その日は突然やってくる 前編
いつも通りの前後編となっております。
読んで頂けると嬉しいです。
コンコンとドアをノックする音がする。
私は椅子に座り、調べ上げたお母さまが好きな恋愛ものの本を読んでいた。
これがまた、前世のものとテイストがちょっと違っていて面白いのだ。
流石お母さまが愛読している本だわ。と改めて感心する。
以前は分からない用語などもあり、内容も完全に理解はしていなかったが、前世の知識を受け継いだらしい今の私には十分理解できる内容となっていた。
ドアのノックに
「どうぞ」
と答えると、私の専属侍女マーヤがドアを開け、
「旦那様と奥様がお呼びです」
と告げる。
「軽く身支度したいから手伝ってくれる?」
私のその言葉に一瞬驚いた空気を出す。
長年彼女の行動を見てきているのだ。子供と言えど、表情や雰囲気で相手の心理状態はある程度分かる。
最近、前世の影響は推しに関する事だけでなく、他にも受けているのかもしれないと思うようになった。
ちなみにこれは最近気付いた事だ。自分の事は自分ではよく分からないものだ。
「かしこまりました」
そう言って何故家族に会うのに身支度するのか?という疑問は口に出さず、態度にも出さないようしているのが分かる。
これでこそ公爵家の侍女よ!あんな役たたずの金食い虫なんて紹介状も持たされず追い出されて当然よ!と、また小説の内容のイライラした場面を思い出してしまう。
今度は物に当たらないよう細心の注意をする。
こういう時はお母さまを思い出すのが1番だわ。そう思ってお母さまを思い浮かべながら悦に浸っていると、
「お嬢様、このような感じでいかがでしょう」
と、冷静な声で現実に戻る。
「悪くないわ」
そう言って私は2人が待つ部屋へ向かうことにした。
そして今、私は2人の目の前のソファーに座っている。
私がくっつけなくても2人横に並んでいるなんて素晴らしい!この光景、目に焼き付けなければ!などという私の気持ちは一瞬で冷めた。
というのも、2人共、深刻な顔をしていたからだ。
もしかして、私が2人を並べて眺めて喜んでいる事や、最推しのお母さまを困らせているのでは?と思うほど甘えたり、わざと隠れて必死に私を探すお母さまを眺めては、最推しが私を探している、尊い!と喜んでいるのがついにバレて怒られるのか?
私は急に居心地が悪くなり、ソワソワしだす。
わざと隠れて心配させるのは流石にやりすぎている自覚があるからだ。他については子供のした事だから許して。と考えていると
「やはり、決めて正解だったな」
お父さまのその一言で現実に引き戻された。
引き続き、後編も読んで頂けると嬉しいです。




