百三十七話
エレベーターが最上階についた。エレベーターの扉が開く。
途端に得体の知れない冷気が充満して、雲雀と晃穂オルタナティブの身を包む。
「うわぁぁぁ、なんでこんなに寒いの!?」
「ひぃぃぃ、雲雀お姉様めちゃくちゃ寒いです〜〜」
スプリンクラーで濡れた二人には、余計に冷気が身体に沁みた。
「ガクガクブルブル。松子さんは多分この社長室にいますよ、雲雀お姉様」
「この冷気、社長室から漏れ出してない?これやばいわよ…」
壁も床も冷気の霜で白くなり、光り輝いていた。ある意味幻想的な光景だった。
雲雀と晃穂オルタナティブの二人は、社長室に向かって歩き出した。
シャリシャリと霜を踏んで、音がした。
「それじゃ、社長室のドア開けますよ雲雀お姉様」
「うん、お願い…」
晃穂オルタナティブは社長室のドアノブを掴んだ。
「ひゃあぁぁぁぁぁぁっぁ!?冷たいーーーー!?」
鉄製のドアノブは冷気でかなり冷えていた。晃穂オルタナティブの手のひらは冷えたドアノブに張り付くかと思うほどであった。
それでも我慢して、ドアノブを回転させる晃穂オルタナティブ。
ドア自体も冷えて、霜が降りなかなか開けづらかった。
どうにか苦労して社長室のドアを開けた。
社長室の中には、中央にどでかい机に座っている鳴宮百合子がいた。彼女から青白い冷気が噴射している。
その手前にはオリジナルの晃穂がいた。
「晃穂オルタナティブ、やっと帰ってきたの?それと…誰?敵性侵入者ね。侵入者は排除しろと言ったはずだけど…」
「二人とも逃げるであります!鳴宮百合子…リリーは今までの相手とはわけが違うであります…!」
鳴宮百合子は不敵に笑っているだけだ。オリジナルの晃穂は冷気をまともに受け全身に霜が降り、足元は凍りついている。身動きが取れないようだった。
よく見ると、周りには凍りついた量産型瑠美が彫像のように数体全く動かないまま鎮座していた。
「この寒さは鳴宮百合子…だっけ?の仕業なの?」
「そうなんです雲雀お姉様。百合子ママは体内の冷却装置をフル回転させ、周りの物を全て凍りつかせる能力を持ってるんですよ!」
雲雀の疑問に晃穂オルタナティブが答えた。
「そうよ。私の能力はマリア・タチバナとは真逆。冷気を放出する能力。相手を凍らせ私には指一本触れさせることもできないわ」
鳴宮百合子は足を組み、艶然と微笑んでいる。




