第33話 理香への対価
今回は、短めの休廷中の話で、人間界の32話、童話世界の33話の2話更新です。
32話からご覧ください。
「何ですか、その画期的な方法は!?」
休廷終了前、検事控室にいた幼女検事に理香から出た内容を提案したところ、物凄い食いつきっぷりだった。
いつも冷静で通っている姿とは大分ギャップがある。
「はっ! すみません。あまりの合理的な召喚方法に思わず我を忘れて興奮してしまいました」
まぁ、目から鱗の話なのだろう。大抵は『七人の小人』で一纏めにされているから、個々を認識するようなものはない。
酒挽の記憶の中では、白雪姫が小人に名前を付けている、というシーンが存在するものもあったような気がする程度だ。
「アイデア料ですか……しかし、何を差し上げれば……この世界の物をそちらの世界に持ち出すわけにも行きませんし……」
テールは深く考え始めてしまった。
今回の提案をするに当たって、予め「提案を飲めるならアイデア料が欲しい」と伝えていた。
ダメ元の話だったのだが、テールは「同意できるのならば」と、余裕の表情で応じていた。
そして、あの反応では、支払いに応じざるを得ないと結論付けたのだろう。
「だよなぁ」
もとより、童話世界の物を人間界に持ち出すことはできない。謝礼や対価を貰ったところで、発案者である理香には届けられないのだ。
「私に一つ妙案があるのです」
キイナが満面の笑みを浮かべて手を挙げる。
「何ですか? 裁判で手を抜けとか、手心を加えろなんてものは受け入れませんよ?」
「いえ、テールさんの写真を撮らせて貰えれば、万事解決なのです」
言いながら、ポケットからスマホを取り出す。
ちなみにキイナは、裁判の際、制服姿で来ることが常となっていた。
「写真、ですか?」
「なのです」
「はぁ、まぁ、そのようなものでよろしければ」
釈然としないながらも、テールは了承する。
「それでは、撮るのです」
そして、キイナは実に上手くやった。
言葉巧みに誘導し、真顔、険しい顔、そして冷たい視線を放つ、という3種類の表情を入手したのである。
確かに理香は幼女検事の写真を所望していたが……本気で欲しがっていたかどうか、酒挽には甚だ疑問であった。




