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ハリボテの姫  作者: 高飛車
6/14

06

人間には2種類存在する。

有能な奴と無能な奴だ。


まぁ、俺は何方かと言うと存在すら怪しいのだが。

どうも、精神体の葛木と申します。




突然「何語り出したんだ此奴」って思うかも知れませんけど、本日の授業(レッスン)は遂にやって参りました魔法学。ヴィオラも今か今かと待ちわびております。


で、何が有能無能なのか、って言いますと才能の問題。

地球でもそうだったけど、神様ってのは非情な奴で人を選ぶ。与える者にはとことん与えて、やらない奴には完全に無関心。


何が神の籠愛だ、んなもん囲うくらいならお零れちょっと寄越しやがれ。




『ひ、ひひひ姫様!!こっ、此れは!!!』



と思っていた時期が私にも有りました。

うん、真面目に(ガチで)。

俺の人生ハード過ぎるわ。




火属性適正:0

水属性適正:0

風属性適正:0

地属性適正:0

超属性適正:0

癒属性適正:0

毒属性適正:0

付属性適正:0

呪属性適正:0

聖属性適正:0

空属性適正:0

時属性適正:0











幻属性適正:77

邪属性適正:77




神よ。

与える人間を間違えてる。







一瞬暗殺者にでも転職を考えた私、葛木と申します。

姫様の身体の主導権が有れば、俺は実行してたね。

まあ、そんな事は出来やしないので置いといて、


本日の授業(レッスン)をご説明致します。

まあ、全部は俺も教師じゃないので大まかになるんですがね。



そもそも「魔法」とは。一言で言うと、


大気に存在する魔力(マナ)を魔術門(ゲート)から吸収、放出する事で発生する現象。らしい。


専門用語は分かんないんだってばよ。と思うそこの貴方。大丈夫、俺も分からん。


なので一から説明頂きました内容を其のまんま話しますと、

この世界の魔法を使える生物、略して「魔物」は身体の一部に魔術門(ゲート)と呼ばれる器官があるらしい。血統によって変わるらしいけど、人間なら額、肩甲骨、踵の三つの場所の何処か。

ヴィオラは正統な血を継いでるとかで3つともあります。


この正統な血だが、「神族」とか呼ばれる謎生物が始まりらしい。

その神族と人間が交わって生まれたのが我等魔法を使える人間である。

ただ、当の昔に神族は地上から姿を消してしまう。この血だが世代が増えるにつれ、当然ながら血が薄れて行く。薄れて行くにつれて3つの魔術門(ゲート)のどれかが欠けたり、小さくなっていっている。これが今の貴族。

で、最早血が薄れてしまって殆ど才能を発揮できない。もしくは血が一切混じっていない人間が平民となる。



話を戻す。其処から魔力(マナ)って言う謎の見えないエネルギーを魔術門(ゲート)に描かれた魔法陣が其の人に対応した別のエネルギーに変換。ヴィオラだったら「幻」「邪」ね。


んで、どーん。



勿論だけど背中の魔術門(ゲート)は返品返金は受け付けていないそうです。

神様ってケチだね。

せめて反対属性なら需要大有りなんだが、


あ、反対属性と言うのは。


火属性と水属性

風属性と地属性


みたいな、相反する属性の事。

反対属性を持っていたらもう片方は絶対に習得出来ないそうです。

つまり、ヴィオラさんなら「超」「聖」になる。

神殿からの過激なスカウトが来る程になってた。

其れは其れで大変だけど、明らかに暗殺にしか使い道がない「負」の属性よりはマシだった。

真剣に。



『姫様…ど、如何しましょう?』



教師役の50代叔母ちゃんが半泣きで訪ねてきた。

いや、姫(俺)に聞くなし。


だが、叔母ちゃんが泣きベソをかくのも分からなくはないか。

この皇族(ヴィオラ一家)は代々火属性のエキスパートらしく、正統な血を大事にしてる彼等は当然嫁も厳選。当たり前の火属性エリートである。

実際ママンも火属性、らしい。


んで、当然ヴィオラも火属性だろうと招かれた教師役が彼女。目の前で誰得な泣き顔を披露している火属性の叔母ちゃんである。

勿論ながら「幻」「邪」属性など専門外。

と、言うか極める人間が気狂いしかいない。



幻属性は相手を欺く魔法。

対象の五感を狂わせる事に特化した魔法である。

騙したりはお手の物で、暗殺者等の侵入者対策で真っ先に考慮されるのがこれ。

ただし攻撃性は幻術故に皆無。


邪属性は、説明が難しいが幻属性が身体機能的に騙すものならば精神的に騙す魔法と言った方が正しい。

思考を誘導したり、禁術に部類される洗脳系もこの属性だったりする。

しかし、この邪属性だが決して「闇」ではない。

負の感情を集めて…とかの攻撃魔法は一切出来ず、あくまでも精神系の魔法。



まあ、どっちも危険である。


そんな、災しか齎さない魔術門(ゲート)を持つ人間が皇族に居る。

下の人間は如何思うか。

俺なら消すね。存在から。




で、其の白羽の矢が真っ先に向くのが残念ながら叔母ちゃんである。

彼女が事実をありのまま皇帝へと伝えれば、口封じの為に先ず消されるのは彼女である。

ヴィオラみたいな半監禁状態の子供は後で如何にでもなる。

病死と告げればそうなるし、其れを確認する術もない。





リリリリリリリリリリン


リリリリリリリリリリン



諦めたらゲーム終了とかばっちゃんが言ってた気がしなくもないけど、流石にこれはゲーム的にハード過ぎ。

最早諦めるレベルだわ。

そう思った矢先、机の傍に置かれた黒電話が甲高い音を鳴らす。


え、此処で何?

ヴィオラ今現実世界に主張中なんだけど!?


「はい。もしもし。」


まあ、出るんだけど。




『カ、カツラギっ!ど、どうすれば良いと思う?!』





ふぉ?


黒塗りの受話器の向こう側。

右耳から響く甲高い声はヴィオラお嬢様では有りませんか。


成る程、この黒電話。現実世界の相手と通話が出来るのか。

へーふーんほーん。

うん。

この情報はデカい。此れなら俺からヴィオラに指示が出せる。



『ねぇ!きこえてる?!』


「失礼いたしました。姫様、今置かれている状況をご確認しても宜しいですか?」


『う、うん。』


「では、姫様の魔術門(ゲート)の属性が人に見せるモノでないでないと言う事ですが。」


『分かる。絵本では悪者がつかう魔法だったもん。』


ああ、そう言えばそうだったね。

絵本と言っても神話が絡んだ宗教の本なんだけど。

他の属性の神様は称え崇められるのに、負の4大属性は邪神って言われる典型的なヤツ。

あ、4大負属性って言うのはヴィオラの属性「幻」「邪」と「毒」と「呪」。字面から邪悪なのが見えるね。

んで、其の負の魔法を使う輩は「邪教徒」と罵倒、暴力を受け、最終的には縛り首、後引き回し。

まあ、実際今はやってないらしいけどね。

昔のユルートレピアはやってたとかなんとか。


「其の通りです。もしこの事実が皇帝陛下に伝われば…」





『………晒し首?』


いや、其処まではいかないと思うよ?

一生陽の当たらない場所で静かに暮らすんじゃない?

まあ、最悪有り得るか。主に兄弟面で。

けど、其れじゃ俺も面白くない。


「なので、事実を此処で止める必要が有ります。」


『え…それは………』


「はい、皇帝陛下に虚偽の報告をする事になります。」



仕方ないよね。

だって、知られたら終わりなんだもの。


『でもー…「想像する未来をお望みですか?」』



うん、素直で正直な事は美徳だよ。

でもね、其れだけじゃこの世界は生きていけねぇよ。


『……………………わかった。』


「はい、では私の言う通り、其の儘伝えて下さい。」



まさか、好きなモノで釣って幼女を上手くコントロールするつもりが、人生の進路選択で手綱を丸投げされた件。

其れで良いのか?御主人様(マイロード)。


此の儘だと一生頼られる気がする不思議。

やだわ愛が重過ぎるわ。

まあ、一心同体の時点で頼る頼られる関係ない気がしなくもないが。



まあ良いや。

一先ずこの窮地を切り抜けよう。

運が良いのか悪いのか、現在この空間(ヴィオラルーム)は俺達と叔母ちゃん意外は席を外してる。

外に居る護衛達や、兄貴達の偵察兵(スパイ)が聞き耳を立てていなければ完全な密室。

つまり、叔母ちゃんさえ丸め込めれば簡単に揉み消しが出来る。




「『この事実を如何したい?』」


質問を質問で返すのは如何かと思うが、俺が指示を出した通りに、ヴィオラが迫真の演技で不敵な笑みを浮かべて居れば、叔母ちゃんの考えを限定、絞り込む事が出来る。

恐らく、彼女の頭は「ヴィオラはこの事実を知っていたのか?」「この事実を如何報告するべきか?」の2点で一杯になって居る筈。

では、この時に最善の(彼女を追い込む)回答は。


「『お父上に報告すれば、貴女は如何なるのかな?』」


と、無邪気な笑顔で告げる事。

まあ、笑顔はヴィオラの十八番だから心配はない。

叔母ちゃんの精神面は心配だけどね。


因みに、「知る知らない」を答えるのは悪手。

さっきも言ったけど何処に誰が潜んで居るかは分からないからね。「知ってた」って言えば兄貴相手に不利になるし、「知らない」なら叔母ちゃんに対するカードが消える。

此処は敢えてカードを裏面のままチラつかせ、叔母ちゃんの出方を縛る。

「報告をするしない」は後回しにされても、其の後を考えさせる事で思考を制限させるべき。


『ひ、姫様には関わりのない話です!!』



うむ、上手く出来た様だ。

顔が青ざめ、唇が紫になったプール上がりの誰得叔母ちゃんを此の儘食うか。



「『そっか。』」



じゃあ私の魔法の奴隷(邪魔法の練習台)に成る?



実際に口にした訳じゃない。

ただ、笑っただけだ。

だが、元々笑みは「大きな実力差を強調する」モノ。

自発的服従、降伏を勧誘する力のある「攻撃」は、察しの良過ぎる叔母ちゃんには強過ぎるモノだった様だ。



まあ、ハッタリだけどね。



本当は、魔法の一端でも見せれれば良かったんだけど。

まあ相手に恐怖を与える事は出来た様だし、思考停止のパニック状態。

やだなぁ、化け物を見る様な目で見ないでよ。


と、言う事でちゃんとメリットを提示しなきゃ。

俺達に付く旨味が無きゃコロっと裏切っちゃうからね。

此処で提供するモノと言えば安全面かな。

ならば、俺側(ヴィオラ)に付けば命は保障される事を確約出来ればいい。


「『私が学校に行く迄宜しくお願いしますね、その後は田舎でのんびりと過ごせる様に褒美を与えます。』」


所謂島流しだが、こんな闇を知ってしまった叔母ちゃんが表世界には戻って来ようとは思わないだろう。

寧ろ、十分な金を持たされるなら喜んで流される筈。



『………はい、宜しくお願い致します。』




うむ、此れにて一見落着。



然し、此れからは如何するべきか。

因みに、天井から妙な視線を感じるのは気付かないって事で良い、よね?

死亡フラグしか無い気がするけども。

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