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テトラ・ルゥ・ユルートレピア。
ヴィオラの実の母で、公爵家の娘にも関わらず、彼女の存在は殆ど露見していない。
皇帝と婚姻を結ぶ迄は存在も知らなかった者が多く、妃になっても公の場には一切姿を現わす事がなかった。
残っているのは血統図に有る名前。
そして彼女が火属性だったと言う、証明が仕様が無い事実。
今回は、この謎を紐解くべく自称姫様筆頭侍女の葛木が独自に調査致しました。
チリリリリリンチリッ…ガチャ
「ねぇ、カツラギ。何するの?」
「調査です。姫様。」
はい、侍女に無理言って図書室にやって参りました。
見た感じは其処まで貯蔵量が多いって訳では無さそうな。
ヴィオラが紙を使っていた事から有る事は知っていたが、やはりこの時代は紙はまだ高価な類のものらしい。
リアルではヴィオラ自身も触れた事が無いんだとか。
いやまぁ其れは置いといてだね。
「姫様、まずは歴代の皇族について調べましょう。」
「何で?」
え、いやまぁ何でってねぇ。
歴代の皇帝って公爵家の人間の子が多いのよ。
其れが何か?って言われたらこっちも困るけど、ママンの様な謎の出生が有るなら他にも似た様な事例が有るのでは?って話。
をヴィオラに話しても分からないのは知ってた。
「お母様がフシギな人ってのは分かったけど、何で調べるの?」
不思議な人って字面は如何かと思います。
じゃなくて。何故調べるのかはこれから分かります。
「一先ず、書類を探しましょう。歴史の棚をまず探して見ましょう。」
「はーい。あっ。」
あ?
『姫様、姫様が本を探すなど言語道断。私共にお任せ下さい。』
まぁ。そうだと思った。
と言う事で、窓際に有るラウンジでのんびり待つ事に。
指定した資料に侍女達は首を傾げながらも、慌ただしくヴィオラの近くに積み上げる。
助かったと言えば助かったが、彼女達に余計な仕事を増やし、恨まれてないかちょっと心配。
「カツラギ、これなんて読むの?」
って度々聞くもんだから俺は全くのんびり出来なかったが。
其れで程なくして。
「如何やら出生が明らかではない公爵家の方はかなりいる様ですね。」
「そうみたい。」
更に言えば皇族にも魔力に差がある様で、戦争時代の皇帝は魔法装備を展開するので精一杯だったとか。
然し、先代の武勇伝を眺めるのもまた楽しいものだ。
ヴィオラと共に歴史のお勉強はやってはいるものの、無駄に派手だったり大袈裟だったりで、ファンタジー作品を聞いてる化の様な錯覚に陥るのよ。
魔法がある時点でファンタジーだが。
けど、武勇伝って言うよりも日記は、筆者が見たままの泥臭さがあってリアルさを感じる。
まぁファンタジーってのは変わらないんだが。
『此処で何をしているんですか?』
おや?
何処からともなく現れたのは細身のTHE.美少年。年は15位かな爆発しろ。
髪色は薄い青だろうか?遺伝子に真っ向から喧嘩売ってる色な気がするが置いといて、女性が羨むキューティクルが、何故か暗いはずの図書室で煌びやかに輝きサラサラしている。
眼は藍色を思わせる深い青。大きく吸い込まれる様な瞳が此方を一直線に見て離さない。
服装は落ち着いた様子、ってよりもおっさん臭いって方が正しい。薄めの茶のスラックスに黒の革ベルト。白くて艶の有る上品なYシャツって、おっさん臭さ何処行った。金物は銀色で統一し、本当に上品で呪いの言葉で真っ黒に染め上げたくなるコンチクショウ。
んで、そんな彼だが、俺は全く見覚えがなかったり。
仕方ないね。ヴィオラ外出ないし。
まぁ、本人は既存のお客様らしいですが。
『「お兄様!」』
ほぉらやっぱり。嫌な予感しかしなかったのよ。
いるって事は知ってたし何度か此処に入り浸ってたらエンカウントするってのは知ってたが、フラグ回収早過ぎんだろ。
あ、奴の名はゲオルク。ゲオルク・ルゥ・ユルートレピア。
名前の厳つさは一切出ておらず、何方かと言うと図書室で日光浴しながら読書するのがお似合いの皇族の1人だ。勿論ヴィオラのライバルである。
ただ、本人は四男で皇位を継げるとは考えていない様で積極性がない。
何方かと言えば長男を支持し、その恩恵に肖ろうとするズル賢い奴だ。嫌いじゃないが。
まあ、向こうからすれば順調に進めば長男が継いだ皇位をヴィオラに掠め取られた訳で、良くは思ってないだろうな。
『ヴィオラが外に出るのは珍しいですね。何時もは病弱で外に出る事は無いと言うのに、今日は調子がよいのでしょうか。』
え?そんな設定あったの?
「私は知らないよ?」
うん初めから期待してないよ?
ん〜侍女も首を傾げてるね。これはあれかな。勘違いかな。
一先ずは切り抜けよう。
変な勘違いをしてくれてるなら其れに越した事は無い。
「『はい、今日は頗る調子が良くて、つい図書室に足を運んでしまったのです。』」
まあ、つい来ちゃったのは本当のことだし。
体調が悪いのを確認する術はないですからね。
『そうですか、では。其処に積み上がっている本は?』
『「歴史のお勉強をしていたのです。先生に教えて貰った内容が面白かったので。是非読んでみようと思ったのです。」』
嘘じゃなーい。嘘じゃなーい。
面白いと思ったのは事実ですし〜
ってちゃっかり題名確認してんじゃねぇよ。
『既にこの様な本を読むのですね。ヴィオラが優秀で兄として嬉しいです。』
お?嫌味か?
『「お兄様も学園では優秀と御聞きします。私頃のお兄様なら既に御読みになられていたでしょう?」』
『まぁね。それにしても、ユルートレピア14世テオドール閣下の話は面白いよね。式典楽しみにしてるよ。』
『「…ええ、是非に。」』
こりゃやばいかもな。
「ど、どうしたの?カツラギ。」
「姫様、先ほど読んだテオドール閣下の話は覚えていますか?」
「う、うん。愚帝って呼ばれた人だよね?それがどうかしたの?」
ユルートレピア14世は最初の式典で失敗した人だ。
まさかだが、
ヴィオラのデビュー戦。もしかすると邪魔が入るかもな。




