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生き残ると決めたからには意地でも生きてやろうと思っている葛木です。
え?今何をしてるのかって?
当然ながらお勉強ですよ。
ヴィオラを上手く操る方法をね。
この考えに至った経緯をご説明しますと。
もし仮に、姫様と意見が反対になった場合、もしくは絶対に避けるべき事態に陥った時。本人の体には申し訳ないけど身勝手な行動をされたら不味い訳ですよ。
其処で、ヴィオラが「うん」と言ってくれる様なネタを探してる訳です。
其れがお勉強。ヴィオラの事を知るって言うね。
ガチでプライバシーなんて無い件。
俺は他人に記憶覗かれるのなんて、煩悩まみれで出来ねえや。
話若干変わって。
ヴィオラは基本的にいい子なんだよ。
なんだけれど、俺なら其処に漬け込んだ作戦を企てる。
姫様を陥れるだけなら幾らでも手が有るからね。兄貴と仲直りしたいみたいだし、付け込もうと思えば幾らでもある。
例えばの話。この世界がどうなのかは知らないけど、10歳前後の女の子が拐われて、一晩経ったら人はどう思うか。
身柄がもし無事だとしても、社会的には終わりだろう。
あ、漬け込むの関係ねぇ。
他にも、悪い仕事の片棒を担がせるとか。
内容を伏せて、大好きな兄弟が頼めば喜んで協力してくれるだろう。
其処を糾弾すれば幽閉か、最悪処刑か。
どちらにしても皇位の継承は人望的な問題で不可能になる
まあ、下手な事すりゃ自分が疑われるから相手も警戒し、かつ計画をキチンと練った詰将棋だろうから、上記の2つの様なリスクが掛かる作戦は取らないだろ。
多分。
と、まぁ。良い子なりに弱点が有る。有り過ぎる。
其処の対策として、交渉の材料を得る必要がある。
もしくは、俺が兄弟よりも大切だと思われる事だが。
けれど、どちらかと言うと全面的に頼られたくは得たくないかな。
面倒ごと押し付けられたくないし。
と、言う訳で材料を探してるけど、皇帝様と兄弟に関する以外に反応がないんだよなぁ。
ガチで兄弟優秀で友達が多いとかどうでも良い。
母親に関する事はあんまり反応ないし。
知らないから無理ないと思うけど。
ん〜…
ん?別にヴィオラだけを釣る餌を探さなくとも、子供なら釣れる餌で釣れるんじゃないかな?
逆転の発想って奴で。
子供が好きな物って言えば玩具とか甘味とかかな。
然し、用意する方法が無い。
姫様に作り方だけ教えて現実世界で作ってもらう?
いや、其れだと発案者はヴィオラになって変な意味で目立つ。
あんまり兄弟から目を付けられたくない。
飽く迄もヴィオラにだけ楽しんで貰う。
むむむ…
ん?
俺の理論が正しければ、何とかなるんじゃないかな。
「ん、んん〜…」
お、丁度良く姫様が帰ってきた。
背伸び姿もまた愛らしい。
誰かカメラ持って来い。
あ、姫様全裸だったわ。
一歩間違えなくとも犯罪だわ。
「お帰りなさいませ。姫様。」
まあ、巫山戯るのは大概にして。
「ん、ただいま。カツラギ。」
「お疲れの時に申し訳ないのですが、時間が空きましたら私のお願いを聴いて頂いてもよろしいでしょうか?」
数少ないヴィオラ操作ファイルその1。
頼み事とかは喜んで聴いてくれる。
こっちとしては扱い易くて良いんだけど、相手さんの話も喜んで聴くから悩みの種、巨大な爆弾と言うね。
まあ、姫様って言う立場上頼られる事とか殆どないから其処が嬉しいんだろう。
あとは、其の純粋さを俺がどう壊さない様に誘導するか。
「もちろん直ぐにでもお聞きしますよ。」
「ありがとう御座います。」
姫さんや。
普通は例え即決する内容でも間を取るんじゃねぇの?
まあ助かるけども。
「私の頼み事とは、姫様の『想像力』にてこの世界にある物を作って頂きたいのです。」
「そうぞう力?」
はい、俺が何が言いたいのか簡単にご説明しましょうぞ。
昨日の晩なのか朝なのか知らねぇけど、記憶の整理の最中に何処からともなくノートくらいの厚さの本を取り出した、更には記憶の整理でゴミらしき本を消し去った。
其れを思い出して俺はふと思ったのね。
飽く迄も此処はヴィオラの夢の世界じゃん。
ってね。
飽く迄も空想の世界、自分の思い通りになる世界なのだから無から有を創り出す事も容易だと思う。その逆然り。
ならば、ヴィオラに上手く想像して貰えば何でも創り出す事が出来るんじゃね?
って事です。
まあ、飽く迄もこっちの世界限定だけどね。
けど、これのおかげで俺は姫様を物で釣る事ができるし、姫様は向こうの世界では創り出す事ができない。
俺天才か。
まあ、手始めに想像のし易い物からでも。
「姫様には、『トランプ』という物を作って頂きたいのです。」
「トランプですか?」
「はい、ご説明致します。トランプとはー…」
はい、またまた簡単に説明します。
トランプは西洋カルタ、プレイングカードとも呼ばれる、13×4+1のセット、計53枚で構成される室内用娯楽道具。
多種多様なゲームに加え、占いやマジックの小道具にも使われる。
発祥の起源は分かっておらず、有力なのは東方でできたものがイスラーム、ヨーロッパに広まった説。
Byウィキ先生。
ただ、こっちの世界では10進数でなく8進数の為工夫が必要。
色々とイメージが易い様に、1から8までを其の儘数字に。其れ以降を絵札にして俺の混乱が少なくなる様にする。13を皇帝、12を皇妃、11を騎士。10を商人、9を平民の絵としてみましょう。
マークは其の儘に剣、杯、杖、金をモデルで良いかな。
ただ、姫様の想像力がちょっと心配。
そんなこんなで。
「色々な遊びができる玩具なのね?」
「はい、更には楽しみながら数字の勉強ができます。きっと姫様のお眼鏡に叶うと。」
ヴィオラは結構乗り気。
まあ彼女、花嫁ならぬ皇帝修行以外は暇人ですので。
因みに、子供ってカードとか結構好きなのよ。
男の子がTCGにハマるのカード自体が子供ホイホイだから。
ほら、ゲームセンターにある100円入れたらカード1枚出てくるバーコード入りの奴とかさ。
「分かりました、カツラギがどうしてもと言うのならば用意致しましょう!」
「はい、姫様。お願い致します。」
ヴィオラよ、平常心を保ってる様に見せようと頑張ってるのは分かるが、口角が上がってるのを隠せてないぞ。
笑窪可愛いよ笑窪。
ムニムニ
仕方ねぇ、自分の頬っぺで我慢すっか。
ムニムニ
ムニムニ
うっ……ふぅ。
まあ、其の後色々と有りまして。
あまり時間も掛からずに完成致しました。
多少のデザインの変更はあったけどね。
尚絵のセンスは皆無。
同じ芸術で此処までセンスに差があるのか。
口出し?出来る訳無いじゃないですかやだー。
本当は素材はペラッペラのプラスチックが1番なんだけど、姫様にプラスチックって言っても伝わらないし。
そもそもこの世界にはまだプラスチックと言う素材が開発されてないっぽい。
と言う事で厚紙で代用。
まあ、飽く迄も夢だから折れても直ぐに作り直せるっぽいし。
と、言う訳で早速遊んでみました。
まあ、2人でやれる事って限られてますから。
ポーカーやったりマジック見せたり程度。
それでも幼女は御満悦の御様子。
記憶整理作業をサボって迄遊ぶ、と言い出した時には流石に止めたけど。
然し、子供はカード好きだし、想像もし易い。と思ってトランプを教えたのは不味かった。
俺は教えた事を本気で後悔する事を未だ知る由も無い。




