災難なのはお父さま? 前編
小説情報ちょっと出てきてます。
長くなったのでまた前後編となっています。
よろしくお願いします。
その日、お父さまはいつもより大分早く家に帰ってきた。
理由は言うまでもない、私が起こしたちょっとした騒動が原因だ。
医師に診てもらっても異常はないとの事だったが、私が倒れてそう日にちも立っていなかった事もあってお母さまは心配で仕方がないという顔をしている。
転んでしまったという事にしているが、流石に拳で壁を殴った事がバレたらシャレにならない。
バレたら何て言い訳しようと思いながらもお母さまにしっかりとしがみつき、
「また転ばないようにこうしてていい?」
と、ここぞとばかりに上目遣いでお母さまに甘えると、
「もちろんよ。でも、病み上がりだから走ったりしてはダメよ」
と、優しく諭される。
ちなみにこの会話は何度目になるだろうか。
美しいお母さまの顔が心配で歪んでいる。その顔が堪らなくてつい何度も同じ事をしてしまう。
お母さまも不思議に思わないのだろうか?お母さまは昔から何でもできるのにとてつもなくにぶ…いや、純粋だからそこに下心があるなんて思ってないんだろうなと思う。
そんな時、
「シェリー!マイスウィートエンジェル、シェリー!お父さまが帰ってきたよー!」
と、白髪頭に髭はきちんと剃っている清潔感のある老年の執事、ロイナードと話が終わったお父さまがいきなり抱きついてきてそのまま抱き上げる。
そして、頭や頬にキスの嵐を。
「.........」
今日はいつもより気持ち悪いな。まあ、私があんな事したらこうもなるな。
流石に推しであっても、最近の行動はちょっと気持ち悪いと感じる事がある。
そういう時は以前の私に戻ったような気がして、前世を思い出しても根本的な所は変わらないのだなと思う。
そして、どちらかというとお母さま優先だったお父さまの行動が露骨に私優先に変わっている。
これも、私が倒れたからだろうか。
そう考えると申し訳なさも感じ、今、なされるがままになっている。
それに、この感じ、私が目覚めてしばらく興奮状態になっていた時と似ている。
悲しいことにやっぱり私の中身はお父さまに似ているのだ。やはり前世は所詮前世なのだ。
一方でお父さまとお母さまを並べて眺めるために色々画策していたりもする。
この推しに対する思いだけは前世を引き継いでいるようだ。
しかし、この思いも時間と共に薄れていくような気もする。
いつか完全にこの推しへの思いが無くなってしまうのだろうか?そう考えると、酷く悲しくなった。
後編は本当にお父さまに災難が降りかかります。
引き続きよろしくお願いします。




