏訪原の戦で大敗しており、大井信達は家督を長男の大井信業に譲り隠居しております。信業は、妹が武田信虎の正室に成っており、既に娘ですが子を産んでいる事もあり、武田側に着くようです。

今井信元の正室が大井信逹の娘です。あとは言わずとも良いでしょう。結果的に皆、敵ということです。

次に甲斐南西部支配する穴山信綱殿と南東部を支配する小山田信有です。穴山信綱殿は、当家に対して寝返りを約して下さいました。此処に書かれました誓文がございます。小山田信有殿は旗幟を鮮明にしては頂けませんでした。手は出さないと仰られましたが、あまり信用はできない方のようです。」


出雲守は懐から2枚の紙を恭しく取り出し、親父に手渡した。


「ふむ。手は出さないと言ってはいるが、小山田は妻を離縁するらしい。妻は武田信虎の妹だ。元々小山田は武田に父を戦で殺されている。そしてその父の妻が叔父上、福島助春の妹だ。妻が家中でも武田の威光を振りかざして旦那である信有を下に見るような態度を取るらしく、家臣たちからも嫌われていたらしい。家と家とを結びつける筈の結婚なのに引き裂くなんてな。ふむ、今回を機に又、独立するつもりか。甲斐東部は武蔵と接する重要な場所。信頼のできんやつに任せることはできんな。叔父上には、最悪、孫を手にかけることを承知していただきたい。」

「又、穴山は遠江への領地替えを希望するそうだ。金山があり、裕福ではあるが駿河との国境沿い。今後、今川からちょっかいを掛けられる事が分かりきっているからな。移動したいらしい。また、甲斐国内での国人同士の争いにも辟易しているようだ。」


親父は困ったような嬉しいような表情で話している。

領主権力強化を考えると良いことだが腑に落ちないらしい。



どうやら穴山家は最近の当家の発展を見て、今川を食いつぶすと読んでいるようだ。当家に川の治水工事に関しても技能を有している者がいるのではと調べたらしい。まぁ実際に菊川で治水工事を大大的にやっている事もあり、寝返りの話を持ちかけた最初の頃は同じ事を穴山の領地内でも当家にやって欲しい思ったらしい。結局は、領地が潤ったとしても当家と今川の間で、干渉されると思い、心機一転、1から始め直すようだ。


また当家の領地を流れる菊川は古来より洪水が多い川だ。粟ヶ岳を源流に、東を牧ノ原台地、西を小笠山丘陵に挟まれ低平地を蛇行しながら南下し、上小笠川、下小笠川、牛淵川など、多くの支流を合わせ遠州灘に注いでいる。川の流れを確定して掘削や堤防工事を行ったり遊水地や貯水池を掘っているし、土砂を集めて浅瀬や干潟の埋め立てもしている。蛇行する箇所を少しでも減らすよう河をショートカットする為に掘って掘って掘りまくっている。元々洪水が多い菊川の周囲の土な為、山の栄養がたっぷり蓄えられていて、湿地帯への干拓などに掘った土を使えるから無駄にはなっていないのが菊川の治水のいい所だ。だが治水が全て終わるまではまだまだ時間が必要だろう。



「元々、釜無川と富士川、笛吹川に関しては治水をする予定でしたし、遠江の領地も甲斐が手に入ればさして問題では無いでしょう。」

そう、元々、甲斐を手に入れたら、富士川と釜無川、笛吹川の3川に関しては治水する予定だったのだ。甲斐は元々山間の貧しい場所だ。それに加え何度も洪水や飢饉に悩まされている。それを甲斐が当家の支配下に入った後はそれが減ったとなれば、民からの信頼も上がるだろう。かといってその為に当家が治めるようになってから賦役が厳しくなったなんて思われたら一揆の温床になりかねんからな。賦役も、日当を出して、昼に飯を食えるようにしてやれば人も集まるだろう。今までが無償奉仕だったのが賦役に参加したら金が貰えるようになるし、飯も食える。豊臣秀吉みたいに、いくつかの組みに分けて、一番作業が早かった組には日当が倍などをやるのも面白いだろう。それに川の治水には長い年月が掛かるから、当家直営の店を出そう。当家で稼いだ金を当家で落とさせて循環させる。そうすれば、出費をかなり抑えられるだろう。甲斐は山国だから塩が一番売れるだろう。普段食べられない海の魚の干し魚などの海の幸も売れるはずだ。古い鉄製農具を交換事業をしたり、千歯こきやスコップ、棃も売ろう。賦役に出れば良い道具も手に入ると思えば積極的に参加してくれるはずだ。

銭の私鋳もやらないとな。鐚銭ばかりで使い物にならない銭が今の世の中では多すぎる。湯の奥金山を手に入れて少しずつ始めて行こうか。甲斐には鉱山は腐る程あるからな。


「中道往還沿いの上出衆も服属を誓って来ております。」


此れにはとても喜んだ。侵攻ルートが甲州往還だけ

だというのは、不安だったからな。甲州往還は難所がいくつかあり、軍の移動は時間が掛かる。いくら穴山氏が味方になったとはいえ、今の世の中だ。謀りの可能性だってあるのだ。



「そして、小畠山城守虎盛と譜代重臣の甘利家が寝返りを約しております。甘利家は武田家の宿老で、武田家最高職位「両職」を務める譜代家臣であるのですが、ここ数代は両職ではありますが権力はもう一方の両職である板垣家が握っていて権力も持たず名誉職のようなものだったそうです。譜代の一門といっても血も何代も前の事で薄れていてその為こちらへの寝返りを決めたようで。小畠山城守虎盛は元々は、遠江の出身らしく、遠江で、領地を貰えるのであれば、寝返ると。」


「なっ…」


ここにいる皆が両職である甘利家が寝返りには驚きを

隠せないようだ。かくいう自分もとても驚いている。

最近は振るわないとはいえ、武田家内での次席宿老といって良い重臣の家だ。今の今川家でいったら、三浦家だろう。本来であれば当家が次席宿老なのだが、事実上の筆頭宿老が当家で、立場は逆転しているといって良い。当家の影響力は既に今川家と同レベルであり、単純な動員兵力であれば、今川家単体であれば此方が上回っているのだから、比べるまでもないだろうが。そう言えば小畠山城守虎盛は武田24将の一人で有名な男のはずだ。


ん?…当家に史実での武田の5名臣や24将が随分と多くないか?24将は信玄の時代だから、時代の問題で、今は未だ産まれてもいない者ばかりで少ないが、今、既に戦に出るような年の24将は甘利虎泰に板垣信方、小畠山城守虎盛、原美濃守虎胤に、横田備中守高松くらいだ。5人中4人がうちに仕えているか、仕える予定なのだ。

5名臣もさっき挙げた小畠山城守虎盛、原美濃守虎胤、横田備中守高松に諸国遍歴後、当家に仕える予定の山本勘助の4人が此方にいる。5名臣のあと一人、多田淡路守は活躍が見られるのがまだ10年以上先だから此方は考えなくて良いだろう。


「此方が調略を仕掛けた者は以上です。これ以上は武田に悟られる可能性がある為、行ってはおりません。途中武田の乱波と戦闘は何度もあり敵乱波の数は減らしております。我々が動いているのは理解しているでしょうが正体は一切バレていないでしょう。そもそも、数が圧倒的に違います。此方は今回の為に500人で動いておりますから50に満たない連中に遅れを取るわけがございません。」



出雲守が当然である様な雰囲気を醸しながら報告を終えた。


「ふむ、ご苦労であった。元々甲斐は上杉禅秀の乱(1416年)以降、守護に守護代、国人領主が割拠するような内紛状態にあった為、国人達の影響力が大きいのだ。これ以上は戦後の統治を考えたら必要ないな。」


そう。甲斐はもう100年程国内でずっと内乱を続けている。守護代を潰し、安定したと思ったら一族内でも反乱が起きたら跡目争いが何度も起こっている。穴山家が、当家に国替えを要請したのも、甲斐に絶対的な権力者を置いて、この100年も続く不安定な状態をどうにかしたいのだろう。その為、金山を持ち邪魔になる自分は引いたのだろう。


「甲斐への侵攻は甲州往還と中道往還の二つを予定している。甲州往還は儂が1万2000の軍を率いてでる。

中道往還は勝千代が8000を率いよ。」


「はっ…はっ、!?

私は9つで御座います。元服も前に戦にでるのですか?」


「構わん、実際に、差配するのは、能登守に美濃守、備中守だ。介春も其方に付ける。今のうちから、戦がどういう物か実感しておくのが目的だ。9つのお前に戦に出て手柄を立てる事には期待はしていない。」


この時代に産まれた以上、覚悟はしているがいざ自分が戦に出るという状況なのに実感がない。

実際に戦場に立つと何か変わるのだろうか。



「此処にいる者達は皆、お前の初陣に納得している。今年か来年には元服も行う予定だ。

お前の内政の能力は皆が知っている。だが、今の世の中ではそれだけではやっていけん。」


俺は周りにいる、美濃守達の顔を見たら皆が笑っていた。だが、出雲守は笑ってはいなかった。


「忍びである某はこういったお家の内情については余り関わりを持ちませぬ故に。」


出雲守は一歩引いた姿勢を貫いていた。元々今の世の中では忍びの立場は非常に低い。忍びを武士として雇用している家など日本広しと言えども当家ぐらいしか無いだろう。出雲守が家中に余り入ろうとしないのも忍びでありながら当家の重臣に連なっているから、周囲への事も考え、出しゃばるような事はしないのだろう。と言っても出雲守の名前を知っていても見たことあるやつなんて下級武士の連中では1人もいないがな。乱波であるとすら知られていないのだから。




「上井手衆には先導役として富士宮まで向かいに来てもらう予定だ。そこから一気に北上し本栖城を落とせ。その後は東へ行き大井氏の居城富士吉田城を攻略。その後、儂と右左口で合流し、甲府を目指す。」




そうは言われても、9歳の俺に軍勢の指揮なんて出来るわけがない。能登守や美濃守や備中守、介春とその他にも、多くの者が俺と共に行軍するのだ。今は、経験を積む事に専念しよう。



一応三浦家が筆頭宿老という立場です。立場的には。

二番手が福島で三席が、朝比奈です。


席次がしっかりと決められたのが今川仮名目録で1526年ですので、福正成の甲斐出兵の後です。

今川仮名目録では、筆頭が三浦氏で次席が朝比奈氏ですが

この小説では甲斐出兵が失敗して、福島氏の影響力が低下した為、朝比奈氏が次席になったという解釈で、やっている為、現在は福島氏が次席宿老です

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