08
やあ、皆様御機嫌よう。
ヴィオラ姫自称筆頭侍女の葛木と申します。
現在の時刻は深夜の2時頃。
今日も窓から見える城下町の光がまた美しいですな。
あ、お分かりの通り姫様の体使っちゃってます。
いや〜、昨日(?)の接待もしんどかったわぁ。
俺の都合も考えてさっさと寝てくりゃ良いものを。
おっと失礼。
話を戻します。
今回の目的は俺も魔法を使えるかって事。
姫様があんなに簡単に使ってた事からそんなに難しい事じゃ無いと踏んでるけど、あの燃費の悪さを如何にか改善したいと考えてますよはい。
ではでは早速。
まず魔法を使うには背中の魔術門を解放して魔力の出入り口を開いてやらにゃいけない。
解放と同時に、厨二病大興奮の漆喰の冠、翼、靴が生えるけど、其れも上手く幻術で展開と同時に隠さなきゃいけない。
…そもそも魔術門の解放の仕方がわかんにゃいな。
姫様の説明もわかりにくかったし、叔母ちゃんに出来た事を聞くのもどうかと思うよな。
起床端末だが、地球出身の一般ピーポーに魔術門って言う器官がある事を理解する事自体が不可能だし、魔力って言う未知エネルギーを操るって事自体が付いていけない。
寝言は寝て言えやバッキャラー!
けど、あっちの世界では魔術門も魔力も目に見えてたし、使えない俺がイかれた子になっちゃうから郷に従うしか無いと言うね。
チキショウちゃんとした郷に生まれたかった。
ってな訳で。
3時間くらい掛けてやっとこさ魔術門を解放する事に成功。
バカだな〜と馬鹿にしてたけど、ヴィオラって意外と天才肌だったんだな、っと改めて実感。
尊敬はしない。
「しかし、これは目立つな。」
この世界、未だ電気が存在しない様で、灯りは蝋燭で賄ってる。
勿論就寝時間の為部屋は真っ暗。
辛うじて月明かりが窓から入ってくる程度の明るさ。
だが、ヴィオラの格好は目立ってた。
真っ黒の筈なのに明るいと言う意味が分からない光景が鏡の向こうで間抜けズラを晒してる。
あ、俺か。
其れはさて置き。
実際にこの3種の神器(?)を展開させて見て、矢張り燃費の悪さが際立つ。
黒い神器を広げただけで魔力を放出しているのに、更に幻術を維持しなければならない。
此処から更に火術を偽装するのはてぇへんだ。
まあ、しなきゃ死ぬから頑張らないといけないんだがね。
では、出来る所からやって行きましょう。
思い付く策は幾つか存在して、
①魔力の貯蔵量の上昇
②魔力の吸収効率の上昇
③魔力の放出効率の上昇
④幻術の魔力消費効率の上昇
の4つ。
叔母ちゃんが言うには①は年齢が上がると自然と増えるらしいし、②と③は魔法自体の使い込みで上がるとの事。
④は四大負属性自体があまりメジャーな魔法でない為研究が進んでおらず、効率的な魔法の使い方が分かって居ない。
まあ、使い手自体が少ないが、此れも使い込みで何とかなると思う。
はい、どれもこれも時間時間時間。
こっちゃ時間がねぇんだよ!!コンチクショウめ!!
と、言う訳で考えた苦肉の策。
てってててーてってーっ(肉音) 魔力回復薬〜(ダミ声)
どれもこれも効率が悪くて倉庫に一度に貯められる貯蔵量が少ないのなら、使いまくる度に強制的に突っ込めば良いじゃない。
いや、魔力って言う未知エネルギーが、翼って形で目に見えるエネルギーになっているんだから、そのエネルギーを保存し、自分のタイミングで使えれる様になれば良いなって事。
効率考えたら薬漬け待った無し。
此れは、兄弟の牽制にもなるからね。
ライバルであるヴィオラが病弱だと思われれば、その分油断や隙が生まれるし、アホだったら歯牙にも掛けないかもしれない。
確かに弱味にはなるが、其れ自体は此方の痛手にはならないし、寧ろ限界値を低く見積もって貰えれば予想外の打撃を与えれる。
だが、
「問題は、どうやって作るか何だよなぁ。」
そう、この作戦には2つの意味で大きな壁が存在する。
1つは予想出来るとは思うが回復薬自体のレシピ。
俺みたいな凡人が思い付く事だから既に既存のレシピが存在する可能性もある。
だが、其れの入手経路が少ない。
側近や護衛騎士を使うのも良いが、出来るだけ兄弟に情報を渡したくない。
人を介せばその分だけ情報の漏出の確率が上がるからね。
かと言って、叔母ちゃんから聞くのも憚れる。
アレはあくまでも協力関係。
先日の翼を展開した時、魔力切れで強制終了した時は、自発的に止めた様に取り繕わせたが、魔力が少なく、魔法を維持出来ないとバレた瞬間裏切られる可能性も考慮しなければならない。
出来るだけ、叔母ちゃんに情報は与えたくない。
では、自分で作れるのかと言われたら、無理と言わざるを得ない。
だって俺研究者じゃねーし、天才でもねーもん。
…侍女にでも魔法関連の書物を持って来てもらうのが良いのかなぁ…?
もう1つ。何処で、どうやって誰にも見られずに作るのか。
いやね、毎日って訳じゃないし、ごく僅かな時間では有るんだけど監視されてるのよね。
最初は勘違いかな〜って思ったけど、偶に気配を感じるの。天井とか壁とか床とかから。
手を出されて居ない事から暗殺者の類ではないだろうけど、其れが護衛なのか兄弟の間者なのかわかんないんだよ。
今は、多分居ない。気配完全に消せるプロは知らん。
ってな訳で、この部屋から一切動けないヴィオラボディでどうやって作るのかでした。
あれ、これ詰んでね?
『姫様、おはようございます。』
あ、如何も。朝だか夜だか分からない世界でスタジオにお返し致す、葛木と申します。
はい、後日っと言うか翌朝です。
あれからと言うもの、何度か翼と幻術の同時展開を練習して、地味な努力をしました。
んで、こっちの世界に帰って来ては情報がないか夢日記を読み漁り、熟睡の姫様をお出迎え。で、今に至る。
ヴィオラには侍女に、さっき言ってた魔法関連の本を貸し出して貰う様に頼んだから、問題は忘れてない限りない。
一応黒電話で連絡取れるから万が一は無いと思いたい。
あ、そういや。最近護衛騎士とか侍女からの視線が暖かいと言うか優しいと言うか。
なんか無性に気持ち悪い。ヴィオラは気にしてない様だけど、目に見えてわかる変化なんかあったかな。
今度調べとくか。
で、相変わらずのゲロマズ御飯を頂きましたら本番ですよ。
『今日はまほうのべんきょうがしたいので、ばんごはんがおわったらそれにくわしい本をもって来て下さい。』
『畏まりました。』
うむ、晩御飯後の自由時間を潰される事にヴィオラは難儀を示してはいたが、生きる為に必要な事と言えば納得してくれた。
だって、空いてる時間って其処しか無いんだもん。
『姫様。』
はいなんでしょう?
『皇帝陛下が夕食を御一緒するとの事です。』
…え?




