ギャグスキルって? 最下位ランクだよね。可愛そうに……
「じゃじゃねぇよ」
俺はアンパロに言ったつもりだったが目の前には唖然とした司祭の顔があった。
「あ、いえ。すみません。何でもありません」
俺は司祭に詫びた。
「あまり祈りが長いので心配になって顔を覗いていたのじゃ。大丈夫か?」
司祭が俺に尋ねた。
「あ。大丈夫です。良いスキルをお願いしていたので」
「ふむ。では鑑定してやろう」
司祭は怪訝な顔をしながら鑑定したくれているようだ。そしてすぐに顔を曇らせて気の毒な顔になった。
「君のスキル。変わった名前のスキルだね。【分割払い】って言う名前らしい。でも悪いが使い物にならない……」
司祭は気の毒そうな顔のまま俺のスキルの事を説明してくれた。しかし司祭の鑑定はお粗末な説明だった。結論として。
「残念だが君のスキルはFランクだね」
司祭は俺に哀れみのこもった瞳を向けて痛いものを見るようにして言った。
何しろ今日もらったスキルが俺にとって初めてのスキルでしかもFランクだ。そんな奴は他にいない。
「いえ。有難うございます。これで無能力からは解放されました」
俺が元気に答えたのを見て司祭の顔が驚きに変わった。
周りを見回すと「無能力が使えねぇスキルだってよ」「救済のスキルでFランクって初だわ」「可哀想に………」「屑スキルだってよ」「今日から屑スキルのラークだな」だなどと話しているのが聞こえた。
俺は司祭にもう一度礼をしてから馬鹿にしきった顔の神父補助アレンにお布施を渡し教会を後にした。
「やっぱりあの子は本物の無能なんだねぇ」
背後からそんな俺をこき下ろす声が聞こえたが俺はそれでころではない。
俺は【分割払い】を得たら二つの事をするつもりだった。
まず【奪スキル】を習得する事だ。そうすれば【分割払い】いの修行をしている間にスキルを集めて強くなれると思っていた。それと冒険者ギルドに登録する事だ。
しかしそれは今までのスローライフを楽しむ時の俺の計画だ。たった三年で神々に匹敵するほど強くならねばならないとなるとよっぽど頑張ってレベリングをやらないとだめだろう。
俺が考えてきたレベルアップ方法では無理かもしれない。ここはひとつグラッドとソフィアに相談すべきだと俺は結論付けた。
☆★☆
グラッドとソフィアは俺の話を聞いてとても心配してくれた。
「そいつは災難だったな。しかしセーラ様とかいう異世界の女神様を嫁にもらうなんてお前はやっぱりすごい子だゲコ」
グラッドはいつものように褒めちぎる。
「でも三年で天上神のトップレベルになれと言うのは流石のラークちゃんでも難しいわね」
ソフィアも心配して腕を組んで考えている。
「お前は既に上位ランクの魔物とも渡り合える力を持っている。強い魔物をガンガン倒してそいつらの力を身に取り込んで行くしかないだろう」
グラッドらしい豪快な解決策だ。それは俺も思っているところだったが現実に魔物と向き合って退治する自信は無い。
俺は二人に俺の考えてきた【分割払い】の使い方を相談してみる事にした。
「グラッド。ソフィア。俺は強くなるためには沢山のスキルを持っている必要があると思うんだ」
「そうなだなゲコ」
「まぁそうね」
「そこで俺は【分割払い】で【奪スキル】を修得するつもりなんだ」
「へぇ」
とグラッド。
「なるほど。その手が有ったわね」
と感心したのはソフィアだった。
「どう言う事なんだ?」
グラッドが俺たちに説明を求めてきた。
「俺の【分割払い】も何かのスキルを取得することのできるスキルだけど制約があるので頻繁に使うにはリスキーだし後払いの修行が終わるまで新しいスキルは得られない。そこで【奪スキル】を修得したらそのスキルでどんどんスキルを増やして行けば強くなれると思ったんだ」
「なるほど。それは名案かもしれないわね。でも【奪スキル】もSランクスキルだから【分割払い】で修行が追いつくかしら?」
心配する事はソフィアも一緒のようだ。彼女のその問いに答えられずにいると。
「お前はそうしないと三年後には確実に死ぬんだろう。じゃ手っ取り早くどんどん邁進すべしなんじゃなぇか?」
グラッドがいつものサバサバとした物言いで指摘した。
グラッドの言う通りだ。俺には迷っている暇は無いんだ。俺は自分の置かれている状況に改めて戦慄するのだった。
「それと強くなるための武器、防具や宝具の収集なども重要でしょう。これはグラッドと私があなたの将来のために用意していた武器と防具よ。
あなたが一人立ちして余裕ができた頃に褒美としてあげるつもりだったけどあなたには時間が無いから今持って行きなさい」
ソフィアはそう言いながら棚にしまって有った包みを取り出して中を見せてくれた。
中に入っていたのは濃い紺色に近い紫色を基調にした渋い感じの胴着とズボンそしてグラッドが持っているような日本刀のような刀だった。
胴着には紫色の銀粉をふりかけたようなキラキラ光る表面に見えるが、それは触ってみると鱗のような物だと分かった。
「それはサラマンダーの鱗で織り上げた紫鱗着って言う胴着よ。古い時代には良く利用されていたものよ」
紫鱗着を持ってみた感じは、想像よりも重量感と強固さが感じられた。袖を通してみると不思議な事に大きさを変えて体にフィットしてきた。何ともファンタジー仕様だ。
そのままズボンも履いてみる。結構重量感があると思っていたが着てみると全く重さが感じられなかった。
「凄く軽いんだね」
「それにはいろんな魔法が込められているからね。防御力も結構高いわよ」
「有難う。大切にするよ」
「そんなものは大切にする必要は無いわよ。どんどん強くなってその紫鱗着を使い捨てにするくらいじゃないとなかなか神々には届かないわよ」
「ああ。そうだね」
次に刀を持って抜いてみた。スーと鞘から抜き取ると音もなく刀身が出てきた。抜き放ち正眼に構えてみる。
刀身は白銀のように輝き、片刃の反り返りのある正に日本刀だ。グラッドが日本刀みたいな刀を使っているのを見ていていつも欲しいと思っていた物と一緒の刀身だ。
「雪牙って銘だ。俺の炎牙の双子のような刀だ。氷の属性がある」
グラッドが説明してくれた。氷の属性とは十二の属性魔術の中で炎属性に位置する魔術属性だ。
「凄く綺麗だ。手にも馴染むよ。ありがとう」
俺は二人に心の底から礼を言った。二人からは魔法と剣法を教えてもらった。それだけでなく両親のように接してくれた。さらにこんな高価な武具まで呉れるとは。
「それとこれはマジッバックよ。これで大体馬五頭分入るらしいわね。そんなに入れた事がないから分からないけどね」
ソフィアが古びた毛皮の袋を見せてくれた。
「これを持ちながら『これに入れ』と心の中で唱えれば……」
ソフィアはそこまで言うとテーブルに手を置いた。その瞬間テーブルが消えた。
「………こんな感じでマジックバックの中に入る。そんでもって心の中で入っている物を思い浮かべて『出でよ』って唱えると………」
机が出てきた。
おおお。俺はマジックバックなる物の存在を初めて知った。ファンタジーだ。俺は世間知らずだがこのファンタジーグッズだけで相当に高価な事は分かる。
俺は感激してソフィアから受け取った。
「本当にありがとう。こんな高価な物まで」
「良いのよ。私達にとっては大した負担ではないわ」
ソフィアは滅多に喜ばない俺が手放しで喜んでいるのを見て目を細めて笑って言った。
「それじゃ、行くんだな」
グラッドが目を真っ赤にして言った。俺もつられて目から水が……
「うん。本当にありがとう。効率を考えて迷宮都市リランテストに行く事にするよ」
「ええ。そう言うと思ってたわ。あの街にはランクの違う三つの迷宮があって賑わっているらしいものね。ラークちゃん。頑張ってね。今回みたいに困った事が有ったら戻ってらっしゃい」
「ああ。ある程度強くなったら神々の作法とかどうやったら天上界に行けるのかとかその辺のところ教えて貰いたいんだ」
「私達では大したことも教えてあげられないけど、そうね私にいい考えがあるわ。私の知り合いに大聖樹の土地神がいらっしゃる。あの方なら天上界の神々とも交流が深いでしょうから色々教えてくれるでしょう。頃合いを見て案内してあげましょう」
「ああ。ありがとう」
ラークは深く礼をして感謝の気持ちを表した。
大盤振る舞いで




