どちら様ですか? 前編
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公爵家に帰ってきた私達はすぐ様、応接間に向かった。
正直、上手く切り出せる自信はなかったが、私がここで生きていくためにはこの公爵家の中だけではいけない。
おじいさまに言われた外の世界を見なさいという言葉がどうしても忘れられない。
そうこう考えているうちに応接間へと到着し、お父さまとお母さまは最近取り寄せたという茶葉のお茶が、私にはココアにマシュマロを浮かべたものが運ばれて来る。
3ヶ月経っても私の好物を覚えていてくれたことに嬉しくなる。
そして、意を決して二人に胸の内を打ち明ける事にした。
「お父さま、私、小等部へ入学したいの」
その言葉にお母さまは少し驚いていたが、私を監視していたと思われるお父さまは特に驚いた様子もなく、
「シェリーがそうしたいならそうしなさい」
そう、真面目な顔で答えてくる。
えっと、この人誰ですか?
「ただし、小等部へは6歳からしか通えない。ここから通うのかい?」
そうお父さまが冷静に聞いてくる。
えっと、本当に誰ですか?
という事を言えるはずもなく、
「6歳になったら通いたいと思っています。出来れば寮のある学校に」
そう答えると、
「シェリー、どうして寮付きの学校なの?ここから通えばいいじゃない?」
と、お母さま。
私がまだ子供だから心配しているのだ。
そんなお母様とは反対に、
「シェリーがそうしたいのならそうしなさい。」
お父さまは冷静に答える。
えっと、本当にお父様ですか?異世界憑依ものか何かで人格変わってます?
という事はとても言えなかったので
「ありがとう、お父さま」
と笑顔で答えると、お父さまも嬉しそうに目を細める。
「あなた、シェリーはまだ子供なのよ?それなのに寮に入れるなんて」
「大丈夫だよ、シェリーが決めた事を俺は尊重したい」
その言葉に、本当に誰かが乗り移ってるんじゃと思ってしまう。
以前のお父さまなら絶対に許さないし、恐ろしいダダをこねても不思議ではないのに、こんなにあっさり許してくれるなんて……
正直拍子抜けだ。
「ただし、休日は家に帰るように。そして、長期休暇はこの家に帰ってくるように」
と条件を付けられる。
初めからそのつもりだったので
「もちろんです、お父さま」
と笑顔で答える。
おかしい。そう思うが、下手に追求して入学自体が無くなることを恐れた私は何も言わなかった。
ただ、何だか嫌な予感だけは拭いされなかった。
「シェリーは当主になるつもりはあるのかい?」
お父さまの言葉にそういえば、前、当主になる!とか意気込んでた気がすると思い出していると、
「トラビスを受け継ぐのなら小等部から学校に行くことは大事だからな」
とお父さま。
普段は変な所が目立っていたが、やはり、二代公爵家の一角の当主なだけあるな。
と、お父さまを見直してしまった。
「はい。立派な当主になれるよう、精一杯頑張ってきます」
私の言葉にお父さまは嬉しそうに頷き、お母さまもしぶしぶといった感じでそれに同意する。
これが嵐の前の静けさだなんて当時の私は想像もしていなかった。
お父さまが別人のようになっていて拍子抜けだと思いますが、これ以上書くとネタバレになってしまうのでこの辺で。
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