百二十六話
焼け焦げた残骸になったマリア・タチバナの骸を前にして、親衛隊は動揺しだした。
踵を返し、逃げ出す親衛隊もいた。
ざわめいてる親衛隊の一人に、沖田は、
「マリア・タチバナさんの亡骸を弔ってあげてください…」
と言ったが、皆怖がり逃げてしまった。
悲しそうにうつむいた沖田の元にドクターマリと店員さんが駆け寄る。
「沖田さん本当に無事でよかった!」
「沖田殿!見事な勝利でござるよ!」
二人は口々に沖田の勝利と無事を喜んだ。
「念のため警察に通報しておいたでござるよ」
店員さんはそう言うが、大半の親衛隊は蜘蛛の子を散らしたように逃げ惑っていた。
「マリア・タチバナ殿、アイドルテロリストの矜持はよくわかりませんが、強敵でした。このまま野ざらしでは忍びない。ドクターマリ殿弔ってやってくださいませんか?」
沖田は泣き笑いのような表情で言った。
「わかりました。丁重に弔いますね…」
ドクターマリは手を合わせ、いつの間に来たのか、いつものワゴン車の担架にマリア・タチバナの亡骸を乗せた。
「それでは私はこれで…」
ドクターマリはワゴン車に乗り込み、その場を去った。
「親衛隊達もさほどいないし、我々も帰るでござるか?沖田殿」
店員さんが沖田に声をかける。
「沖田ーーーーーーーー!!アイドルテロリストとやらに勝てたのかーーーーーーーー!?」
土方さんも沖田の元に駆け寄って来た。
とその時、遠くからサイレン音が響いてきた。
漸く警察のパトカーが来たようだ。
一台のパトカーが沖田達のそばに止まり、パトカーのドアが開き女性の刑事が降りて来た。
「沖田司、並びに土方歳子!銃刀法違反及び殺人未遂で逮捕する!」
そう叫びつつ、二人に手錠をかける女刑事。
「えぇっぇぇ!?私達逮捕されちゃうんですか!?」
「俺たちはただ秋葉原の街を守る戦いをしてただけだ!!」
「詳しい話は署で聞こう!連れて行け!」
二人の言い分を全く聞く耳を持たない女刑事。
「その人たちは何も悪いことはしていないでござるよーーーーーーーー!!」
「街にいる群衆を日本刀で斬りまくっている凶悪犯がいると、通報がありましてね、馳せ参じたわけです」
側から見たら、沖田と土方さんの行動はそう見えるかもしれない。
店員さんも困り果ててしまった。




