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完結した小説の推し主人公夫婦の子供に転生した件  作者: まりり


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32/44

お父さまの怒り 後編

前編の続きになります。

読んでもらえると嬉しいです。


ま、まずい。事が大きくなっている……

何とかしなければ!いや、するんだ!元を正せば私の不注意な一言が原因なのだ。私が収拾しなければ!そう思い、

「私、全く気にしてないよ。それより、お父さま達がそうやって怒ってる事の方が怖いし、嫌だな」

と、渾身の演技で瞳を潤わせ、上目遣いでお父さま達を見つめる。

すると、効果的面。

「そうだな、元々シェリーの療養に来たというのにお父さまたちがこんなんじゃ休まらないよな。ごめんよ、シェリー。あの王子の事は忘れよう」

そうお父さまは言い、

「感情的になって、貴方にこんな気遣いをさせてしまってごめんなさい。お母さま失格ね」

とお母さまも続ける。

私はそんな二人に抱きつき、元に戻って本当に良かったと涙した。

「でも、辞表は撤回しないからな」

と、新たな火種がお父さまの口から放たれる。



「辞表!?」

その場に居たお母さまやおじいさま、そして私の声がシンクロする。

「ハハハ、みんな仲良しだねー、お父さまも嬉しいよ」

呑気に笑いながら目が笑っていない、そんな顔で言ってくるお父さまに

「あなた、辞表をもう提出したの?ふふ、相変わらず手際がいいのね。それでこそだわ」

と、お母さま。

あの、お母さま、急にキャラ変してません?

夫が勝手に職場に辞表を恐らく叩きつけただろうその事実をそんな勝手をして、殿下や周りの迷惑も考えるべきだと窘める。それがいつもだったらとるお母さまの行為では?

それを先程から行きすぎな夫を窘める所か焚き付けるような事を言っている。

ああ、せっかく丸く収まったのに、最初に戻ってきたよ。私のそんな嘆きに答えるように、隣でうーん、うーんと唸るおじいさまの声が聞こえる。

今回の件での一番の被害者は間違いなくおじいさまだろう。



我が家は公爵家。しかも、国境を守る守護神とも呼ばれる程の貢献を国にしている。そして、お父さまと殿下はいとこ同士で親友でもある。

だからこそ、ある程度のわがままや不敬も許されてきたのだ。だが、今回の件はあまりにも行き過ぎている。

しかも、事が起きたのは公爵家ではなく、伯爵家。

王家に何か言える立場ではない。

いくらお父さま達がここにいたからと言っても事件が起きたのはここ、ハクスレイン伯爵邸なのだ。

王子が不法侵入したのは公爵家ではなく、伯爵家。

ここが大きな違いなのだ。



ちなみにハクスレイン伯爵ことおじいさまも、事業に成功しており、領地も平和。納税もきちんと行っているし、王族派と貴族派に別れるこの国で昔からの王族派だ。

だが、そんな伯爵家など他にも居る。特別な事をしている訳では無い。

つまり、王子が不法侵入した事により、ハクスレイン伯爵家が防犯意識の低いそんな家だと噂がたってもどうする事も出来ない。

挙句の果てには公爵一家が来ているにも関わず警備を強化することなく、不法侵入を許すような家紋だと噂され、家紋に傷がついても文句は言えない。

おじいさま、これはハゲが進行するわね。というか、おじいさまの立場も考えてよ、お父さま!と思うのだった。



もしかしたらお母さまはそれもあって怒っているのかも知れない。

お父さまは伯爵家の事など考えていないだろう。

いくら問題のある王子でもこの行動は余りにも不敬だ。

それだけ私の事を思ってくれるのは嬉しいが、正直、アシュリー様や変ないとこ達、そしてお父様のこの行動で王子の顔も吹っ飛ぶくらい記憶から消えかけているのだ。



「相手は子供なんだからそこまで怒らなくてもいいと思うの。私はこうして皆が怒ってくれて愛されてるんだと思えて凄く嬉しい!」

そう言ってその場を和ませようとする。

「そうだな。それにこれ以上ギスギスしていたらシェリーの療養にならないな。本来の目的をまた見失ってしまって幼いシェリーに気を使わせるなんて、本当にどうかしていたよ。本当にごめんよ、シェリー」

お父さまのその言葉に

「本当にごめんなさいね、あなたにこんな辛い思いを他でもない親である私達がするなんて。親失格ね」

と、お母さま。

「そんな事はないです。嬉しかったです」

私は二人に強く抱きしめられ、お父さまをチラリと見ると、瞳の色が戻っており、今度こそ何とか空気を変える事に何とか成功したのだった。


ようやくゴールしたかと思ったらスタートに戻らされる。

そんな回でした。

まあ2人共、それだけ娘を愛しているという事でしょう。

言わなかっただけで最初の演技にも気付いているはず。


次も読んでもらえると嬉しいです

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