表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リングワールド  作者: seisei
序章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/29

暴れる戦神

 俺は突然現れたセーラ様とアンパロに驚いてしまった。アンパロの相変わらずな毒舌に頭を抱えたくなった。


「「「アンパロさん。少し黙ってなさい」」」


 驚いた事にセーラ様がアンパロを強い調子で叱りつけた。


 この優しそうな女神様がこんな厳しい態度を取れるのだと俺はびっくりした。


「あはははは。ごめん。ごめん。あんまりこいつが面白いんでついからかいたくなるんだよな」


 アンパロはそんな風に言い訳つつセーラ様から視線を外して口笛を吹く真似をして誤魔化している。なんとも腹の立つ態度だ。俺をこの十七年間苦しめて来たくせに。


「アンパロさん。あなたはとってもいい女神だけどイタズラが過ぎます」


 セーラ様はアンパロを強く睨みつけている。


「へへへへ」


 アンパロはセーラ様から顔を逸らしたまま笑って誤魔化した。


「あの。今回の転生の事は色々本当にすみません。何から説明したらいいか」


 そんなアンパロを放っておいてセーラ様は俺の方を向いてとても言い難そうにしている。いつものドジっ子めいた雰囲気は無くとても深刻な顔色だ。俺は何が有るのか分からないが話を促してみることにした。


「何からでも良いので話してください」


 俺はそう言ってセーラ様に話を促した。


「うっ。実は本当に言いにくいんですけど貴方がスキルを使えなくしたのは私のせいですなのです。ほ、本当に申し訳なく思ってます。貴方がスキルを使えなくなったのは私が貴方のスキルの発動を止めたのが原因なんです。ごめんなさい」


 セーラ様は意を決したようにそう言った。良く分からないが俺のスキルが発現しない事はセーラ様に責任があるらしい。


 セーラ様は本当に土下座せんばかりに深く頭を下げて謝った。その姿は俺達日本人にはお馴染みの姿だが西洋風のリングワールドでは異例の謝罪だ。セーラ様も地球の神様どが見た感じは西洋人風なので恐らくセーラ様も並大抵の気持ちでしているわけでは無いはずだ。


「セーラ様。頭を上げて。それよりも説明してください。スキルの発動を止めたってどう言う事ですか?」


 俺はセーラ様よりも深く頭を下げてお願いした。


「本当にごめんなさい。アンパロさんが変なスキルを貴方に授けたから。貴方が訳も分からずそのスキルを使ったら酷い事になると思ったのです」


 ああ。【ペナルティ】の事だと俺は悟った。


「でも、俺のスキルの発動を止めるのとスキルが全く持て無いのと関係が分からないんだけど?」


 アンパロのふざけたスキルの発動を止めるのは、俺のスキルに恐ろしい制約があるため、その危険性を排除するためセーラ様が止めたのは理解できる。それとどんなに努力してもスキルが持てない俺の無能力とどう関係があるのだろうか。


「はい。そこです。信じられ無い事ですがアンパロさんは貴方の前世の借金とスキルを駄洒落だじゃれにしたくてあなたのスキルを【分割払い】って変な名前のスキルにして貴方に授けたのですが……」


「は? 【分割払い】ですか?」


 何ともヘンテコな名前のスキルも有ったものだ。アンパロは俺の前世の借金地獄を当てこするつもりでそんなヘンテコな名前にしたのだとは直ぐに気付いたが、何とも悪戯好いたずらずきな女神様も有ったものだと俺は呆れてしまう。


「へへへ。ギャグスキルだ。面白れぇだろ」


 アンパロがまた腹を抱えて笑い出した。


(((ギャグスキルなんてのが有るんかい!)))


 俺は心の中で思いっきりツッコミを入れていた。


「本当に。アンパロさんったら……ごめんなさい。ラークさん。でもアンパロさんはただ意地悪だけのスキルにしようとしたのでは無くどんなスキルでも修得できるってところに拘ったみたいなのです。


 アンパロさんは貴方が本来なら持てるはずだったたくさんのスキルを無効にまでしてその拘りを押し通してしまったのです。そうしてようやくどんなスキルでも持てるって条件をクリアすることができたそうです」


 セーラ様が大きな溜息をつきながら説明した。


「はあ。つまり俺が他のスキルを持て無かったのはアンパロ様が全てのスキルを【分割払い】に変えたからだと……でも生まれてからどんなに頑張って修行してもスキルが修得できないのはどうしてでしょうか?」


 俺が腑に落ちずに尋ねるとセーラ様はまた大変な勢いで謝り始めた。


「ふぇ。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい」


 もう。生粋の日本人認定したくなるような潔の良い頭の下げ方だ。


「まぁ、まぁ。セーラ様。どうか頭を下げるはやめてください。それに説明していただかないと分からないし」


 俺は必死でセーラ様が頭を上げ下げしているのを止めた。


「ふぇぇ。ごめんなさい。ごめんなさい。私が慌てて【分割払い】を止めたからなんです。【分割払い】は強力なスキルです。ラークさんのスキルを完全に制御しているといってもいいのです。


 その大元締めのスキルの活動を無理矢理止めたからラークさんのスキルは一つも発動されなくなったのです。


 ごめんなさい。私の責任です。ごめんなさい。ごめんなさい」


 またまたセーラ様が謝り始めた。これ以上、女神様を謝らせる訳にはいかない。


「アンパロ様。セーラ様が壊れました。助けてください」


「ああ? しゃぁねぇなぁ。お前、セーラに何かお願いしてみろ。そしうしたらセーラの気も晴れるだろう」


 アンパロが珍しく俺の言葉に反応してちゃんと返答した。思い付きだろうがその言葉に俺ではなくセーラ様が飛びついた。


「それよ。ラークさん。何でも私のできる事を仰ってください。お詫びとして頑張って貴方の願いを叶えて差し上げます」


 セーラ様は両手を前に突き出してグーをしてとても可愛い頑張るポーズをしながら言った。瞳が輝いている。


 俺はセーラ様のコメツキバッタの様な頭の上下運動が収まってホッとした。


 何でも叶えてくれるって言うのなら今度こそチートスキルだろう。しかし俺は今度は慌てないで慎重にお願いをする事にした。


 ドジっ子セーラ様に取り返しの付かないスキルを授けられてしまっては最悪だ。


「セーラ様。お願いを申し上げる前に俺がアンパロ様から授かった【分割払い】は使えるようになるのですか?」


「はい。もちろんです。それは貴方が本来生れながらに持っているスキルなのですから」


「それでは先に【分割払い】についてもう少し詳しく教えて頂けませんか?」


 俺は先ずは【分割払い】と言うスキルについてキッチリ把握しておくべきだと考えたのだ。


 何故なら俺はこの四年間どうすれば【分割払い】をうまく使えるかそればかり考えていたからだ。


「ええ。それは私よりもアンパロさんが詳しいでしょう。アンパロさん。説明して差し上げて」


「ああ? 面倒だな。まぁしかし今回は迷惑をかけたみたいだし。特別話してやるよ。


 お前の【分割払い】ってのはエキストラスキルって特別性のスキルだ。超感謝しろよ。


 お前は基礎値が低過ぎ、更に悪い事にはお前は不器用過ぎた。才能も超低いときたから困ったもんだ。仕方がないから私の権限の許す限り特別ポイントを付加した。しかしそれでも【分割払い】を修得するにはポイントが全然足りなかった」


 相変わらずの毒舌ぶりでアンパロは説明した。


「しかし、お前はセーラの最初の男だからなぁ〜。セーラからよろしく頼まれちまったし。で。お前の能力の再配分をした訳だ」


(だから。そこでそんな思い切った事をせずに、【分割払い】をやめたらいいじゃんか)


 俺はそう思ったがその思いを必死で口に出すのを我慢した。何しろこの女神様は怖い。下手なツッコミは命に関わると俺の本能が告げている。俺はひたすら黙ってアンパロの説明を聞いていた。


「まぁ、【分割払い】はギャグスキルとして面白れぇから絶対にやめられんしな」


 いけしゃあしゃあとアンパロは言った。


 やっぱりこの女神だけは許せない。俺は怒りが込み上げてくるのを必死で抑えた。


「そんでだ。楽チンラーク君。私はお前が持って生まれるはずの全てのスキルをポイントにして【分割払い】に振ったんだよ。それでようやくどんなスキルでも取得できる【分割払い】を取得することができるようになったんだわ。ははは。そして最後に余ったポイントは【分割払い】スキルの補正がかかってだろうが妙に高くなってたDEX(器用性)に面倒くさいから全部振っといた。はははは」


 何とも雑な話だ。俺のDEX(器用性)値が異常に高いのはそんな理由からだったのだ。


 やっぱり俺が持っている色々な問題の原因はこのアンパロのせいだったのだ。


 俺はあまりな話なので無言でアンパロを睨みつけた。


「ああ? お前。なかなかいい面魂になってきたじゃないか。やろうってんならやってやんよ」


 アンパロが俺の千倍強力なガンを飛ばしてきた。


(怖ェェ)


「ふん。弱っちい癖に粋がんじゃねぇよ」


 アンパロが腕を組んで俺をさげすむように見てきた。


「「「アンパロさん。ラークさんにちゃんと【分割払い】の説明をしなさい」」」


 セーラ様が横から叱りつけた。


 おおおお。天の助け。おありがとうございますセーラ様。


 セーラ様は俺がそう思うとニッコリ笑顔を向けてくれた。何て可愛いんだ。


 セーラ様にまたまた叱られたアンパロは顔をしかめている。


「おお。オメェのせいで叱られただろうが。


 それじゃぁ【分割払い】の説明の続きだ。【分割払い】はトレーニングスキルだ。つまりはスキルを効率良く修得するためのスキルって言やぁ分かり易いだろう。


 このスキルを使えばどんなスキルだろうと効率的に修得できるだろうよ。


 私はスキルについてその在り方を常々疑問に思ってきたんだ。どいつもこいつもスキル、スキルって言いやがって努力もせずに神頼みってぇのが私にゃぁ気に入らんのだ。


 そこでこの【分割払い】は後付けでも本当にきっちりと修行をして本物の実力を付けようって言う正統派のスキルなんだ。お前みたいな生っちょろい奴には持って来いのスキルって訳だ」


 アンパロは自慢そうに説明した。アンパロが言っている事は意外な事に正論だった。しかしそんな正論を俺に押し付けてくるのはやり過ぎだ。神様の恩恵を頂けるんなら頂いた方が俺にとっては有難い話だ。あんたの無駄な情熱を押し付けられる俺の身にもなって欲しい。


「ふん。まぁそうカリカリするな。今のお前には分からんだろうがいずれお前は私に土下座して感謝するようになるさ。


 【分割払い】だが、ラーク。お前が【分割払い】を発動すると何でも好きなスキルを一つ取得できる。そうして取得したスキルは好きに使えるだろうよ。ただしそのスキルは完全にお前のもんになった訳じゃないからな。一日一回しか使えねぇ。気を付けな。それが先受けスキルの制約だ。しかし後払いの修行が全て終われば得たスキルの一日一回しか使えないって制約は外れる。


 【分割払い】いはお前が修得したスキルをお前がどうやったら普通に修得できるようになるかを分析し修行の全メニューを教えてくれる。それを良い感じに分割してお前に修行するように指示してくれるはずだ。これが【分割】だな。


 しかし普通に修行するだけではスキルは完全に自分の物にはならないだろう。だから二割増しの修行をする親切な設定にした。これが【利息】だ。お前はそれをひたすら寝ても覚めても修行して行くだけだ。修行の仕方が悪かったら【分割払い】が叱ってくれる。正に名コーチだ。


 【分割】された修行と【利息】分の二割増しの修行を終えたらこれで一回分の【分割払い】が終了したってこった。


 お前がそうやって分割された修行と割増しの【利息】を払ったら【分割払い】から次の修行の指示が来る。それを最後の支払いが済むまで続けるだけだ。


 全部の修行が済めば、また新たに【分割払い】で別のスキルを得ることができるようになる。


 こんなに簡単に効率良くあらゆるスキルを修行できる夢のような有難いスキルは無いぞ。


 しかも喜べ。【分割払い】は普通の修行よりも【利息】が付いてたくさん修行ができる結果としてエキストラ効果が設定されているんだ。


 そのエキストラ効果によって褒美が授かる仕組みだ。何てお得なスキルなんだ。本当に素晴らしいだろ。褒美は得たスキルが少し上位のスキルに変化するはずだ。


 例えばお前が【分割払い】で【跳び技】を修得したとするだろう。【跳び技】を完全に修行した後は【二段飛び技】に変化するって感じだ。


 ちなみに修行をサボるような根性なしには【ペナルティ】が課せられる。


 しかし安心しろ【ペナルティ】は【利息】が倍になるってだけだ。はははは。大した事無いだろ?


 まぁその分褒美も倍になるからどっちが得か分からんがな。はははは」


 よくよく聞けば俺の【分割払い】。くずスキルってほど悪くないようだ。あるいは俺が想像していたよりもずっと凄いスキルのようだ。スキルの効果は見た目は悪いがアンパロの発想も分からないではない。


 しかしアンパロ。脳筋のスポ根女か? 思考が運動会系過ぎる。今時、こんなスポ根は流行らない。脳筋過ぎて怖いほどだ。


「(なんて脳筋なんだ)」


 俺は思わず呟いていた。


「「「ごぉら。誰が脳筋娘なんだよ」」」


 アンパロが俺の呟き声を耳聡く聞きつけて叫び返して来た。


「「「やめなさい。二人とも喧嘩は良くありません」」」


 セーラ様が慌てて二人の間に入った。


「あ。すみません。ついこの身勝手な方に正当な怒りを感じてしまったので」


 俺は可愛すぎるセーラ様には従順だ。


「誰が身勝手なんだ。お前。もう一回死んどくか?」


「はぁー。もう本当に二人ともやめてください。全然先に進みません」


 セーラ様が天を見上げて困ったように言った。

怖〜い

アンパロさん。

でも暴デレみたいですよ……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ