第32話 小人対策
今回は、短めの休廷中の話で、人間界の32話、童話世界の33話の2話更新です。
再尋問の結論、白雪姫は小人に対して自分が母親から命を狙われている理由について、何も語っていなかったことが判明した。
それでは小人に直接確認を、と思ったが、テールに、
「それ、本当に確認する必要ありますか?」
ものすごい嫌な形相で問われてしまった。
言われてみれば、白雪姫が語っていない以上、小人たちから飛び出す証言は、小人が各々勝手に考える推測でしかない。聞いても意味がないようにも思える。
そこで、一旦休廷を貰うことにした。
こちら側の超参謀、理香に助言を求めるために。
「確かに、今の時点で確認する理由はないな」
理香の部屋に扉を開いたところ、3人分の食事が用意されていた。
時間はお昼時分。昼休みを兼ねた休廷となったわけだ。
先に昼食を済ませて、協議を始めたところで、理香はそう言ってきたのだ。
「今の時点では?」
うむ、と理香は頷く。
「少し確かめなければならないこともあるしな。聞く必要性があるとしたら、白雪姫が毒りんごを食べて倒れた時の話の時だ」
その理由については「確証が持てない」と言われて、説明を拒まれた。
その上で、小人の証言を得るための方策を相談する。
「……同じことを7度語る小人たちか」
「あの膨大な裁判記録の90パーセントを、小人の証言が占めているそうなのです」
「今一度確認するが、7人は全員、趣旨的に全く同一の証言をするわけだな?」
「裁判記録を一部確認したのですが、ほぼ同じ内容だったのです」
「検事にも確認したが、間違いないと言っていた」
テールが「ページを確認するのもバカバカしいので、記録の大体10分の1ぐらいの位置から10分の9ぐらいの位置までは小人の証言が繰り返されている、程度の事しか覚えていません」と教えてくれた。
キイナが前に「同じ証言が繰り返されていた」「同じ証人の証言ならテールが認めていない」と言っていた理由が、ようやく判明した。
そして恐らく、その小人の証言が繰り返されている部分は、テールも内容をほとんど把握していないのだろう、という想像がつく。
「ならば、答えは簡単だ。一人だけに聞けばいい」
「いや、それが召喚すると7人全員が来てだな」
裁判長が最初にした質問に、7人が7人とも自分は『小人』だと名乗った。
個々の名前は回答がなく、故に『小人』を証人として召喚すると、全員が呼び出されてしまう格好だ。
「小人の『最年長者』や『長子』『体重の一番重い者』『身長の一番高い者』など、個体を指定する手段など、いくらでもあるだろう?」
理香が呆れ口調で指摘する。
「理香は天才なのです!」
キイナが叫ぶ。
酒挽もその指摘には脱帽するしかなかった。
理香は嘆息交じりに呟く。
「この程度の発想力もない検察なら、アイデア料を請求しろ」




