これってどれほど入るっすか?
4つ目の投稿
「ふぇーー。本当に何でも入るんすっね。凄いっす」
メルは今、俺の『憩い亭』の部屋にやってきている。迷宮に入る前に色々準備しようと言うことになったのだ。メルは俺がマジックバックから色んな物を次々に出す度に驚きの声を上げている。
「でもこんな物本当にいるんっすか?」
メロが指差したのは寝巻きや布団だ。
「迷宮の中で夜営するんじゃ?」
「迷宮内で武装を解くのは無理っすよ。こんなのは無駄なんで売っ払って少しでも入るなら魔物の肉でも持って帰りましょう」
ちなみに俺のマジックバックは時間属性魔術まで付与されていてマジックバック内の時間が止まっている事を知ったメルの発言だ。俺は知らなかったが魔物の肉は高く売れるらしい。もちろん売れない肉も多いのでその辺の知識はメルに頼るしかない。
メルは先程からとても嬉しそうだ。
「何をそんなに喜んでるんだい?」
俺は不思議に思って尋ねた。
「へへへ。不良物件と思って買った不動産が超優良物件だと知った? そんなとこっす」
酷い言い方だが俺の事を不動産に揶揄しているのは直ぐに分かった。
「喜んでくれたら嬉しいよ」
「でも本当に若様はこんな凄い魔道具を持っているのに持ち帰った素材を山分けで良いんっすか?」
確かにトラックを出しているのに運搬収入を山分けとかはちょっと行き過ぎかもしれない。
「相場とか分からないしね。お互い相手を縛るってほどの契約でも無いしね。お互いに不満があれば話合う。それでいいんじゃ無いか。しかし今回の探索では素材は山分け。アイテム類は俺が貰い受ける。しかし売却したアイテムからは俺の判断でボーナスを出すって約束は守るよ」
「こんなマジックバックを持ってる人とベアリングできたら旨味が多そうっす。へへへ」
メルの目がお金マークになっている。よほど嬉しいのか顔がにやけている。
「ちなみにラークさんの装備も見せて貰えっすか?」
「ああ。この服とズボンは紫鱗着って装備らしいよ。鑑定してみようか?」
「そうっすね。鑑定持ちって便利っすね」
俺は改めて自分の装備の性能を【心眼】で見てみた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
武装:紫鱗着(上下)
説明:サラマンダーの幼生の皮を鞣して作られた防具。火属性に強い耐性を持つ。防御力に優れた防具。鉄の五十倍の非破壊特性、サイズの適正化、重量の補正の効果を持つ。
価格:120大金貨(千二百万円)
性能:DEF+35、AGI+15
付与魔法:非破壊特性、サイズ調整、火属性耐性増加、軽量化
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
俺は【心眼】で得た情報をメルに説明した。その価値を見て目が飛び出そうになった。なんて値段だ。家買えるって! もちろん価格は誤魔化した。メルはジト目で俺を見てきた。
「ラークさんて本当に村人なんすか? 大身の貴族様なんじゃ無いっすか?」
「いやいや。これも土地神様のグラッドとソフィアに貰ったんだよ」
「だんだんその嘘も本当に聞こえてきましたよ」
「「嘘じゃ無いよ」」
「はいはい。で、次は武器。武器です。若様は凄そうなのを持ってるじゃないっすか。早くその二本の変わった形の剣を見せてくださいよ」
「若様じゃ無いし……」
後から考えるとこの時から俺はメルから若様って呼ばれる様になったのだった。
「綺麗な剣っすねぇ」
俺は改めて抜かれた俺の刀を見た。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
種類:刀
名前:雪牙
説明:ミスリルとヒヒイロカネの合金。硬さと柔軟性を同時に持つ刀身。鉄の百倍の非破壊特性を持つ。魔力をよく通し炎属性を帯びる。炎斬を発射できる。
価格:80大金貨(八百万円)
性能:ATK+38
付与魔法:非破壊特性、刺し通し、空間切断、火属性
付帯魔術:炎斬
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
おおお。ため息。 グラッドとソフィア何するん! ミスリルとか出てるし。しかもヒヒイロカネって伝説の和の国の金属だよね。
考えて見ると素材まできっちり【心眼】で確認したのは初めてのような気がする。
(パネェ)
俺は【心眼】で得た刀の説明をメルにした。見るとメルはジト目で俺の顔を見ている。
「ほー。若様。そんでその小さなほうの刀は?」
「ああ。これはグラッドの刀を見て俺が下手くそな錬金魔法で作ったから大したこと無いよ……」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
種類:小刀
名前:無銘
説明:ラークが作った刀。ラーク特性の鋼鉄。高い硬度と柔軟性を持つ。風属性の魔力を纏っている。鉄の十倍の非破壊特性を持つ。
価格:12大銀貨(12万円ぐらい)
性能:ATK+20
付与魔法:非破壊特性(小)、軽量化
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
俺はこの説明を見て俺が作る武器ですらとんでもない高値になっていることに呆れた。
メルに説明するのを諦めて「普通の小刀だよ」って言っておいた。しかしメルは刀身の輝きを見て首を横に振った。
「若様。普通の短剣って黒い歪なのを普通って言うんすよ。こんなにギンギンに魔力を放つ凄い武器はどれだけの価値があるか……しかもこんな綺麗な剣を自分で作れるってどういう才能?」
メルが呆れて言った。
「いやー。マルクスアウレリウスの魔法大全って本に鍛治魔法のロジックが載っててさぁ……」
「はーー。若様って神様になるって嘘っぽかったけど可能かもね」
「なんか馬鹿様って聞こえてるんだけど……」




