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リングワールド  作者: seisei
序章

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17/29

鑑定と言うスキルって?

 俺はようやく得た自分のスキル【分割払い】を始めて発動させ念願のスキルを得た。


 【奪スキル】は俺の知る限り歴史上四人の人が持っていたスキルだ。一人目は英雄サラトンだが彼がこのスキルを使って魔王ザラーンを倒し神になったという有名な伝説がある。二人目は英雄王サーベラー。二千年前の東隣りのラーべ帝国の初代の皇帝だ。剣と政治と芸術を愛した多才な皇帝で晩年に自分は周りの有能な者のスキルを奪って立身した事を告白した文書を書いている。三人目はその子供マークス皇帝だ。父親から【奪スキル】を継承しスキルを献上させて多くのスキル保持者となったという。四人目は西のラルゴ王国の英雄で大賢者ラーロングだ。彼は多くの魔物からスキルを奪う面白い実験をしている。


 俺が奪スキルの歴史上のこの四人の事を知ったのもこのラーロング大賢者の著書を読んだからだ。


 なんと著書などに関わりのなさそうなグラッドが持っていた。本当かどうか眉唾だがラーロング自身に貰ったと言っていた。


 この著書はそれ以外にも随分と面白い本で俺の魔法の修行の役に立った良本だ。


 村人の俺が本を読めるのかよって? 村人を馬鹿にするな。リングワールドでは村人は自由民と言う意味で普通の人々のことだ。


 農奴、奴隷、賎民などの本当の意味での下級層の人々の多いリングワールドでは村人でも立派な身分なのだ。


 まぁそんな事はどうでもよかった。


 【奪スキル】の話だった。俺が知っている【奪スキル】はSランクのスキルだ。


 ただ、俺が前世で読んでいたネット小説の【奪スキル】とは少し違った。


 効果がしょぼいのだ。成功率がなんと数パーセントしかないのだ。その上、一日に一度しか使えず自分よりもレベルの低い者からしかスキルを奪えないなど無い無い尽くしだ。


 しかし考えてもみて欲しい数パーセントと言う確率は百回撃てば数発も当たるのだ。つまり一年に数十のスキルをゲットできるという計算になる。やはり凄いスキルだ。


 こんな強力なスキルを【分割払い】で取得したらさぞ支払いの修行が大変だろう。俺はそう思った訳さ。


 と言う訳で……実は俺はまず最初に【鑑定】を【分割払い】でゲットする事にした。


 ………………。


 言いたいことは分かるさ。あのアンパロにも嫌味たっぷりな女神メモを貰ったよ。


 そう。アンパロは俺に不定期でメモのようなメールを届けるようになった。時にはセーラ様からも来る。


 おれが悩みに悩んでCランクの【鑑定】を修得した時の抗議メールは酷かった。


メモ:お前。やる気あるのか?ヘタレのラーク。楽々ラークチンでどうするつもりなんだよ。やる気があるならもっと強いスキルを取得しろよ馬鹿野郎。セーラの体はエロぞ。早くセーラとやりたいんだろう!


「「「そっちのやる気かい!!!」」」


 俺は全身で突っ込みつつアンパロのメールメモを破り捨てた。


 と言うわけで俺は現在、Cランクスキルの【鑑定】を得た対価として『後払い』と『利息』を絶賛支払い中だ。つまり修行中なのだ。


 俺は当初恐れていたように【分割払い】の支払いに苦しめられているわけなのだ。今の俺の修行は『徹底的にガン見しろ』だ。しかも次々にやり方が悪いと注文のメモが飛び出してくる。


メモ:もっと良く観察して細かい内容も一瞬で頭に叩き込め


 などとダメ出しをしてくるのだ。


 スキルの癖に酷い口調はアンパロみたいで好きになれない。俺は恨みを込めて大抵のメモは破り捨てることにしている。もちろんセーラ様のメモは大切に残している。


メモ:ラークさん。無理しないでねくださいね。


 みたいなのがセーラ様のメモだ。名前が無くても誰のものか一目瞭然だろ?




☆★☆




 俺は今迷宮都市リランテストにいる。憧れの冒険者にもなれた。


 俺が定住しているのは冒険者の宿『憩い亭』だ。一泊三十五銅貨(三千五百円ぐらいだと思ってくれ。一応出回っている銅貨はガッツって呼ばれているが円なんて通過の単位もない情けない低分化ぶりだ)の安宿で部屋はベッドと机が一つあるだけ。窓も小さい窓が付いている程度だ。


 しかし『憩い亭』ではバイキング方式で早朝から深夜までいつでも好きなだけ食べれると言う特典が付いている。お願いするとお弁当も作ってくれる。そこが気に入っている。


 『憩い亭』には俺と同じような初心者の冒険者が大勢住んでいた。パーティーを組むにも好都合なので初心者は『憩い亭』に泊まるのだ。


 しかし俺は今でもソロのボッチだ。何故かって?


 【分割払い】のせいだ。何しろ一日中何を見るのも『ガン見』している俺なんか気持ち悪くて誰も話しかけない。さっさと【鑑定】の修行を終えて次に【奪スキル】を持たないとパーティも持てない。三年の期限はどんどん迫る。


 道にある小石を『ガン見』。向こうから歩いてくる婦人を『ガン見』。ああ。嫌がって逃げたよ。


 野良犬を『ガン見』。吠えてきやがった。ふぅ……


 ドアを『ガン見』。


「「「お前ぇ。誰に『ガン』飛ばしてんだ?」」」


 おっと。ヤバイ。


 俺はガン見しながら冒険者ギルドの中まで入ってつい荒くれ冒険者の顔をガン見してしまったのだ。


「やめとけ。そいつはいつもそんなへんな感じで血走った目して睨みつけてくるだよ。そんな奴に関わるとアホが移るぞ」


 禿げた大男が俺に絡んで来た荒くれ冒険者に言った。俺もこの時とばかりに。


「すみません。ど近眼で見えないんです」


 俺なりの考えていた言い訳を言って頭を下げた。


「はん? 気をつけろやこの屑め」


 舌打ちと共にその男はドアを出て行った。


 まぁ、こんな事は日常茶飯事だ。不注意に冒険者ギルド内でガン見した俺が悪い。


 俺は受付に向かって歩いて行った。冒険者ギルドリランテスト支部の受付は特に美人揃いだと有名だ。


 冒険者にとって最後に話す相手ともなりかねない相手だけに美人で人当たりが良い事は重要だ。朝一に良い気分で冒険に向かいたい訳だから尚更だ。


 俺の専属の受付はセリカさんだ。大人しくて可愛い感じの女の子だ。ただ俺には嫉妬深いと言う婚約者のセーラ様に俺の事をずっと見られているので女の子に気を取られるわけには行かない。もしセーラ様の逆鱗に触れる事があればどんな天罰が下るか分からないからだ。


 俺はセリカさんさの受付の前の列に並んで待った。いつものごとく俺の前に何人か横入りする奴がいたが俺は気にも止めない。


 俺は鑑定の能力があるのでそいつらがどれくらいの能力かを分かるからだ。


 今も俺の前に無造作に一人横入りした奴がいる。俺のレベルはたったの18。こいつはレベル35。叶うわけ無い。


 俺の【鑑定】でこいつを鑑定することこうなる。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

名前:ドーソン

年齢:35

性別:男

種族:ヒューマン

職業:戦士

称号:Cランク冒険者

Lv:31

〈スキル〉

【大技級瞬刃】【両手斬り】【片手剣】【剛腕】【走者】【遠視】【暗視】【魔物気配察知】【草履作り】【縄作り】【草刈り】【生活魔術】

〈能力値〉

HP(体力量)88/88

MP(魔力量)15/15

STR(腕 力): 28

ATK(攻撃力): 28

DEF(防御力): 25

AGI(敏捷性): 21

DEX(器用さ): 15

INT(賢 さ): 12

MAG(魔 力): 8

LUK(幸 運): 13

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 凄い数のスキルだ。勝てる気がしない。君子危うきに近寄らずだ。


 俺は横入りのおっさんを無視して自分の順番まで待つことにする。


 もちろん【鑑定】にもスキル後硬直、つまり技が使える為のインターバルは存在する。約五分だ。しかし俺の場合【分割払い】で得たスキルは制約で一日一回しか使う事が出来ない。


 そんな大切なたった一回をこの横入りのおっさんに使ったのはやはり横入りされて頭に血が上ったからだろう。反省。


 ただ最近では【鑑定】スキルを使わなくても大抵の事は一瞬見たら分かるようになったからという理由もある。


 ようやく俺の受付の番だ。


 セリカさんはいつものように可愛らしい。


「おはようございます。ラークさん」


「おはようございます」


 俺は丁寧に言った。何しろ彼女は冒険者ランクがCランクのベテラン冒険者だ。俺なんかが偉そうにできる方では無い。


 俺はセリカさんのステータスは覗いた事が無いので知らない。興味本位だけではなかなか鑑定する気になれない。しかしセリカさんはさぞかし凄いステータスだろう。何しろCランク冒険者なのだから。凄いスキルを持っているはず。俺などは瞬殺だろう。


 最近なんとなく鑑定スキルを使わなくてもどれほど強いか分かるようになってきたがセリカさんは相当強そうだと感じる。先ほどのドーソンと比べてもずっと強そうに感じる。


「今日もよろしくお願いします」


 俺はお願いした。冒険者ギルドには掲示板もあるがこうやって受付嬢を通して依頼を受けることもできるのだ。


「今日も薬草採取ですよね。ラークさんのお持ちになる薬草は質がとても良いって評判ですよ。それとこれは昨日持ってこられたゴブリンとオークの捕獲報償金です。全部で五十銀貨となります。受け取ってくださいね」


 五十銀貨は約五万円って感じだ。ここら辺の銀貨はバッティーと呼ばれる。小さな銀貨で一円玉の半分位の大きさの硬貨だ。約百銅貨(ガッツ)の値打ちがある。ややこしいのはこの国では銀貨と銅貨の交換比率、つまり値打ちが変わることだ。まぁややこしい事は置いておこう。だいたいの相場を円で説明するようにするので心配しないでくれ。


 一日の働きで五万円はまぁまぁの働きだ。冒険者はポーションなどのアイテムなどの費用も必要なのでそれほど大した事はない。しかし何とか生きて行けるだろうと俺は思いながら受け取った。


「ありがとう。手際よくさばいてくれるので助かります」


 俺はそう言いながら頭を下げた。


「いえいえ。そんなに丁寧にしないでください。でもラークさんはどうして迷宮に入られないんです? ラークさんの腕前が有ればパーティだって引っ張りだこでしょう」


 セリカさんは頭を下げてお礼する俺に恐縮した。まぁ日本人風の挨拶みたいなものなが礼をするのは身分差がある時が多い。とても丁寧な対応に見える筈だ。


 それよりも俺なんか無能力者が引っ張りだこなんて思うとは信じられ無い。


「いや。俺なんか誰もパーティーに欲しいと思ってくれませんよ。初心者だし、魔物との戦闘経験は皆無だし。スキルも大した事が無いし」


「いえいえ。ラークさん。昨日だけでゴブリンを十八匹。オーク八匹も倒してらっしゃるんですよ。並みの初級冒険者ではとても」


「そんな誉め殺しやめてください。こいらが弱ちぃだけです。俺なんかまだまだダメですよ」


「ご謙遜を。ラークさんは本当によくできた方ですね。感心します。ちなみに参考までにゴブリン討伐とオーク討伐の様子を教えてください」


「ええ。ゴブリンは恐らくオークに襲われていたんでしょうね。いきなり遭遇したので倒しました。その直後に走り込んで来たオーク達も倒しました」


 俺が昨日起こった事を説明した。俺が薬草を取りに入っている山は迷宮の側の山だ。迷宮の低層から出てきた魔物が巣食っているので他の薬草採取の冒険者は近づかないので俺は良い薬草をゲットできている。


 魔物と出会う危険度はあるがはっきり言って低層の雑魚モンスターばかりなので全く気にも止めていない。


 そう話すとセリカさんは呆れた顔をして首を左右に振った。


「あまり無理しないでくださいね」


 セリカさんが心配して言った。


「はい。大丈夫です。あの辺の森にいるのは所詮迷宮の低層の可愛い奴らばかりですから」


 俺は心配性のセリカさんに笑って答えた。





☆★☆





【セリカ視点】



 ラークさんが私の列に並んでいるのが見えた。彼は最近登録したばかりの初心者の冒険者だがほかの初心者とは全く雰囲気が違う。


 長身でサラサラの銀髪がとても爽やかな感じだ。顔は外国人みたいな感じ。どちらかと言うと妖精のような外観をしていると言ったらいいだろうか。


 顔の形は整った卵のようなツルッとした感じで綺麗に整っている。


 全体的に中性的と言ったらいいのだろうか。将来が楽しみな男の子だ。


 あっ。今日も横入りだ。私はその度に本当に腹が立っている。ラークさんは何知らぬ顔で横入りされても意にに介していない様子だけど。


 ラークさんは恐らく私の勘では相当腕が立つはずだ。駆け出しのFランクのレベルではあり得ない。この間もハイオーク三匹を討伐したと討伐部位を持って来た。ハイオークは危険度ランクD。普通の冒険者なら四人のEランク冒険者のパーティで一匹を仕留められるかどうかという魔物だ。それを一人で三匹纏めて討伐したと言うのであれば恐らくラークさんの実力はCランクを下回る事はないだろう。


 そんな実力者がなぜ魔物の森などで薬草採取をしているのか。なんだかとっても不思議な人だ。


 魔物の森は過去のスタンピードで迷宮から溢れ出した相当強い魔物が地上に住み着いている危険な場所で一般人は決して入ってはならない場所だ。初心者の冒険者にも近づかないように注意している場所なのだ。


 魔物の森に徘徊している魔物は迷宮のようにレベルが一定ではない。迷宮では階層で出てくる魔物レベルは一定だが魔物の森は最も弱いスライムからハイオークやハイゴボルドなどの中級者向けの魔物まで色々な魔物が徘徊しているので危険度が高いのだ。


 その事は再三注意したがラークさんは森の事は詳しいらしくて大丈夫だと言って私の注意を聞こうとしない。


 他の事は素直に何でも聞くのに不思議だ。


 さてラークさんの番だ。挨拶をして昨日の報奨金を渡した。魔物討伐の報奨金は地下迷宮と比べると半分以下。なぜなら迷宮ではたくさんの素材やアイテムを得ることができるのでギルドでは冒険者に追加報奨金として王国における討伐報酬と同じ額の追加報酬を出しているからだ。更に悪い事にはマソ濃度の低い魔の森では魔核の育ちが悪く魔核が取れない。


 少なくとも魔物を退治したのがどこかなんて聞かないのだからもしラークさんがどこで退治したかを黙っていたら迷宮と同じだけ支払われる筈なのに。ラークさんはその事を説明しても正直に討伐場所を森だと答えてしまう律儀な人だ。


 昨日の討伐成果は何とゴブリン十八匹にオークが八匹。何て数。一人で討伐できる数じゃない。恐らく少しづつを討伐したんだと思った。


「ちなみに参考までにゴブリン討伐とオーク討伐の様子を教えてください」


 私はラークさんに尋ねてみた。


「ええ。ゴブリンは恐らくオークに襲われていたんでしょうね。いきなり遭遇したので倒しました。そのあとゴブリンを追いかけて来たオーク達も倒しました」


 だそうだ。要するに出会い頭に十八匹のゴブリンを倒しそれを追って来たオーク八匹を追加で倒したってことだ。CランクどころかBランクでも無理なんじゃないかしら。


 なのにこの謙虚さって何? この人は本当に不思議な人だ。


 昨日もそんな死闘を繰り広げてきたとは少しも見えずにスッキリとした爽やかな笑顔でやってきた。返り血も浴びないってどんな戦い方をしているのかとても不思議。


「あまり無理しないでくださいね」


 私は何度も同じ事を言ったがもう一度重ねて言った。


「はい。大丈夫です。あの辺の森にいるのは可愛い奴らばかりですから」


 ラークさんはそう言うとニッコリ微笑んで列を離れて行った。今日もまた薬草と魔物を討伐して帰ってくるのだろう。


 『薬草取りのラーク』と言えばそろそろ噂になっている。薬草採取は収入も馬鹿みたいに低いしランクが上がらない。ちゃんと魔物の討伐クエストを受けたらどうかと勧めても自分はまだそんな資格が無いと言う。


 深い理由があるのだろうが最近では我がリランテスト支部の受付嬢の中で早食い競争なる熾烈な戦いが勃発していて恐ろしい事にラークさんは肉食系の受付嬢達のターゲットになっているらしい。


 何でも才能のある若者を早いうちに仕留める作戦なんだとか。私は呆れてそんな作戦には参加する気はないけど、ラークさんが誘ってくれたらお食事ぐらいなら行ってもいいかなって思っているけど……

今日はたくさん投稿しました。

序章は30話までです。

そこまでは書きだめしてますから安心して呼んでください。

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