分解
オイラに仲間が増えた。
かかしとせいじょ。
二人ともいい奴だ。
飯を奪ったりしない。
せいじょは良い匂いがした。
ずっと匂いを嗅いでいたいけど、
せいじょに見られると、
なんだか、
はずかしい。
しかし、
ここはどこなんだろう。
オイラはゴミを売ったり、ゴミを食べたりして生きてきた。
オイラはあちこち探すが、
食べられるゴミはない。
多分昔に本で見た街みたいだけど、
人がいない。
死んだのかなと思ったけど、
骨もなかった。
ゴミを売れればいいのだけど、
ゴミを買ってくれる人もいない。
飯はかかしがくれるから、
しばらくは、だいじょぶかもしれないけど、
せいじょもいるし、
そう思った。
オイラの島では、
釣りをしている人もいた。
釣りをして魚を食うのもいいかもしれない。
人がいないなら、
魚も多いかもしれない。
明日は海を探しに行こう。
そう思った。
オイラは、
眠ることにした。
地面はつるつるだが、冷たい。
オイラがくしゃみをすると、
かかしがキレイな布を持ってきた。
せいじょがオイラにかけてくれた。
暖かいことに驚いた。
オイラはすぐに眠ってしまった。
目が覚めると、
せいじょとかかしは、いなかった。
「せいじょ、かかし」
オイラが呼ぶと、
しばらくして、せいじょとかかしがやってきた。
そとに行っていたみたいだ。
かかしがくいものとおちゃを用意してくれた。
「くいもの……くいもの……おちゃ……おちゃ……」
せいじょは
「ありがとう」
と言った。
「ありがとう」
オイラも真似をした。
かかしも続けた。
「ありがとう……ありがとう……」
そうか。
くいものとおちゃを貰ったら、
ありがとう、
というのか。
オイラは少し頭が良くなった気がした。
世界には学校というモノがあるらしい。
子供は働かなくても、
学校にいって、くいものを食わせてもらえるらしい。
オイラの島には学校はなかった。
だから、
自分のくいものは、自分で探した。
ラーチのおっちゃんはいろいろ教えてくれた。
スライムの使い方や、
育て方も。
オイラは、くいものを食い終わった。
箱をスライムに食べさせる。
せいじょも箱をスライムに食べさせた。
ちょっとまだビクビクしている。
オイラはスライムに腕をつっこむ。
せいじょは驚いていた。
でも平気。
スライムはオイラを溶かさない。
前にラーチのおっちゃんと、
ケガで腐った肉を食べさせたことがあった。
その時も、腐った部分だけ食べて、健康な部分は残した。
この事がきっかけで、島ではケガで亡くなる人が少なくなった。
でも、
あの花はなんで食べたんだろう。
よくわからない。
オイラはスライムをちぎった。
せいじょは驚いていた。
でもちぎったスライムが、動くことにもっと驚いていた。
オイラはスライムを一つ渡す。
「トイレ」
と言ったら、
「ありがとう」
とせいじょは言った。
くいものや、おちゃだけじゃないんだ。
なにかを貰ったら、ありがとうというんだ。
ありがとうは便利だと思った。
オイラはトイレがしたくなったので、
外に出る。
せいじょが心配そうな顔をしたので、
「トイレ」
と言ったら、わかったみたいだった。
トイレ ありがとう くいもの おちゃ
オイラは、
せいじょと、ちゃんと話すことができるようになった。
オイラはトイレをしながら、
考えた。
せいじょはどこから来たのだろう。
でもわからない。
どう聞いたらいいかわからないから、
考えるのをやめた。
スライムにうんこを食べさせた。
すぐにうんこはなくなった。
そしてスライムはまた花を食べている。
島ではあんまり植物は食ってなかったと思うけど、
少し不思議だ。
オイラはスライムを半分にちぎって、
外に置いておくことにした。
花はたくさんあるから、
ちょっと食わせて、
どうなるか試してみよう。
そう思った。
ラーチのおっちゃんと、
よくスライムにいろいろ食べさせた。
スライムは、
一つのものばかり食べさせると、
それしか食わなくなる。
だから花ばかり食わせると、
ここの花が減るんじゃないかと思った。
キレイな花だけど、危険だと思ったから……。
……
オイラはせいじょとかかしのところに戻った。
海を探したいと言いたいが、
どう言えばいいかわからない。
まぁいいか。
少しずつ、
見える範囲を増やせばいいと、
そう思った。
オイラは、もう一度外に出る事にした。
また心配そうに見るので、
「探検」
と言った。
「たんけん」
とせいじょも真似をした。
かかしも続けた。
「たんけん……たんけん……」
オイラは外に出る。
せいじょもかかしもついてくる。
ついてくるなら、あんまり遠くにはいけない。
オイラはぐるりと回る。
ずっと同じようなかんじ。
同じような色の建物と赤い花。
似ているから、ここがどこかわからなくなる。
なんか目印でもつけなくては。
そう思い、
来た道を引き返すことにした。
元の建物に戻ると、
スライムが少し大きくなり、
赤い花はずいぶんと減っていた。
せいじょは驚いていた。
せいじょは、
オイラがあげたスライムを、花の上に乗せて食べさせていた。
なんだか、うれしそうだ。
オイラは元の建物の中に戻り、
なにか使えそうなものはないか探す。
あるのは、キレイな水の入ったもの。
銀色の棚。銀色の光る箱。暖かい布。
本も見つけた。
オイラは見てみたが、
見たことがない字だった。
キレイな絵の本もあった。
せいじょも本を見ていたが、
せいじょも字が読めないみたいだった。
学校に行ったら、字が読めるようになると聞いた。
せいじょも学校に行かなかったのだろう。
でも不思議だった。
オイラは仕事をしていたから身体は傷だらけ。
でもせいじょは傷がなかった。
働かないと食えないし。
学校にいったら、食えるけど、字が読めるようになるし、
でもせいじょは字が読めないし。
よくわからなかった。
でも仲間だし、なんかいい匂いするし、大切にしないと。
せいじょは弱そうだし、
死なないように、助けないと。
オイラはそう思った。




