本当の反省とは◾︎
こちら、王族としての後編に入れる予定だったのですが、
いつもより長くなりすぎる。
という理由で分けることにしました。
読んでもらえると嬉しいです。
目の前の父上と母上は黙って静かに黙って考えて込んでいる僕を見つめている。
父上の瞳はいつもの琥珀色に戻っている。
そして、その目はどこか懇願するような、心配するようなそんな複雑なものを感じた。
そして、それは母上も同様だった。
……僕は間違っていたかもしれない。いや、間違っていたのだ。
両親にこんな顔をさせて僕はようやく自らの過ちに本当に気がついたのだ。
僕は王族なのだ。だから、全ての民は僕の言う事を優先させなければならない。そう教わってきたこともあり、そう思い、信じてきた。
しかし、実際は指導者が決まっても、トラビス公爵に指導を直接交渉でお願いしていた。
その度に体が弱い娘が心配だから無理だと断られ、正直、プライドを傷付けられていたのも事実だ。
王族である僕より娘を選ぶなんてもっての外だと怒りも感じていた。
そのうち、公爵自体を見なくなり、怒りは増すばかりだった。
そして怒りの矛先は当然の如くトラビス嬢へと向かった。
最低だ。王族としてだけでなく、人としても最低な事を何年もし続けていたのだ。
そして、あろう事か彼女を前に彼女を侮辱してしまった。
魔術の達人であるトラビス公爵が知らないはずが無い。
あの時はどうかしていたんです。
そんな言葉では許されないだろう。
僕はよりによって尊敬するトラビス公爵の令嬢が療養に来ているにも関わらず、傷付ける事をバカにしながら平然と言っていたのだ。
療養の意味を知らない訳ではない。だが、あの時の僕の頭にそんな物はなかった。
それなのに、何も言わず、頭を下げたトラビス嬢の方が余程人間ができているとさえ思える。
その後、傷付いた令嬢は走り去ったが、もしかしたら泣いていたのかもしれない。
最悪だ。
よりによって療養に来ている人間になんという事を。
こんな僕じゃトラビス公爵に避けられていても当然だ。
それに、自分の子供を大事にしない親などいない。目の前の両親の姿を見れば否応なしに思い知らされる。
僕より娘を優先させる事は当然なのだ。
そして、父上に
「牢に入って反省します」
そう告げると、母上はどこかホッとした顔をし、父上は
「それがいいだろう。剣のアシュライン盾のトラビス両公爵あっての今の平和なのだからな。どちらも敵に回すわけにはいかない。お前が自ら苦しい選択をするという事が公爵の出した条件でもあったからな」
つまり、僕が自ら牢に行くという選択をしなければ、王家と対立したという事だったのか。
そうなれば、国境を守っていた精鋭部隊を引かせ、他国からも恐れられている僕達の国、ワズワール王国の2つの守護神と言っても過言でない片方が居なくなる事で、国境の守備は乱れ、それに漬け込むように攻め込まれる可能性もあった訳だ。
そんな優秀なトラビス公爵だったからこそ僕は尊敬し、近付きたかったのだが。
改めて自分の考え方の愚かさを思い知らされ、自分の思い上がりを改めて悔いるのだった。
反省を態度で示すにはどうしたらいいか?
僕はその事を真剣に考え、出した答えを口にする。
「入れるなら貴族用ではなく、平民の入る牢にお願いします」
僕にできる精一杯の謝罪と誠意は貴族の入る牢では示す事は出来ない。
前代未聞の反省の仕方をする事で誠意を示したい。
公爵の怒りがとけ、以前の平和な状態に戻る事を僕は牢の中で祈り続けながら、己の行ってきた行為の数々を反省しよう。
それが今までの僕の行動によって傷つけられた人達への僕にできる精一杯の償いなのだから。
王子の考え方が変わるいう重要なところなのできちんと書いておきたくてこういう形になりました。
あのままだったら暴君待ったなしでしたからね。
次回からは通常のシェリア視点に戻ります。
王子視点長くなりすぎて申し訳ないです。
次も読んでもらえると嬉しいです。




