来訪者達の帰還 後編
後編になります。
読んでもらえると嬉しいです。
そして、ふと思い出したことがあり、それを口にする。
「おじいさま、今日、ここに王族の人がいらっしやる予定でもあったの?」
と。あくまで、子供らしくと注意しながら疑問を口にする。
すると、返ってきた言葉はおじいさまのものではなく、お父さまのものだった。
「どういう事ですか?お義父さま?返答によっては我々も帰らせて頂きます」
先程の興奮も収まっておらず、お父さまの目の色はより金色に光り輝いていた。
「何の事だかさっぱり分からないのだが?シェリアはここで王族の方と会ったのか?」
「はい、会いました」
「本当に王族の方だったのか?」
私の返答に信じられないという表情でおじいさまが再び尋ねる。
これは、あの王子、伯爵家に何の先触れも出していなかったのね?
しかも、おじいさまのこの驚きようからして、おそらく、不法侵入してきたのだろう。
何故そんな事をしたのかは謎だが。
「シェリア、誰だったかわかるかい?」
おじいさまとの会話に割って入ってきたのはお父さまだ。
私は小説の知識で王族だとわかっただけで、相手が名を名乗った訳ではない。
「自分は王家の人間だと言っていただけで名前までは分かりません。でも、年齢は私よりも少し上に見えました。あと、青みがかった髪と琥珀色の目をしていました」
まさか、小説の内容で分かりましたとも言えず、その辺は適当に誤魔化しておいた。
そして、実を言うと顔はチラッと見ただけなのでよく覚えていない。
最初の嘘にはもっと違うやり方があったのでは?とも思ったが、咄嗟に出たものであり、もう言ってしまいどうしようもない。
「……」
お父様は無言になる。
やっぱり無理があった?と思っていると、
「ああ、あいつか」
と聞こえるか聞こえないくらいの小さな声でお父さまが呟いた。
「ごめんなさい、王家の方のほうは私のせいだわ。この間の妃殿下とのお茶の席で家族3人で実家に帰れる事が嬉しくて、シェリーの療養も兼ねて伯爵家に戻る話をしてしまったの」
その言葉にお父さまがため息をつく。
「本当にごめんなさい!まさかウィル様がいらっしゃるとは思わなくて。しかも変装も無しに」
「起きてしまった事は仕方がない。お義父さま、申し訳ありませんが、当初の約束と変わってしまいますが、こちらにも結界をはらせて頂いても?」
「それは構わないよ」
おじいさまは即答で答える。
「シェリーお母さまの不注意のせいでごめんなさいね」
お母さまは私を抱きしめ、涙ながらに謝ってくる。
え?確かにあの男、口は悪いわ、偉そうだわで癪に障るところもあったけど、周りの方の反応は異常だ。
余程問題のある王子なのだろう。
王族とはいえ、あのセリフにあの態度、出来ることならもう二度と会いたくないわ。まあ、会うことも無いでしょうけど。
などと呑気に考えてる私とは対称的に周りの大人達は深刻な顔をしていた。
まあ、あんな非常識な奴でも王族だからそうなるか。と、自分の行動は棚に上げ、私はそう思ったのだった。
来訪者達の中にもちろん、王子も入ってます。
次は王子視点になるかと思います。
読んでもらえると嬉しいです。




