再開
ショーコは教会で目を覚ます。
浮遊感を感じながら周囲を見渡すと、文字通りの意味で足が地についていないことに気付く。
背後には巨大な十字架が掲げられており、下にはNPCキャラとプレイヤーが経っている。
そしてあわててスカートを抑えた。
「ちっ」
誰かの舌打ちが聞こえてきた。
やはりのぞかれていたのだろう。
そう考えると羞恥心が湧き上がってきたショーコだったが、仮想アバターだと思い直して気持ちを切り替える。
そして舌打ちをしたプレイヤーに一発ビンタをかましてから教会を出た。
「ヘルプ:死亡」
『ヘルプ機能を使用。
質問を理解、回答します。
プレイヤーは死亡すると最後に立ち寄った街で復活します。
その際にペナルティとしてexpもしくは所持金が減少します。
どちらを減少させるかは選択可能です。
expはレベルダウンにつながります。
所持金はレベルに応じて変わりますが、必要分の金額を所持していなければ選択できません。
なお、レベル20に達していない場合このペナルティは発生しません』
現在のショーコのレベルは8、テイムしたモンスターよりも低いのは直接戦闘をすることがないからだろう。
故にペナルティの発生はなかったようだ。
また街まで自動で戻れるというのは、低レベル帯では救済処置になるかもしれない。
もし森の入り口に戻されたりしたら、別のモンスターに襲われてなんてことになっていたかもしれないからだ。
「通報:ハラスメント。
パンツの覗き見」
『通報を受諾、ログ確認。
ハラスメントパンツの覗き見を確認しました。
しかし同時にビンタを確認。
非戦闘区域のためダメージの発生はありませんが、制裁としては十分と判断します』
「なるほど、こういった問題は運営が間にたつのか」
ふと思い出して通報してみたものの、さほど気にしているわけでもないのでこの対応は気にすることはない。
それよりも教会でパンツを除いてビンタをされたというのは、ある意味で話題になるのではないか、と考えながら街道を歩き外に出た。
「召喚:シロ。
召喚:ミドリ」
ショーコの声に応じて地面に二つの魔法陣が描かれる。
そこから光が発せられ、白虎のシロと玄武のミドリが現れた。
「よかった……無事だったんだ」
二匹のHPは若干減少しているが、深刻なものではなさそうだ。
その証拠にシロはショーコの姿を見ると飛びつき、顔を舐め始めた。
「きゃっ!
ちょ、ちょっとシロ! 」
驚いた拍子にしりもちをついたショーコだが、シロは構わずにショーコの顔を嘗め回す。
街から出てきた人たちは、モンスターに襲われているのかと一瞬考えて直ぐにテイマーがじゃれているだけだと理解して立ち去って行った。
中には微笑ましげに眺める者もいたが、誰ひとり助けようとする者はいなかった。
「ぷはっ、まったく元気でよかった」
二匹の頭を撫でながら街に戻る。
テイマーは特定の条件下でない限り、街中でのモンスター召喚はできないが連れ込むこと自体は可能だ。
街の中は非戦闘区域となっているため攻撃はできないが、愛でるために戦闘は不要だ。
「鏡餅みたいになってるねこれ」
頭の上にシロを乗せ、さらにその上にミドリを乗せる。
非常に微笑ましいのだが、バランスを取るのが難しく、すぐに肩に乗せる事にした。
抱きかかえなかったのはミドリが小さすぎて抱える事が出来なかったからだ。
「おっきくなったら、逆に乗せてもらえるのかな」
思わずつぶやいて二匹を見つめたショーコは、レベルを確認してから宿で休息を取りログアウトした。




