アイテムよね〜
俺とメルは翌早朝に水晶迷宮に入る事を約して別れることにした。
俺は『憩い亭』帰る事にした。
「俺は『憩い亭』に帰るよ」
「あたいは折角凄いスキルをたくさん貰ったから迷宮で試して来るっす」
「じゃあ俺が作った小刀を貸すからメルの『熊鉄』と薙刀を預からせてよ。忍者向けの武器を作っておいてやるよ」
「え? どんな武器を?」
「任せておきなよ。忍者は俺の前世の世界の職業スキルだからお似合いの武器を作っておいてやるよ」
「「「やった!!!」」」
メルは大喜びした。
俺はメルのはしゃぎ様をみて複雑な気分になった。
メルはまだほんの十五歳の女の子に過ぎないのに一人で生きている。メルはこんなにも若いのに凄い実力者だ。そんな彼女も戸籍を持たない獣人の荷物持ちで有るがゆえにまともな武器すら持てない貧困に喘いでいるのだ。
メルは身分的に冒険者になる事も出来ないある意味身分的弱者だ。
彼女と一緒に歩いていると差別する眼差しや無遠慮な好色な眼差しが飛んできて、その無慈悲な鋭さが針のように心に突き刺さる気がする。
俺はメルが亜人だからとかグニッチだからと差別する気は全く無い。むしろケモ耳が俺のファンタジー魂に火を付けてくれるくらいだ。昨日は突然攻撃されたが過剰反応とは言え理由もはっきりしている。
俺はなかなか良い娘だとメルが気に入っているのだ。彼女が俺の事をどう思っているかわからないが俺は差別する事も搾取するつもりも全く無い。お互い助け合って金銭的に少しでも楽になれば良いなぁと思っている。
お人好し体質は死んでも治らないようだ。
そんなわけで先ずはメルの武器だ。俺は『憩い亭』でメルの武器や防具を作ってやろうとスクワットの速度を速めて急ぐのだった。
☆★☆
『憩い亭』に帰ってまず俺は自分の部屋に急行した俺は早速【生活魔術】スキルを試してみた。
【クリーン】だ。使う事を念ずると頭に魔術式が形成されるのが分かった。直ぐに頭のゲオルグが起動し何が起こるのかワクワクしていると何と魔術スペルが頭の中で出来上がるようだ。
俺が驚いていると誰かが俺を操っているように俺の口からスペルが漏れ出した。
「清浄なる水のマナよ。清風たる風のマナよ。熱き火のマナよ。それぞれ来たりて我が身に纏しものの汚れを落とさん」
口が勝手にスペルを唱えその音声と音節が触媒となってゲオルグを展開して魔法が、いやこれは魔術だった。魔術が発動されているのだと分かった。
それからしばらくして魔術の効果が発揮されて体と着ている服全体に魔術が展開され汚れが洗い流されさて綺麗になっていった。
それから例のスキル後硬直だ。何とも手続きが面倒な術式だと言うのが最初の感想だった。
しかし流石にスキルにまで昇華された魔術式だ。ゲオルグは非常に洗練されていたし効率の良い魔術式だと感心した。しかしその洗練された魔術式と比べて発動されるまでの長く不毛で無駄の多い発動のためのゲオルグは信じられないくらいに稚拙なものだった。俺はその違いに驚かされた。これが俺が初めて魔術スキルを使った感想だった。
スキルを発動させるためには直前の準備と発動後の硬直があると言うのは分かっていたがその正体はこの無駄な発動のゲオルグのせいらしい。何故、こんな無駄だらけのゲオルグで発動させるのか不思議で仕方がない。
恐らく俺は二度と【クリーン】という魔術スキルは使わないだろうという確信が有った。
☆★☆
ひとしきり【生活魔術】を使ってみた。結論として、どれも今後使う事は無いかなぁって感触だ。しかしゲオルグの生成についてはとても勉強になった。さすが人類の種族の固有スキルだと思った。
今後は発動プロセスを省略した俺独自のゲオルグにして使う事になりそうだ。
次に俺は今回、情報処理士なんて職業クラスになった最大の理由ともなったスキルを試す事にした。
それは自分のステータスなどの情報を変更する事だ。俺が情報処理士になった時に得たスキルに【情報操作】というスキルが有った。これを詳しく調べてみて分かったのだがこのスキルは俺のステータスの値を変える事ができるらしいのだ。
もちろんステータスの値を変えられると言っても見かけの値に過ぎない。俺は【奪スキル】だけは隠しておいた方が良いと思ったのだ。
どう操作するか少し考えたが以下のように普通のステータスに変更しておいた。
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名前:ラーク
年齢:17
性別:男
種族:人族
職業クラス:無し
称号:無し
加護:無し
Lv:19
HP: 30/30
MP:30/30
STR:15
ATK:16
DEF:8
AGI:13
DEX:18
INT:18
MAG:15
LUK:14
--常時発動型スキル--
【気配察知】
--起動型スキル--
【火属性魔術】
【剣術】
ーー種族固有スキルーー
【生活魔法】
→派生スキル
【クリーン】
【消臭】
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随分と見た目を悪くした。エクストラスキルの【分割払い】や【奪スキル】は隠した。ステータスの値を半分ぐらいにし称号や恩恵も隠しておいた。
さて、いよいよメルの為に忍者専用の武器を作ってやる事にした。
まず【スマホ】スキルで忍者の武器って事で調べてみた。忍び刀、手甲鉤、手裏剣、苦無、撒菱、などの情報が入手できた。流石に、まんま【スマホ】で見るホームページと言う訳には行か無いようで、あちらの世界の時事だとか今の年月日だとか分からない事はたくさんあった。知りたい情報を検索してみて分からなければ諦めるしか無いだろうがこの能力は得難い。流石にセーラ様がわざわざアルシゴス神にお願いして得た職業クラスの恩恵だと深くセーラ様に感謝した。
それではアイテム作成に掛かろう。俺はゲームの生産系のスキルは持っていないがマルクスアウレリウスの『魔法大全』では錬金のロジックも書かれていたので素材さえあれば錬金魔法で精製する事が可能だ。しかし素人の俺が作る物などたかが知れている。
しかし【インベントリ】には素材一覧のページがある。ゲームなどでは【インベントリ】で素材を掛け合わせると簡単にアイテムが出来上がったものだ。この画面でアイテム合成などができるようだ。
俺が採取した様々な薬草と武器の作成費用だと無理やりメルから渡された少し大き目の魔核を重ね合わせてみた。そして俺はガッツポーズを取った。
次のようなメッセージが現れたのだ。
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【アイテム合成選択画面】
→作成可能アイテム
《ポーション(効果小)》12
《ポーション(効果中)》6
《魔力回復薬(効果小)》3
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この機能は下手な錬金魔法の百倍は有用だ。何しろ完全自動なのだ。作った物を安心して使えるのが有難い。何よりも素材同士の掛け合わせで何ができるかの知識が不要なのが有難い。
次に武器だ。俺は刀の刃が爪のように着いた忍者用の暗器、手甲鉤の作成がこの素材画面で出来ないか試して見る事にした。
メルの熊鉄は手甲鉤とよく似た形状なのでメルも使い勝手が良いだろう。先程メルからも作成の許可も取っているし。
まず【インベントリ】から俺の予備用の刀をアイテム一覧にドロップした。そこにオーガの牙数本とメルから貰った魔核を粉にして少量を重ねて見る。どうやら相当硬く且つ柔軟性のある魔法金属ができるようだ。名前は『オーガ鉄』らしい。名前からして大した物じゃなさそうだが俺が魔法で作る鋼鉄よりは強そうなのでそれでメルの武器を作ってやることにした。
最初のメルの粗悪品の鉄に比べると何十倍も強い金属なのでいいだろう。また良い素材を仕入れたら作り直してやれば良い。
『オーガ鉄』の特性は魔法を通し安く、非破壊特性に優れているそうだ。これなら付与魔法も掛けやすいだろう。
俺は素材精製を確定させ『オーガ鉄』を使った。次に刀にする必要があるが普通の刀ではなく手甲に仕込む物だから形状が難しい。
デザインなどは俺ではうまく作れ無いので【スマホ】を使って検索してイメージに合った形状の写真を入手、写真の刀の部分だけを残して紙型を作り多少形を変化させた。イメージの写真なので簡単に加工できる。そしてそのイメージでできた写真を六枚に増やした。
その写真と同じ形の物が作れるように念じて先程作った『オーガ鉄』にドロップした。なお、これらの操作方法は何となく分かった。
すると写真の刀と同じ物が六本完成した。
次にメルの熊鉄を改造する事にした。まずはメルには悪いがメルの熊鉄は素材に分解して使う事する。
先程作った六本の刀は『オーガ鉄』の分量不足で大きさが小さいので素材にした熊鉄の金属にオーガ牙と魔核の粉を混ぜて『オーガ鉄』を作り大きさを調整した。
次に手の甲を守る部分を作る。硬度が増した『オーガ鉄』なので薄く手甲部分をして軽くする事にした。デザインはもちろん【スマホ】で写真を入手した。物だ。次に手甲から腕の部分はオーガの皮を素材にして漆を塗って固めた物と絹を縫い合わせ作る事にした。これは昔の日本の鎧と同じ作り方で軽い上に丈夫なのだ。それに高級感が有って俺は好きだ。メルの忍者と言う職業にも合っているだろう。
ついでに胸当てやタレなんかも『オーガ鉄』、絹の紐、オーガの皮に漆を塗った物で作った。デザインは五月人形の鎧兜の中から少し西洋風にアレンジされた格好良いデザインを拝借した。
女の子の戦士に似合うように朱色の漆でピカピカにした。と、ここで考えを改める。忍者って黒だよな。そこで二種類の色が出るようあとで魔法を付与する事にした。ちなみに漆はこっちの世界にも有ります。
次に忍刀だ。これは普通の刀よりも反りが少なく刃が分厚いなどの形上の違いがあるが基本的には刀だ。そしてメルの槍スキルの為に持っていた薙刀の改造だ。薙刀は刀よりも多少長く大きな刃にするのと先を尖らせて刺せる様に改造する。これは昔は長巻だとか長刀とか呼ばれていた物と槍の良いところを合わせたような物にするのが狙いだ。
前に作って予備としたできの今ひとつだった刀をインベントリから二つ取り出してアイテム作成画面にドロップした。これにオーガの角の欠片を落とし込みさらに【スマホ】から調達した忍刀と長巻の写真と魔核の粉をドロップした。どうやら硬度などはオーガの牙よりも強くなるようだ。素材により出来上がる物が違うのは当たり前か。
次に苦無だ。これは短剣の暗器として使ったり手裏剣の代わりもなる万能なサバイバルナイフらしい。大と小があると【スマホ】の情報だ。これはメルの熊鉄で作った『オーガ鉄』で作った。
次に決して忘れてはならない忍者の武器。そう、手裏剣だ。【スマホ】によると色んな形があるようだ。トンガリが四つ、六つ、八つ、いっぱいって感じか。丸い円周が全て刃になっているものやブーメランのような物、先程作った苦無を手裏剣と紹介している画像などがあった、
俺は六つのトンガリがあって真ん中に穴がある手裏剣を作る事にした。材質はメルの熊鉄から作った『オーガ鉄』だ。伊達に重過ぎた武器ではなかったとその鉄の分量に笑いが込み上がった。
この他、撒菱。これは地面に巻いくトゲトゲだ。鉤爪。縄を付けて投げたり場合によったら武器にもなる。
さて。続いて魔法の付与だ。これをするからこそこれらの道具の価値が上がるのだ。
魔法の付与がしやすいように魔核の粉やオーガの素材を混ぜ合わせたのだ。魔物から取れた素材は魔核を筆頭にマナをとても通し安すく魔法の定着度合いも高いのだ。付与するのに適した素材なのだ。
先ず武器防具のフッット感だ。メルの身体を思い出して大きさを調整した後、身体の大きさに合わせて伸び縮みするセーターのように伸縮するよう空間と次元魔法を付与した。
より魔法が定着するように全ての道具にゲオルクを派生させる記号術式を埋め込んで行く。おそらく誰も分からないだろうが術式を解析して防御を破る事が出来ないように記号術式は道具の内部に隠した。
次に非破壊の魔法をエンチャントすり。
武器には攻撃力の効果と水属性と雷属性を付与した。驚いた事に雷属性を付与した途端、武器の値打ちが倍増していた。
刀には空間属性を付与し切れ味を極限まで上げた。やる過ぎたのか魔法の付与が限界に達してしまい。全ての付与を取り消してやり直しをした。
新しい手甲鉤の爪のように伸びる刀にも同じ付与をかけた。
手裏剣には非破壊特性と空間属性による切れ味の強化だけでなく飛翔力を上げてある程度のスピードを上げると慣性力を大幅に上げるという特性の魔法を付与した。
ここまでくるとこの手裏剣はもはや魔法道具みたいなものになった。手裏剣は『オーガ鉄』が許すかぎり作って全部で三十個できた。消耗品だろうからまた作ってやらないとダメだろう。
撒菱には『突き刺し』と踏んだ途端に針が突き出ると言う凶悪な土属性の魔法を仕組んだ。鉤爪は『突き刺し』と『突き放し』の全く逆の魔法が発動できるようにした。どこかに引っかかってしまって取れなくてなってはダメだろうとの判断でそんなアイテムを作った。
以上だ。そろそろ夜中に差し掛かる。俺はベッドに倒れかかるように眠ったのだった。
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種類:忍刀
名前:無し
価格:金貨6枚(三十万円)
性能:ATK+18、AGI+2
付与魔法:非破壊特性、空間属性付与、軽量化
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種類:長刀(槍)
名前:無し
価格:金貨12枚(六十万円)
性能:ATK+22、AGI+1
付与魔法:非破壊特性、空間属性付与、軽量化、刺突属性
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種類:忍鎧
名前:無し
価格:金貨15枚(七十五万円)
性能:DEF+13、AGI+2
付与魔法:非破壊特性、軽量化、サイズ調整
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種類:小刀
名前:苦無大
価格:大銀貨12枚(十二万円)
性能:ATK+5
付与魔法:突き刺し、非破壊特性
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種類:クローブ
名前:手甲鉤
価格:金貨6枚(三十万円)
性能:ATK+17、DEF+8
付与魔法:軽量化、攻撃力強化、非破壊特性、サイズ調整
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種類:その他武器
名前:撒菱
価格:小銀貨8枚(八千円)
性能:ATK+6
付与魔法:突き刺し、形態変化
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